西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について (更新11)

8月4日付けの世界保健機関(WHO)の情報による西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況です。

流行状況とサーベイランス

2014年7月31日と8月1日の間で、エボラウイルス疾患(EVD)に関して、163例の新規症例(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例)と61例の死亡例が、ギニア、リベリア、ナイジェリア、シエラレオネから報告されました。これらの症例のうちの3症例はナイジェリアで生じ、1例の医療従事者の症例および1例のギニアに旅行したナイジェリア人症例の計2例の新規の可能性の高い症例、および1例の看護師の疑い症例が含まれています。

1名のEVDに罹患したリベリア国籍者が、最近ナイジェリアを訪問しており死亡したこと、そしてギニアに旅行したナイジェリア人に新規にEVDの可能性の高い症例がみられたことを受けて、ガーナ、ナイジェリアおよびトーゴの国家当局は、WHOおよびそのパートナーとともに、接触者の同定および接触者の追跡調査、また対応計画の準備について密接に作業を続けています。

保健部門の対応

エボラの流行状況を調査し、下部地域(sub-region)からエボラを根絶する共通戦略をとるために、世界保健機関事務局長は、ギニアを訪問し、ギニア、リベリア、シエラレオネの大統領と高官レベルの会議を開催しました。コートジボワール、ギニア、リベリア、シエラレオネで構成される、マノ河連合(Mano River Union)の国家元首の共同声明が出され、指導者は、流行に対して追加資源を傾注することを誓約しました。この声明には次の手段が含まれることになります。

  • 特定の地域を警察および軍によって隔離し、この地域の市民に対して物質的支援を行うことなど、国境を越える地域に焦点を置くため、国家間のレベルで行動をとること。これらの地域の保健センターは治療、検査、接触者追跡調査に対する機能が強化されます。埋葬は国家保健規則に従って行われることになります。
  • 医療従事者が職務を遂行するに当たって、危惧をいだかずに、義務を果たせるように、医療従事者に対してインセンティブを与え、治療、防御手段を提供する。さらに、エボラに取り組んでいる国家および国際要員に対する安全も保証されることになります。
  • できるだけ早期に流行を収束させるため、国家元首は自分の役目を果たすこと。この目的のために、国際社会は、サーベイランス、接触者の追跡、症例管理、検査機能の能力向上のため、感染の影響を受けた国々を支援します。
  • 私的および公的部門が共同作業できるように、また効果的かつ効率のよい根絶作業が行えるように、地域共同体がEVDを理解できるように自覚を促す努力ができるように、それらの部門に対する動員作業を行うこと。
  • 国家対応計画の中で概要が述べられた必要な介入処置をただちに実行するため、すべての部門の参加を促す。これらの手段が協調してとられるようにする。適切な技術を持った国家および国際的な人的資源を展開する。適切な財源を集め、割り当てを行う。国境を越えた移動についてサーベイランスを強化する。
  • 文化的背景を考慮しながら、疾患への意識を高め、地域共同体の参加を促す努力をするため、情報提供およびコミュニケーションの体制を改善する。
  • 医療従事者がEVDに罹患し死亡することを防止するため、すべての治療センターで感染予防と防御措置を改善する。
  • 地域戦略の監視および評価システムを機能させ、EVD関連の研究を行う。

WHOのパートナー、国連機関、その他の利害関係者から、人的資源や財政的支援を動員することが引き続き求められています。金曜日に、WHOおよび感染の影響を受けた国々は、ギニア、リベリア、シエラレオネ、その近隣各国およびその他の地域各国を網羅する、西アフリカエボラウイルス疾患流行対応計画(Ebola Virus Disease Outbreak Response Plan in West Africa)(7月-12月)を発出しました。http://who.int/csr/disease/ebola/outbreak-response-plan/en
WHO-3か国共同計画では、共同声明中の手段に対応する、推算1億50万USドル(資金不足は7100万USドル)の追加の人的および物的資源について要請を行っています。

統計の概要

エボラウイルス疾患(EVD)に起因する新しい症例および死亡例が、西アフリカの4か国、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリアの保健省により、引き続き報告されています。2014年7月31日~8月1日に、163の新規EDV症例(確定症例、可能性の高い症例、疑い症例)と61の死亡例が、4か国から報告されました。

ギニア:新規症例が13例、死亡例が12例
リベリア:新規症例が77例、死亡例が28例
ナイジェリア:新規症例が1例、死亡例が0例
シエラレオネ:新規症例が72例、死亡例が21例

図.エボラ出血熱の発生状況

2014年8月1日の時点で、4か国のEVDに起因する累積症例数は、887の死亡例を含む1,603例となっています。

症例の分布および分類は以下のとおりです。

ギニア:485症例(確定症例340例、可能性の高い症例133例、疑い症例12例)および死亡例358例
リベリア:468症例(確定症例129例、可能性の高い症例234例、疑い症例105例)および死亡例255例
ナイジェリア:4症例(可能性の高い症例0例、疑い症例3例、疑い症例1例)および死亡例1例
シエラレオネ:646症例(確定症例540例、可能性の高い症例46例、疑い症例60例)および死亡例273例

症例の総数には、再分類や後向き調査、症例と検査結果の統合の結果により変更が加えられることがあります。疾患流行ニュースで報告されたデータは、保健省によって報告された現在入手可能な最良の情報に基づきます。

出典

WHO Global Alert and Response(GAR)
Ebola virus disease update- West Africa, 4 August 2014
http://www.who.int/csr/don/2014_08_04_ebola/en/