2015年のニュース

世界におけるインフルエンザの流行状況 (更新14)

2015年7月27日 WHO (原文[英語]へのリンク

要約

 地球全体で見ると、南半球ではインフルエンザの活動が高まってきていました。一方、北半球では低い状態が続いています。

北米、ヨーロッパ、アジア温帯地域では、散発的に主としてインフルエンザBを検出することはあるものの、インフルエンザの活動性は依然として低く、オフシーズンのレベルでした。
アフリカ北部、中央部、東部、西部においては、少数の国で低レベルのインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)の同時循環をともなった、インフルエンザBを主とした循環が報告されました。
アメリカ大陸の熱帯地域/中米、カリブ地域では、全般的にインフルエンザの活動性は低く、オフシーズンのレベルにあると報告されました。キューバだけで、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出数が若干増加していることが報告されました。
西アジアおよびアジア温帯地域では、この数週間、西アジアでインフルエンザA(H1N1)pdm09の同時循環をともなった、主としてインフルエンザBの循環が報告されましたが、インフルエンザの活動は低レベルでした。中国北部では、インフルエンザA(H3N2)の検出数が若干増加していることが報告されました。
アジア熱帯地域では、南アジア諸国でインフルエンザA(H3N2)を主としたインフルエンザの活動性が高まっていましたが、減少傾向にあります。東南アジアでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの同時循環をともなった、インフルエンザA(H3N2)を主とした循環が報告されました。
南米温帯地域では、この数週間でインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)を主としたインフルエンザの活動性が高まりました。全体的に、インフルエンザの活動性は季節変動に沿っていますが、ここ数年に比べると低レベルです。パラグアイでは、インフルエンザの活動性が急激に高まりました。
南アフリカでは、この数週間インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)が主に循環していますが、活動性は減少しました。
オーストラリアとニュージーランドでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザB両者の循環がみられ、インフルエンザの活動性が引き続き高まっています。
2015年6月29日から7月12日に対するデータが、FluNet(協定世界時間2015年7月27 12:46:00)に基づき68の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から、集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、21,868本を越える検体が検査されました。インフルエンザウイルスが陽性となった検体は2,206本で、このうち1,680検体(76.2%)がインフルエンザA型、525検体(23.8%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、175検体(12.9%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1178検体(87.1%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、89検体(94.7%)がB-山形系統で、5検体(5.3%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
 全体的に、北米のインフルエンザの活動は低くオフシーズンのレベルでした。カナダおよびアメリカ合衆国では、6月の終わり頃にインフルエンザBの検出数が若干増加していました。その後検出数は減少しました。カナダでのインフルエンザ様疾患(ILI)の活動性、またメキシコでの肺炎の活動性は、年のこの時期としては予想されるレベルを若干上回ったままです。

ヨーロッパ
 ヨーロッパでは全ての地域で、インフルエンザの活動性は低い状態で、散発的に、循環しているウイルスとしてインフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBウイルスが混在した形で、インフルエンザウイルスが検出されました。このオフシーズンの時期、大半の国で報告数が減少していました。

北アフリカ
 北アフリカ諸国は、インフルエンザの検出数はこの時期には低レベルであり、2015年5月以降の報告を中止しました。

西アジア
 西アジア諸国では、この数週間のインフルエンザの検出数は低レベルであると報告されました。このシーズンに主に流行したウイルスはインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。しかし、同時にインフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBも流行していました。バーレーンでは、インフルエンザBが低いレベルで循環している一方、この数週間でインフルエンザ様疾患(ILI)の件数が若干増加していることが報告されました。

中央アジア
 中央アジア地域では、この数週間、インフルエンザの検出数およびインフルエンザ様疾患(ILI)の症例数も少数でした。

東アジア
 東アジア諸国では、インフルエンザの活動レベルが低いことが報告されました。中国北部では、この数週間でインフルエンザの検出数が若干増加しました。しかし、活動レベルは低いままです。この地域では、主としてインフルエンザA(H3N2)がみられており、同時に低レベルでインフルエンザB(山形系統)およびインフルエンザA(H1N1)pdm09がみられています。日本、モンゴル、韓国のすべてで、この数週間でのインフルエンザの活動性は低いことが報告されています。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
 アンデス山脈の一部地域、カリブ地域、中米では、少数の国を除き、全般的にインフルエンザおよびRSウイルスの検出数は低レベルか、減少傾向にあることが報告されました。キューバでは重症急性呼吸器感染症(SARI)の症例数が増加していた一方、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出数が増加しました。この地域を通して、インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザA(H1N1)pdm09が主に検出されたウイルスでした。

中央アフリカ熱帯地域
 アフリカ東部および中央部では、インフルエンザA(H1N1)pdm09およびインフルエンザA(H3N2)が同時に循環していましたが、インフルエンザの活動レベルは低いことが報告されました。西アフリカでのB型インフルエンザの活動性は低いレベルで、この数週間に流行している主な株はインフルエンザB(山形系統)でした。セネガルでは、インフルエンザBを主としたインフルエンザ検出数の若干の増加がみられました。ガーナでのインフルエンザの検出数は減少し、低レベルのインフルエンザA(H3N2)の循環がある一方、この数週間ではインフルエンザA(H1N1)pdm09およびインフルエンザB(山形系統)が主なウイルスでした。

アジア熱帯地域
 アジア南部では、全体としてインフルエンザの検出数および活動性は低レベルにあることが報告されました。ブータン、インド、イランではインフルエンザの活動性は低レベルで、この数週間ではインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBが循環していました。

 中国南部でのインフルエンザ様疾患(ILI)の活動性は高まっていましたが、減少傾向を示しています。しかし、インフルエンザの検出数は増加し、主にインフルエンザA(H3N2)が循環しており、同時に低レベルのインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザB(山形系統)の両方が循環していました。

 2015年3月以降、中国で抗原性が確認されたインフルエンザA(H1N1)pdm09およびインフルエンザA(H3N2)ウイルスは、2015年南半球向けワクチンに含まれていたワクチンウイルスと抗原性が類似していました。抗原性を確認した少数のインフルエンザB(ビクトリア系統)ウイルスは、4価インフルエンザワクチンに含有されているワクチンウイルスと抗原性が類似していました。インフルエンザB(山形系統)のほとんどは、2015年南半球向けワクチンの構成成分として推奨されていたウイルスと近縁性の高いウイルスでした。

 中国香港特別行政区では、この数週間の間にインフルエンザの活動性はピークとなり、減少し始めました。循環している主なウイルスはインフルエンザA(H3N2)で、その他の型に比べて割合が増加しました。

 スリランカでは、インフルエンザ検出数は6月後半に活動性のピークを迎え、減少していることが報告されました。主に循環しているウイルスはインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。

 東南アジア諸国では、インフルエンザの活動性が低いレベルにあることが報告されました。ラオスでは、インフルエンザの検出数が若干増加したことが報告されましたが、活動性は依然として低レベルのままでした。インフルエンザB(山形系統)の低レベルの循環とともに、主としてインフルエンザA(H3N2)が循環していました。シンガポールでは、活動性の低いインフルエンザシーズンにあり、循環している主なウイルスはインフルエンザA(H3N2)であることが報告されました。バングラデシュでは低レベルのインフルエンザの検出が報告され、その大部分がインフルエンザA(H1N1)pdm09でした。

南半球の温帯地域

 全体として南半球では、南アフリカを除きインフルエンザの活動が高まりました。

アフリカ南部
 南アフリカでは、インフルエンザの検出数は低下し、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)がみられました。同時に低レベルのインフルエンザBウイルスの循環がみられました。しかし、この数週間で肺炎およびインフルエンザによる入院数は増加していました。

オセアニア、メラネシア、ポリネシア
 オーストラリアでは、この数週間でインフルエンザの検出数は増加しましたが、予想される水準に止まりました。この数週間では、インフルエンザB(山形系統)が循環している主なウイルスで、低レベルのインフルエンザA(H3N2)の循環をともなっていました。インフルエンザの活動性はオーストラリアの過去の季節変動に沿ったものでした。

 ニュージーランドのインフルエンザの活動性は同国の流行シーズンの閾値を上回りましたが、同国の季節レベルの平均より低い状態で推移しました。季節変動に沿った形で、この数週間ではインフルエンザ陽性となったインフルエンザ様疾患(ILI)および重症急性呼吸器感染症(SARI)の症例検出数が増加しました。インフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザB(山形系統)の両者が循環しており、これまでに抗原性を確認したウイルスは、2015年南半球向け3価インフルエンザワクチンで推奨されていたワクチンウイルスと抗原性が類似のものでした。太平洋の島々およびフランス領ポリネシアでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動性が引き続き低い状態でした。

南米温帯地域
 南米温帯地域では、インフルエンザの活動レベルが高まりました。活動レベルは季節変動に沿っていましたが、全体としてここ数年と比較して低レベルでした。この数週間では、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)が主なウイルスで、低レベルのインフルエンザBの循環をともなっていました。この地域内で、重症急性呼吸器感染症(SARI)および急性呼吸器感染症(ARI)の活動性が高まっていました。

 アルゼンチンでは季節変動に沿う形でインフルエンザの活動性が高まりました。しかし、これまでの数シーズンと比較すると、インフルエンザの活動性は低レベルでした。アルゼンチンでのRSウイルスの活動性は高まっていましたが、減少傾向を示しました。

 チリでのインフルエンザの活動性は低いものの、上昇傾向を示しました。インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザBが同時に循環していました。インフルエンザ様疾患(ILI)の検出数は季節変動に沿ったものでしたが、これまでのところ、ここ数シーズンと比較して低レベルで維持されました。RSウイルスのレベルはこの数週間で増加しました。

 パラグアイでは、この数週間でインフルエンザの活動性が急激に増加し、高レベルになりました。インフルエンザ様疾患(ILI)は予想されるレベルよりも増加しました。インフルエンザA(H1N1)pdm09およびインフルエンザA(H3N2)が主に循環しているウイルスで、低レベルのインフルエンザBの循環をともなっていました。パラグアイの北部地域では、急性呼吸器感染症(ARI)の頻度が著しく増加していました。RSウイルスの活動性はこの数週間で低下しました。

出典

WHO. Influenza Update number 242. 27 July 2015
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2015_07_27_surveillance_update_242.pdf