2015年のニュース

世界マラリア・デー:マラリアを打破するため予防と治療でのギャップを埋める呼びかけ

2015年4月23日 WHO (原文[英語]へのリンク

 WHOは、世界中の健康な地域社会に対して、緊急にマラリアの予防・診断・治療における重大なギャップに対処することを呼びかけています。2000年以降、マラリアの患者数および死亡数は劇的に減少していますが、それでも毎年50万人以上の生命がこの予防可能な病気によって奪われています。

 マラリアによる死亡者の少なくとも3/4は5歳未満の子どもです。2013年にはまだ、アフリカでマラリアに感染した子どもの約1/5しか効果的な治療を受けておらず、1,500万人もの妊婦が推奨される1回の予防薬投与さえも受けていません。アフリカの推定2億7,800万人がひとつの殺虫剤処理された蚊帳もなく生活しています。

 「私たちは4月25日の世界マラリア・デーを記念するときに、マラリアによる人々の苦悩を軽減するために、予防対策や品質の保証された検査と治療の拡大が緊急に必要なこととして認識しなければなりません。」とWHOのHIV /エイズ、結核、マラリアおよび見過ごされがちな熱帯病(Neglected Tropical disease) を担当する副事務局長Hiroki Nakatani博士は述べています。

治療ガイドラインの更新

 「マラリアの治療のためのガイドライン」が更新され、今週、WHOから発行されています。この中では、5歳未満の子ども及び妊婦に対する最新の予防的治療に関する推奨が述べられています。更新されたガイドラインでは、推奨される治療を受けるための環境整備を拡大することも支援します。

 合併症を伴わないマラリア患者には、アルテミシニン·ベースの併用療法(ACT療法)の選択が推奨されています。世界では、2005年に1,100万人でしかなかったACT療法が、2013年にはマラリア流行国の3億9,200万人に対して提供されました。それでも、この病気が流行する地域では数百万もの人々が、主に公衆衛生対策へのアクセス環境が限られているという理由で、未だにマラリアの治療を受けていません。

 WHOは、マラリアが疑われた患者には全員に診断検査を行うことを推奨しています。マラリア治療薬はこの病気の患者のみに使用されるべきもので、検査が陰性ならば発熱に対する他の原因を調べることを確実に実行すべきです。迅速診断検査(RDT)は広く使用されています。2008年の4,600万個に対して、2013年には3億1,900万個が購入されました。このような進展があるにもかかわらず、アフリカの公衆衛生施設では疑いマラリア患者のほぼ40%が検査されずにいます。

 WHOはまた、サハラ以南のマラリア流行地域における感染に脆弱な人々、即ち、妊婦、5歳未満の子ども、幼児に対して、マラリアからの感染リスクを軽減するために予防薬の投与を受けることを推奨しています。予防的治療は、非常に費用対効果が高く、毎年数万人の生命を救う潜在能力をもっています。しかし、このような治療を適用できている範囲は未だに小さく、大きく広げる必要があります。

排除に向けた対策の加速-新たなWHOの戦略

 WHOは2016年から2030年までの新たなグローバルマラリア戦略を作成しました。これは2015年5月の世界保健総会で議論される予定です。流行国や支援団体との緊密な協議の中で作成された新しい戦略では、2020年までにこの病気の40%、2030年までに90%の苦悩負荷を軽減することを目標として設定しています。また、2030年までに少なくとも新たに35か国でこの病気を排除することも目標にしています。戦略では、マラリア排除に向けた進展の維持と加速のために、各国で目的に合わせた行動計画を作成するための包括的な枠組みも提供します。

 マラリアの排除に向けた公約が、既にたくさんの国と地域で作成されてきました。近年では、排除に向けた取り組みが、アフリカのたくさんの地域、例えば、南部アフリカの「撲滅8か国(アンゴラ、ボツワナ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、スワジランド、ザンビア、ジンバブエ)」、同様に、中央アメリカ、イスパニョーラ島(Hispaniola)や東南アジアで強化されています。2014年の東アジアサミットで各国首脳は、2030年までにアジア太平洋地域からマラリアを排除することを公約として掲げ、現在、大メコン圏での排除戦略に取り組んでいます。

 「我々は、次の段階でのマラリアとの戦いに取り組む必要があります。排除に向けた動きには、この病気のサーベイランスにおける大幅な新規投資を含む高度なレベルでの政治的公約と強固な資金調達を必要とします。」とWHOグローバル·マラリア·プログラムのディレクターであるPedro Alonso博士は述べています。「さらに、我々は薬剤や殺虫剤に対する抵抗性の出現に対して取り組む新たな道具とともに、再策の進展を加速させる革新的なアプローチを必要としています。」とも、博士は述べています。

 政治的な公約の増加と大きな資金により、2001年以来、400万人以上のマラリアによる死を回避することができました。マラリアが流行する97の国と地域のうち55の国で、2000年から2015年の間にマラリア発生の75%を減少させるという現在の世界保健総会の目標を達成する軌道に乗せています。

出典

Media center, WHO. News release. World Malaria Day: call to close gaps in prevention and treatment to defeat malaria. 23 APRIL 2015. GENEVA.
http://www.who.int/mediacentre/news/releases/2015/world-malaria-day-2015/en/

参考

WHO.Guidelines for the treatment of malaria.Third edition. April 2015
http://www.who.int/malaria/publications/atoz/9789241549127/en/