世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新13)

2014年7月14日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

世界的にみて、インフルエンザの活動性は低いままですが、チリにおける活動性は比較的高く、南半球でインフルエンザの活動性が徐々に増加してきています。

  • 北米とヨーロッパでは、全体的にインフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルで推移していました。
  • 東アジアでは、インフルエンザの活動性はほとんどの国でインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスが優勢で、シーズンオフのレベルに到達しています。ただし、中国南部地域では、主としてインフルエンザA(H3N2)ウイルスにより、インフルエンザの活動性がまだ少し増加していました。
  • 南アジアと東南アジアにおいて、インフルエンザの活動性はシンガポールを除いて減少し続けています。シンガポールでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動性と急性呼吸器感染症の検出率は低いままですが、インフルエンザの検出率が持続的に増加しています。
  • 北アフリカや西アジアでは、インフルエンザの活動性は低いままでした。
  • 南半球では、インフルエンザの活動性は増加しましたが、チリを除いて全体として低いレベルでした。チリではインフルエンザの活動性は去年のピークと同等で、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されました。南アフリカではインフルエンザの検出率は主にインフルエンザA(H3N2)のため増加しました。
  • 25週から26週(2014年6月15日から2014年6月28日)のFluNetの報告(協定世界時間2014年7月14日 14:55)によりますと、70の国・地域にある国のインフルエンザセンター(NICs) やその他の国内のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、29,795以上の検体を検査しました。インフルエンザが陽性となったのは2,748検体で、このうち2,230検体(81.2%)がインフルエンザA型で、517検体(18.8%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、257検体(12.9%)はインフルエンザA(H1N1 ) pdm09で1,740検体(87.1%)はインフルエンザA(H3N2)でした。
  • 解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、123検体(93.9%)はB-山形系統で、8検体(6.1%)はB-ビクトリア系統でした。
  • 鳥インフルエンザA(7N9)ウイルスの人への感染に関する最新情報は、WHOのウェブサイトを参照してください。
    http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/

北半球の温帯地域

北米とヨーロッパ
インフルエンザの活動性はすべての国でシーズンオフのレベルで、例年同時期で予想されるレベルのインフルエンザB型ウイルスの低い循環がみられました。

北アフリカ、西アジア、中央アジア
北アフリカ、中央アジアと西アジアでは、インフルエンザの活動性は大部分の国で低いままでした。

チュニジアとエジプトでは、インフルエンザ陽性検体の割合は以前の週より高く、検査された検体数は多くありませんでしたが、そのほとんどの症例でインフルエンザB型ウイルスが検出されました。バーレーンではここ数週間で、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスが低いレベルで循環しており、インフルエンザの活動性は不変であると報告されました。

イランでは、インフルエンザの検出(主にインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB)が増加し続けていると報告されました。オマーンでは3月以来、インフルエンザA(H1N1) pdm09の検出は不変であると報告されました。

東アジア
東アジア地域では、インフルエンザの活動性は低いままで、減少し続けました。インフルエンザA(H3N2)が循環している主なウイルスで、インフルエンザBも一部検出されました。

中国南部では、ILIの割合はわずかに減少したものの、一年のこの時期として予想より高い割合でした。毎年この時期の過去の傾向と同様に、インフルエンザの活動性は主にインフルエンザA(H3N2)の検出の増加を示しました。中国北部、日本、韓国では、インフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルに達しました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
中央アメリカ、カリブ海、南米の熱帯地域においてインフルエンザの活動性は全体として低いレベルでした。

ドミニカ共和国では、数例のインフルエンザA(H3N2)の症例が報告されました。エルサルバドル、ホンジェラス、ニカラグア、パナマ、プエルトリコの熱帯地域では、呼吸器感染症のレベルは、インフルエンザBウイルスの検出は増加しましたが、低いままでした。ボリビアは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pmd09の検出レベルの上昇を伴う、呼吸器ウイルスの循環を報告しました。コロンビアとベネズエラでは、インフルエンザA(H3N2)の検出が増加しましたが、予想されるレベルの範囲内でした。

中央アフリカの熱帯地域
アフリカでは、全体として西アフリカ、中部アフリカ、東アフリカから報告されたインフルエンザの活動性は、カメルーンとケニアを除いて低いレベルでした。

カメルーンでは、前の週に比べて主としてインフルエンザA(H3N2)によるインフルエンザの活動性の減少が報告されましたが、一年のこの時期としては高いレベルのままです。ケニアでは、インフルエンザの活動性は、主にインフルエンザA(H1N1)pmd09ウイルスと一部インフルエンザA(H3N2)ウイルスによるもので、継続しています。ガーナとタンザニアは、インフルエンザBの検出の増加を報告しました。

アジアの熱帯地域
ほとんどの南アジアと東南アジアの諸国では、インフルエンザの活動性は低下しているか低いレベルにとどまりました。

ラオス、タイ、ベトナムでは、インフルエンザの活動性は減少していました。シンガポールでは、インフルエンザ陽性検体(主にインフルエンザB)の数が多く報告されましたが、急性呼吸器感染症の活動レベルは基準値以下でした。

インドとスリランカでは、インフルエンザの活動性がいくらか報告され、ほとんどでインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されました。

南半球の温帯地域諸国

南米の温帯地域
南米の温帯地域では、インフルエンザの活動性は上昇し続けていますが、チリを除いてほとんどの国で低いままでした。チリではインフルエンザの活動性はILIと重症急性呼吸器感染症(SARI)と伴に、高いレベルに到達しました。

アルゼンチンでは、インフルエンザの検出、ILI、SARIは増加しましたが、冬期の通常のレベルに比較して低いままです。検出された主な呼吸器系ウイルスは、RSウイルス(91%)でした。

チリでは、インフルエンザの検出は、ILIとSARIのレベルの増加も伴いながら、増加し続けています。6月の最後の週では、陽性となった呼吸器検体のうち大多数(69%)はRSウイルスで、15%はインフルエンザ陽性でした。主に循環しているインフルエンザウイルスは、インフルエンザA(H3N2)でした。

パラグアイでは、インフルエンザ陽性の症例の割合が増加する一方、ILIの受診率は前の週と同じであり、一年のこの時期として予想されるレベルの範囲内でした。インフルエンザ陽性と確定した検体のうち、ほとんどがインフルエンザA(H3N2)でした。

南アフリカ
南アフリカでは、インフルエンザの検出はインフルエンザA(H3N2)が優勢で、増加しました。

オセアニア メラネシア、ポリネシア
オーストラリアとニュージーランドの両方で増加しましたが、まだILIの割合と同様にインフルエンザの活動性は低いレベルです。主に検出されたウイルスは、インフルエンザA(H1N1)pmd09でした。

太平洋諸島では、ILIの活動性には変動があり、いくつかの島で減少傾向が観察されました。しかし、フィジー、フランス領ポリネシア、キリバス、ニウエ、北マリアナ諸島、サモア、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツでは、ILIの活動性は増加しました。

出典

Influenza update14 July 2014-Update number215
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/