世界におけるインフルエンザの流行状況について (更新14)

2014年7月28日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

世界的にみて、インフルエンザ活動は低いままでしたが、南半球で徐々に増加してきています。

  • 北米とヨーロッパでは、全体的にインフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルで推移していました。
  • 東アジアでは、インフルエンザの活動性はほとんどの国でインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスが優勢で、シーズンオフのレベルに到達しました。しかし、中国南部地域では、主としてインフルエンザA(H3N2)ウイルスにより、インフルエンザの活動性がまだ少し増加していました。
  • 北アフリカや西アジアでは、インフルエンザの活動性は低いままでした。
  • 南半球では、インフルエンザの活動性はほとんどの国で増加し続けました。南アメリカの温帯地域では、インフルエンザ様疾患(ILI)の増加が続きましたが、主としてRSウイルス(RSV)によるものでした。インフルエンザA(H3N2)が最も一般的に検出されたインフルエンザウイルスでした。オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザシーズンが、ILIによって、またインフルエンザの検出数の増加によって始まったようにみえました。これらの国では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が最も一般的に検出されるウイルスでした。南アフリカではインフルエンザの検出率が増加し、インフルエンザA(H3N2)が最も高頻度に検出されたウイルスでした。
  • 27週から28週(2014年6月29日から2014年7月12日)のFluNetの報告(協定世界時間2014年7月25日 07:15)によりますと、55の国・地域にある国のインフルエンザセンター(NICs) やその他の国内のインフルエンザ研究施設からデータが報告されました。WHO世界インフルエンザサーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、25,675以上の検体を検査しました。インフルエンザウイルスが陽性となったのは3,184検体で、このうち2,844検体(89.3%)がインフルエンザA型で、340検体(10.7%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、416検体(17.6%)はインフルエンザA(H1N1 ) pdm09で、1,948検体(82.4%)はインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、89検体(97.8%)はB-山形系統で、2検体(2.2%)はB-ビクトリア系統でした。
  • 鳥インフルエンザA(7N9)ウイルスの人への感染に関する最新情報は、WHOのウェブサイトを参照してください。
    https://www.who.int/influenza/human_animal_interface/influenza_h7n9/en/

北半球の温帯地域

北米、ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア、中央アジア
ほとんどの北半球の国で、インフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルで、例年同時期で予想されるレベルのインフルエンザB型ウイルスの低い循環がみられました。

東アジア
東アジア地域では、インフルエンザの活動性は低いままで、インフルエンザA(H3N2)が循環している主なウイルスで、インフルエンザBも一部検出されました。

中国南部では、ILIの割合は一年のこの時期として予想よりやや高く、過去数週間にわたってインフルエンザA(H3N2)の検出数の増加が報告されました。中国北部、日本、韓国では、インフルエンザの活動性はシーズンオフのレベルに達しました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
エルサルバドル、ホンジェラス、ニカラグアでは、呼吸器感染症のレベルは低いままでしたが、エルサルバドル、ホンジェラス、ジャマイカ、ニカラグア、パナマ、プエルトリコではインフルエンザBウイルスの循環が増加していることが観察されました。

ボリビアでは、過去の数週間にわたって、インフルエンザA(H1N1)pmd09とインフルエンザA(H3N2)の検出数のレベルが増加していることが報告されました。

ブラジルでは、インフルエンザA(H3N2)が最も高頻度に検出されたウイルスでした。

中央アフリカの熱帯地域
アフリカでは、全体として東アフリカ、中部アフリカ、西アフリカから報告されたインフルエンザの活動性は、カメルーンとケニアを除いて低いレベルでした。

カメルーンでは、主にインフルエンザA(H3N2) ウイルスの検出が報告され、ケニアではインフルエンザA(H1N1)pmd09ウイルスの検出が報告されました。マダガスカルとタンザニアでは、インフルエンザBの検出の増加が報告されました。

アジアの熱帯地域
ほとんどの南アジアと東南アジアの諸国では、インフルエンザの活動性は低下しているか低いレベルにとどまりました。

ラオス、タイ、ベトナムでは、インフルエンザの活動性は減少しました。シンガポールでは、インフルエンザ陽性検体(主にインフルエンザB)の数がより多く報告されましたが、急性呼吸器感染症の活動レベルは基準値以下でした。

インドとスリランカでは、インフルエンザの活動性がいくらか報告され、ほとんどでインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されました。

南半球の温帯地域諸国

南米の温帯地域
南米の温帯地域では、インフルエンザの活動性は上昇し続けました。

チリでは、ILIの活動性とインフルエンザの検出は増加し続けましたが、年のこの時期として予想される範囲内でした。27週の間では、陽性となった呼吸器検体のうち優勢(61%)を占めたのはRSウイルスで、18%はインフルエンザ陽性でした。主に循環しているインフルエンザウイルスは、インフルエンザA(H3N2)でした。

アルゼンチンでは、ILIの活動性は少し増加しましたが、年のこの時期としては比較的低いままでした。しかし、重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動性は高いレベル(警戒域)に達しました。過去数週間で検査された3,340検体からは、52.7%に呼吸器系ウイルスが検出され、8.4%がインフルエンザ陽性でした。陽性の検体の中では78.9%をRSウイルスが占めました。

パラグアイでは、インフルエンザ陽性の症例の割合が少し増加しましたが低いままでした。ILIによる受診率は前の週と比較すると増加しましたが、年のこの時期として予想されるレベルの範囲内でした。インフルエンザ陽性と確定した検体のうち、優勢であったのはRSV(40%)で、次いでインフルエンザA(H3N2)(30%)でした。

南アフリカ
南アフリカでは、インフルエンザの検出はインフルエンザA(H3N2)が優勢で、増加しました。

オセアニア メラネシア、ポリネシア
オーストラリアとニュージーランドの両方で、ILIおよびインフルエンザの検出数の増加が報告され、インフルエンザシーズンが始まったことが示唆されました。主に検出されたウイルスは、インフルエンザA(H1N1)pmd09でした。オーストラリアではILIの活動性が、最終週で増加し始めましたが、全体として活動性は予想される季節変動に沿ったままでした。過去数週間の間で、検査室で確定診断された症例の届け出数も増加を示し始めました。ニュージーランドではILIの受診率が季節の閾値を超えましたが、ニュージーランドの平均流行曲線を下回ったままでした。検査された472の呼吸器検体の中で、155件(33%)がインルフルエンザ陽性で、インフルエンザA(H1N1)pmd09が最も高い頻度で検出されたウイルスでした。太平洋諸島では、ILIの活動性には変動があり、いくつかの島で減少傾向が観察されました。しかし、アメリカ領サモア、フィジー、ニュージーランド、ニウエ、北マリアナ諸島、バヌアツでは、ILIの活動性は増加しました。

出典

WHO Influenza update 28 July 2014-Update number216
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/latest_update_GIP_surveillance/en/