世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新9)

2015年5月18日 WHO (原文[英語]へのリンク[PDF形式:698KB]

要約

地球全体で、インフルエンザの活動は低調な状態にあります。北半球ではオフ・シーズンに近づき、南半球ではインフルエンザの活動が低調にとどまっています。熱帯地域の国々では、アジア熱帯地域と西アフリカのいくつかの国を除いて、インフルエンザの活動は低調な状態であることが報告されています

北半球の温帯地域

北米
北米では、インフルエンザの活動は全体で弱まってきています。最近の数週間におけるインフルエンザBの減り方が活動のゆっくりした弱まり方に起因しています。

カナダでは、インフルエンザの活動は弱まってきており、インフルエンザBの活動が第12週をピークに低下してきています。

アメリカ合衆国では、インフルエンザの活動は弱まってきています。一方で、シーズンの最後に流行したインフルエンザBの活動は続いています。

メキシコでは、インフルエンザAとインフルエンザBの両方の検出数が減ってきています。しかし、前回の報告で人口10万人あたり299人であった急性呼吸器感染症(ARI)の活動が、人口10万人あたり333人で僅かに増加しています。肺炎の活動は、最新週では人口10万人あたり2.3人で減ってきていますが、まだ基準レベルを越えています。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、インフルエンザの活動は報告のあるほとんどの国で弱まってきています。検体の陽性率は14%で、前週の25%よりも減りました。しかし、まだ警戒レベルである10%を上回る状態です。インフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)の流行が弱まっていますが、インフルエンザBはまだ流行しています。ほとんどの国で陽性検体から検出されるのはインフルエンザBで、その流行は終局を迎えています。一方、ウクライナはまだシーズンの中にあり、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されます。

北アフリカ及び中東
北アフリカと中東では、インフルエンザの活動はほとんどの地域で弱まりました。

西アジアと東アジア
西アジアでは、インフルエンザの活動の高まりを報告する国はほとんどありません。現在、ヨルダンでインフルエンザの活動が続くいくつかの報告がありますが、インフルエンザA(H1N1)pdm09の活動は弱まっています。

中央アジア
中央アジアと東アジアでは、インフルエンザの活動の高まりを報告する国はほとんどありません。いくつかの国で低いレベルでのインフルエンザBの活動が報告されています。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
全体として、カリブ地域、中央アメリカ、一部のアンデス地域では、インフルエンザの活動は最小となっています。ほとんどの国でインフルエンザの活動が報告されることはありません。グアテマラでは、この数週間にその前の数週間と比べてインフルエンザA(H3N2)の検出が僅かに増えていることが報告されました。

中央アフリカ熱帯地域
アフリカでは、西アフリカを除いてインフルエンザの活動は低調であることが報告されています。コートジボアールでは、この数週間、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pdm09によるインフルエンザの活動がいくつか報告されています。ガーナでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)およびB型の検出によるインフルエンザの活動の増加が報告されています。

アジア熱帯地域
アジア熱帯地域では、全域を通してインフルエンザの活動が弱まっています。ブータンでは僅かながらインフルエンザAの検出が報告されました。一方、スリランカでは、インフルエンザAウイルスとBウイルスの両方が検出され続けていることが報告されています。

南半球の温帯地域諸国

南半球では、報告のあるほとんどの国でインフルエンザの活動はオフ・シーズンのレベルにとどまっています。南アフリカでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)およびB型全てが流行しており、インフルエンザ・ウイルスの検出を僅かずつ増加させていることが報告されています。オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザの活動はまだシーズン基準レベル以下にありますが、散発的にインフルエンザA(H1N1)pdm09とA(H3N2)およびB型ウイルスが検出されています。

出典

WHO.Influenza Update number237. 18 May 2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_05_18_surveillance_update_237.pdf?ua=1[PDF形式:698KB]