西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新5)

7月15日付けの世界保健機関(WHO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

流行状況とサーベイランス

世界保健機関(WHO)は、引き続きギニア、リベリア、シエラレオネで発生したエボラウイルス疾患(EVD)の進展状況を厳重に監視しています。シエラレオネおよびリベリアにおける現在の流行の傾向は依然として危険な状況にあり、新規症例および死亡例が多数報告されています。2014年7月8日から12日の間に、リベリアおよびシエラレオネからは新規症例が79例、死亡例が65例報告されました。リベリアでは新規症例が30例、死亡例が13例報告され、シエラレオネでは新規症例が49例、死亡例が52例報告されました。これらの症例には、疑い症例、可能性の高い症例、確定症例が含まれています。この傾向は、エボラウイルスの地域共同体内での感染が高レベルで持続していることを示しています。ギニアにおける流行状況は厳重に監視されており、2014年7月8日から12日にかけて新規症例が6例、死亡例が3例報告されました。当該各国の保健省が、WHOおよびそのパートナーと協力して、流行の封じ込め手段を強化しています。

保健部門の対応

アクラで開催された緊急閣僚会議に対応する行動として、WHOのアフリカ地域事務局長は、ギニアのコナクリに設置されつつあるサブ地域調整センターに対して、再度シニアスタッフ、技術スタッフ、サポートスタッフを配置することを決定しました。再度割り当てられた人員には、ディレクター、地域アドバイザー、疫学研究者、コミュニケーションの専門家、社会的動員の専門家、データ管理者、管理職員およびその他の補助スタッフがいます。調整センターの設立準備は間もなく終了し、2014年7月15日にはセンターの運用が開始される予定です。このセンターは、資源配分を援助するなど、西アフリカの国々への技術サポートを強化し協調して行いながら、全体の制御と調整のための基盤となって機能することになります。

感染の影響を受けた3か国は、WHOからの支援を受けて、現在のEVD国家対応計画に対する見直しおよび更新手続きを開始しました。この作業によって、アクラで保健大臣によって採択された国内戦略に沿って施行される、最優先課題とされる種々の国家作業計画が発展するでしょう。作業計画は、流行の封じ込め手段を講じるために、何が優先度の高い介入手段であるかが強調され、必要とされる資源(人的、財政上、そしてロジスティック上の)について細かい内容を定めたものになります。加えて、これらの書類は追加される資源をどこに注入するかを決定するために非常に重要なものになります。

現在WHOは、感染の影響を受けた国々が、もっとも効果的な流行封じ込め手段の一つとして、接触者の追跡調査を強化できるように支援しています。新しいEVDの症例を早期発見し迅速に隔離することは、地域共同体内でのエボラウイルスの二次感染を途絶させるために不可欠です。このため、WHOは地域共同体のボランティア107人と33人のスーパーバイザーを選出し訓練するため、リベリアの保健社会福祉省(MoHSW)に対して支援を行いました。シエラレオネでは、合計296人の地域共同体ボランティアの訓練が行われました。接触者の追跡を行ない、また地域共同体からEVDが疑われる症例を迅速に隔離できるように、訓練を受けたボランティアが感染の生じた地域共同体に配置されました。リベリアのMoHSWからの要請に応じて、WHOは、アメリカ合衆国政府からの支援を受けて、医療従事者の事態対応に当たって安全性が確保されるように、個人用保護具(PPE)およびその他の医療備品を供給しました。リベリアMoHSW に対して6月26日と7月3日に備品が寄贈されましたが、臨床ケアに当たるチームと埋葬チームの両者が使用する際に適したPPEが含まれていました。7月14日には、消毒用の背負い式噴霧器および手動噴霧器、また、バイオハザード廃棄物用の使い捨てゴミ袋などの追加備品がリベリアに引き渡されました。

WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

統計による概要

エボラウイルス疾患(EVD)に起因する新しい症例および死亡例が、西アフリカの3か国、ギニア、リベリアおよびシエラレオネの保健省により、引き続き報告されています。

2014年7月8日から12日の間に、68例の新規死亡例を含む85例の新規EVD症例が、3か国から以下のように報告されました。

ギニア:新規症例が6例、死亡例が3例
リベリア:新規症例が30例、死亡例が13例
シエラレオネ:新規症例49例、死亡例が52例

この数字には、EVDに関して検査で確定された症例、可能性の高い症例、疑い症例、および死亡例が含まれています。

2014年7月12日の時点で、3か国のEVDに起因する累積症例数は、603の死亡例を含む964例となっています。症例の分布および分類は以下のとおりです。

ギニア:406症例(確定症例297例、可能性の高い症例92例、疑い症例17例)および死亡例304例(確定症例198例、可能性の高い症例92例、疑い症例14例)
リベリア:172症例(確定症例70例、可能性の高い症例41例、疑い症例61例)および死亡例105例(確定症例48例、可能性の高い症例33例、疑い症例24例)
シエラレオネ:386症例(確定症例339例、可能性の高い症例37例、疑い症例10例)および死亡例194例(確定症例151例、可能性の高い症例38例、疑い症例5例)

ギニア、リベリアおよびシエラレオネにおけるエボラウイルス疾患の確定症例、可能性の高い症例、疑い症例および死亡例(2014年7月12日時点)

図.エボラ出血熱の発生状況

症例の総数には、再分類や後方視的調査、症例と検査結果の統合、サーベイランスの強化の結果により変更が加えられることがあります。疾患流行ニュースで報告されたデータは、保健省よって報告された現在入手可能な最良の情報に基づきます。

出典

WHO Global Alert and Response(GAR)
Ebola virus disease, West Africa-update, 15 July 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_07_15_ebola/en/