西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新8)

7月25日付けの世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局(AFRO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

流行状況とサーベイランス

WHOはシエラレオネ、リベリア、ギニアにおけるエボラウイルス疾患(EVD)の進展状況を監視し続けています。エボラの流行傾向は医療機関と地域社会で感染の伝播がいまだに継続しており、不安定なままです。

2014年7月21日と23日の間で、96例の新規症例と7例の死亡例がリベリアとシエラレオネから報告されました。ギニアでは、12の新規症例と5の死亡例が同時期に報告されました。これらには疑い症例、可能性の高い症例、確定症例が含まれています。

低ウイルス活性の数週後にギニアのEVDの新規症例数の急増したことは、地域社会で検出されなかった伝播のつながりがあったことを示しています。この現象はEVDの流行の制御の後退です。そして、流行の封じ込め策、特に効果的な接触者の追跡調査を計画することが求められます。

また、ナイジェリアの保健省は初発症例である可能性の高いEVD症例を報告しました。

ナイジェリア当局によると、患者は40歳のリベリア国籍の男性で、最近ナイジェリアへ旅行し、EVDの症状が病院でみられました。患者は飛行機で旅行し、トーゴのロメ(Lomé)を経由して7月20日にナイジェリアのラゴス(Lagos)に到着しました。旅行中症状が出現し、到着後すぐに私立病院に入院し、7月25日に死亡しました。7月22日に検体が採取され、予備的な検査室での分析がラゴス大学付属病院のウイルス学の検査室で行われ、エボラウイルスの陽性反応が出ました。この症例の検体は、セネガルのダカールにあるパスツール研究所のWHO協力センターで調べられています。ナイジェリアの国家機関はこの偶発的症例を出所で確実に封じ込めるためにWHOやパートナーと緊密に協力しています。

保健部門の対応

西アフリカで現在のEVDの流行の対応を加速させるために、WHOの事務局長はジュネーブで2014年7月24日にドナーコミュニティ(支援団体)と開発パートナーとの協議を開催しました。国や機関は再び流行への援助と支援を約束し、取り組みは人的・財政的資源を確保するために進められています。

アフリカ地域の地域局長、ルイス・サンボ博士は感染国の3か国で現地調査の任務を継続しました。週の前半(7月21日~22日)にリベリアを訪問した後、シエラレオネ(7月22日~23日)とギニア(7月23日~25日)を訪れました。訪問の目的は、EVDの流行の一次評価を行い、現在の流行の対応や課題を確認し、迅速に西アフリカのEVDの流行を封じ込める最善の方法を探ることでした。大統領、保健大臣、その他の政府高官、国際的NGO、現地のNGO、国連機関、その他の出資者との公式会議が開催されました。

任務の間、地域局長は流行が深刻である一方、既知の感染症の予防策と管理措置で封じ込められることを繰り返し強調しました。彼は流行は各国保健部門単独の範囲を超えているとみて、対応のために市民社会、地域社会を含むすべての部門を動員することを感染国の政府に促しました。彼は、それぞれの政府が現場レベルで十分かつ適切な国内のスタッフと他の国の資源を再配備し、文化的慣習を尊重しながら行動の変容を促進するように求めました。

彼は、国境を越えた協力を強化して効果的な調整を強化するように繰り返し指令し、公衆衛生の緊急事態への対応を調整するようWHOの指令を繰り返しました。WHOを代表して、地域局長は感染国にWHOの継続的な約束を誓い、EVDの流行を制御する国の取り組みを支援するために従事し、国際社会を動員するその役割を再確認しました。

2014年7月24日、ギニアの首相と地域局長はコナクリでWHOの小(サブ)地域流行調整センター(Sub-regional Outbreak Coordination Centre: SEOCC)を公式に発足しました。センターでは、地方、国、地域、国際レベルで技術サポートを統合し、調整します。

WHOは、拠点に参加して調整センターの活動に貢献するために、それぞれの団体の代表を配備することをパートナーに求めています。SEOCCの設立は、今月の前半にガーナのアクラで開催された緊急閣僚会議の継続活動でした。

取り組みは3か国において、接触者の追跡調査、情報公開と地域社会の動員、患者管理と感染予防と制御、調整などの流行対応のすべての側面の規模を拡大し強化するために、現在継続中です。

WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

統計の概要

エボラウイルス疾患(EVD)に起因する新しい症例および死亡例が、西アフリカの3か国、ギニア、リベリア、シエラレオネの保健省により、引き続き報告されています。2014年7月21日~23日に、12の死亡例を含む108の新規EDV症例が、3か国から報告されました。

ギニア:新規症例が12例、死亡例が5例
リベリア:新規症例が25例、死亡例が2例
シエラレオネ:新規症例が71例、死亡例が5例

この数字には、EVDに関して検査で確定された症例、可能性の高い症例、疑い症例、および死亡例が含まれています。

2014年7月23日の時点で、3か国のEVDに起因する累積症例数は、672の死亡例を含む1,201例となっています。症例の分布および分類は以下のとおりです。

ギニア:427症例(確定症例311例、可能性の高い症例99例、疑い症例17例)および死亡例319例(確定症例208例、可能性の高い症例99例、疑い症例12例)
リベリア:249症例(確定症例84例、可能性の高い症例84例、疑い症例81例)および死亡例129例(確定症例60例、可能性の高い症例50例、疑い症例19例)
シエラレオネ:525症例(確定症例419例、可能性の高い症例56例、疑い症例50例)および死亡例224例(確定症例188例、可能性の高い症例33例、疑い症例3例)

ギニア、リベリアおよびシエラレオネにおけるエボラウイルス疾患(EVD)の確定症例、可能性の高い症例、疑い症例および死亡例(2014年7月23日時点)

図.エボラ出血熱の発生状況

症例の総数には、再分類や後方視的調査、症例と検査結果の統合の結果により変更が加えられることがあります。疾患流行ニュースで報告されたデータは、保健省よって報告された現在入手可能な最良の情報に基づきます。

出典

WHO/AFRO Epidemic & Pandemic Alert and Response (EPR)
Ebola virus disease, West Africa-update 25 July 2014
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4233-ebola-virus-disease-west-africa-25-july-2014.html