アメリカ大陸における麻しんの流行への注意事項

2015年2月9日に、汎米保健機構/世界保健機関(PAHO/ WHO)は、関係各国に麻しんと風しんからアメリカ大陸全土の住民をまもるために、各国関係者に対して注意情報を発表しました。

註:流行が発生している状況に対する注意情報を新着情報に掲載しています。アメリカ大陸に向けて発信された情報です。

それぞれの対象者へのアドバイス

1.旅行者に対して

出発前

  1. 1)PAHO/ WHOは各国関係者に、記載された麻しんが流行している地域へ旅行する際には、生後6ヶ月以上のすべての旅行者に麻疹と風疹のワクチン、できればMMRワクチン(はしか、おたふく風邪、風疹)を確実に接種していくことの助言を勧めています。理想的には、ワクチンは少なくとも出発の2週間前に接種されるべきです。
  2. 2)1歳の誕生日前にMMRワクチン接種を受けた幼児は、それぞれの国の予防接種スケジュールにしたがって再接種を行う必要があります。
  3. 3)いままでにワクチンを接種したことのない旅行者は、今もウイルスの流行が続いている国から来た旅行者と身近に接触した際に、麻しんや風しんに感染するリスクが高くなると考えてください。
  4. 4)麻しんと風しんのワクチンが医学的に禁忌の人にはワクチン接種は勧められません。また、6ヶ月未満の乳幼児は予防接種を行うべきではありません。
  5. 5)麻疹と風疹に対して免疫力を有すると考えられる人は以下のとおりです。
    • 両種のワクチン接種を受けたことが書かれた証明書類をもっている者
    • 両種に対する特異抗体IgGの検査でこれを保有していることが確認された者

旅行中

  1. 1)旅行者は以下の症状を確かめてください。
    • 発熱
    • 皮疹
    • 咳、鼻汁、結膜充血
    • 関節痛
    • リンパ節の腫脹
  2. 2)旅行者は麻しんや風しんが疑われた場合、以下の行動をとってください。
    • 専門の医療機関を探してください
    • それ以外は、滞在している場所(ホテルや住所)にとどまり、専門の医療機関の指示に従ってください
    • 皮疹が現れてから7日間は他の人との身近な接触を避けてください。
    • 公共の場所への観光や訪問は避けてください。

旅行後

  1. 1)旅行者は麻しん又は風しんが疑われたならば、専門の医療機関を探し、滞在している場所にとどまってください。
  2. 2)旅行者は上記のいずれかの症状が現れた場合には、医師には旅行のことを確実に話してください。

2.医師および医療関係に対して

  1. 1)PAHO/ WHOは、医療に携わる医療、行政および保安担当者においては麻疹と風しんの抗体検査の実施を勧めています。
  2. 2)国際旅行中の者は、民間医療施設で医療手当てを求める可能性があるので、麻しん又は風しんが疑われる患者が直ちに所轄の保健行政当局に報告しなければならないことは、民間医療機関の担当者にも周知されるようにしてください。両疾患を速やかに報告することが、国内感染サーベーランスと対策システムからの適切な対応を受けることを可能にします。
  3. 3)医療従事者は常に患者から旅行歴について尋ねることを心がけてください。

3.旅行者の行程で接触した人と施設に対して

  1. 1)旅行業や輸送業の担当者(ホテル、空港、タクシーなどの職員)には、麻しんと風しんに対して万全にワクチン接種を受けていること、ワクチン接種を受けるための必要な基準と運用規定を定めていることを勧めています。
  2. 2)症状のある旅行者が直ぐに医療処置を求めることは分かっているので、麻しんと風しんの症状に対する公共での啓発キャンペーンを実施することを勧めています。空港、港、バス停留所、旅行代理店、航空会社などには、情報が置かれているべきです。

4.麻しんの確定診断を受けた患者との接触者の追跡について

  1. 1)国内で準備された接触者に対するガイドラインに則って、接触者の追跡を行うことを勧めています。
  2. 2)これらの活動を実施している間、接触者追跡がもつ国際的な意味合い、以下のシナリオと運用を考えてください。
    • 患者が他国でその国の機関によって確認されたとき、各国の機関は国内での接触者が住んでいる住所を特定することを求めます。各国の機関はこれらの接触者の場所を特定するために全ての機関を動員することが促されますが、活動の際に利用できる情報は限られており、(これらは)状況に応じて努力(目標)であることが保証されるべきものです。保健サービスは、疑い患者を発見するために接触者がいる高い可能性と実際にいることに対して注意を払うべきです。
    • 患者は、発見時の病気の経過時期によって、対応が分けられます。
      • 現在発症している患者:各国の機関は、接触者がいる可能性のある海外の場所についての情報を得て、それを該当する各国の機関に知らせる必要があります。
      • 感染していたことが判明した患者:患者の旅行行程を検証して、各国の機関は、この事例が麻疹ウイルスの発生や流行の最初の兆候であった可能性について、該当国や関係各国に知らせる必要があります。

出典

PAHO.Epidemiological Alert.Measles outbreaks implications for the Americas. 9February2015
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=29016&lang=en