2015年のニュース

オンコセルカ症について (ファクトシート)

2015年5月 WHO (原文[英語]へのリンク

要点

オンコセルカ症は、河川盲目症とも呼ばれ、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)という寄生虫によって起こります。
オンコセルカ症は、感染したブユ(Simulium属)に人が繰り返し刺されることで感染します。
症状には、激しい掻痒、外観を損なう皮膚の変化、永久失明を含む視覚障害があります。
感染者の99%以上がアフリカの31か国で発生していますが、ラテンアメリカやイエメンの一部地域でも発生しています。
オンコセルカ症を排除するための中核的な戦略として、アフリカではイベルメクチンを用いた地域主導型治療が、アメリカ大陸では、イベルメクチンを用いた年2回の広範囲での治療が行われています。
2013年のコロンビアに続いて、エクアドルが、数10年にわたり排除活動を実施したことにより、2014年9月にオンコセルカ症の脅威から開放されたことを宣言する世界で二番目の国となりました。

 オンコセルカ症—河川盲目症—は、ブユ(Simulium spp.)に繰り返し刺されることで回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)に感染する寄生虫症です。ブユは流れの速い河川で繁殖し、ほとんどは人間が農業を営む肥沃な土地の近くにある僻村に生息しています。

 人の体内で、回旋糸状虫の成虫はミクロフィラリア(被鞘幼虫)を産みだし、そのミクロフィラリアは、皮膚、眼、その他の臓器に移行していきます。メスのブユは、感染した人の血を吸う際にミクロフィラリアを同時に吸い込み、体内で回旋糸状虫を成長させ、次にヒトを刺した際にヒトに感染させます。

所見と症状

 オンコセルカ症は眼と皮膚の疾患です。症状はミクロフィラリアによって引き起こされます。ミクロフィラリアが皮下組織に移行して炎症を起こし、特に、それらが死滅する際に激しい炎症反応を誘発します。感染した人は、激しい掻痒や様々な皮膚症状を発現します。ほとんどの場合、小結節が皮下に現れます。感染した人の中には、視覚障害や永久失明に繋がる眼病変が現れることがあります。

地理的分布

Map: Distribution of onchocerciasis worldwide, 2014 png, 54kb

 オンコセルカ症は主に熱帯地域で発生しています。感染者の99%以上は、以下に示すサハラ以南のアフリカにある31か国で発生しています。アンゴラ、ベナン、ブルキナファソ、ブルンジ、カメルーン、中央アフリカ、チャド、コンゴ共和国、コートジボワール、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、エチオピア、ガボン、ガーナ、ギニア、ギニア・ビサウ、ケニア、リベリア、マラウイ、マリ、モザンビーク、ニジェール、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、シエラレオネ、南スーダン、スーダン、トーゴ、ウガンダ、タンザニア、また、イエメンでも発生しています。

 さらに、オンコセルカ症は、ブラジル、グアテマラ、メキシコ、ベネズエラなど、いくつかのラテンアメリカの国でもみられます。

予防、感染制御、排除計画

 回旋糸状虫の感染を予防するワクチンや医薬品はありません。

 1974年から2002年にかけて、オンコセルカ症感染制御計画(Onchocerciasis Control Program; OCP)の活動によって、西アフリカのオンコセルカ症は感染制御の下に置かれました。主に、ヘリコプターや航空機でブユの幼虫に対して殺虫剤スプレーを散布するというベクター・コントロールという対策を行っていました。1989年以降は、広範囲でのイベルメクチンの配布が行われています。

 OCPによって、4,000万人の感染を予防し、60万人の失明を防ぎ、1,800万人の小児が疾患と失明の脅威に晒されずにすみました。また、2,500万ヘクタールの土地が開墾され、人が居住し、農業生産を行えるようになり、1年間に1,700万人の食事を賄えるようになりました。

 1995年に、オンコセルカ症が常在する国でのオンコセルカ症の感染制御を目的として、アフリカ・オンコセルカ症対策計画(the African Programme for Onchocerciasis Control; APOC)が進められました。その計画の主な戦略は、環境的に安全な方法で適切にベクター・コントロールを行いながら、イベルメクチンを用いて自立した地域主導型治療を確立させることでした。

 2013年には、地域主導型治療(community-directed treatment with ivermectin; CDTI)の戦略を実施しているAPOC 24か国の1億人以上の人々にイベルメクチンが配布されました。これは、治療対象者の約60%に配布されたことになります。

 アメリカ・オンコセルカ症排除計画(the Onchocerciasis Elimination Program of the Americans; OEPA)が、2012年までにイベルメクチンを用いた年2回の広範囲での治療により、アメリカ大陸全域でオンコセルカ症による眼への罹患と感染伝播を排除することを目的に1992年から開始されました。2006年に感染者が発生している全13地域で85%以上の人に治療が行われ、2011年末までに13地域のうち10地域で疾患の感染伝播が止まりました。

 国際的関係機関の支援により、感染地域の住民への大規模な治療が成功し、コロンビアでは2007年に、エクアドルでは2009年に、それぞれこの疾患の感染伝播を止めることができました。グアテマラとメキシコでも2011年に感染伝播を止めることができました。現在、排除に向けた取り組みは、ブラジルとベネズエラに住むヤノマミ族に焦点が当てられています。

 2013年4月5日、WHOの事務局長は、コロンビアがオンコセルカ症の排除を達成したことを承認する公式文書を発行しました。コロンビアの大統領は2013年7月29日にボゴタで開催された式典で、このWHOの証明を公表しました。コロンビアはその後、WHOがオンコセルカ症の排除を証明し宣言した世界で最初の国となっています。続いて、2014年9月29日には、エクアドルが河川盲目症の脅威からの解放を宣言した二番目の国となりました。

治療

 WHOは、オンコセルカ症の治療として、約10年から15年間、イベルメクチンを少なくとも年1回投与することを推奨しています。回旋糸状虫とともにロアロア(Loa loa)という別の糸状虫が常在しているカメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、南スーダンでは、重篤な副反応が起こったときの管理を行うために、メクチザンに関する専門家会議(the Mectizan Expert Committee; MEC)とAPOCが推奨する指示に従うことが勧められます。

WHOの取り組み

 WHOはAPOCの実施機関です。WHO本部は、行政研究や、技術的研究、運営上の研究を支援しており、WHOアフリカ地域事務局は、APOCの管理を監督指導しています。WHOはOEPAのパートナーシップを通じて、常在国や国際的な関係機関との連携を行っています。

 WHOは、現在、イエメン保健省、世界銀行、その他の国際的な関係機関と連携して、イエメンでの排除計画を推進しています。

出典

WHO. Onchocerciasis. Fact sheet N°374. Updated March 2015.
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs374/en/