2016年のニュース

非季節性インフルエンザ発生の概況

2016年1月20日 WHO(原文[英語]へのリンク

2016年1月20日付けで、世界保健機関(WHO)から人と動物に共通するインフルエンザ感染症の概況が公表されました。ここでは、随時、WHOに発生が報告される鳥インフルエンザ(H7N9)以外の非季節性インフルエンザの情報を掲載します。さらなる情報は原文を参照してください。

鳥インフルエンザA(H5)ウイルスの人への感染
 2015年12月14日のインフルエンザ情報の更新以降、鳥インフルエンザ(H5N1)患者2人が新たに検査確認されたことがWHOに報告されました。
 1例目は、バングラデシュMymensing(マイメンシン)地区に住む60歳男性で、2015年10月12日に重症急性呼吸器感染症(SARI)で入院しました。SARIの検査の一環として、入院時に鼻腔と咽頭のスワブ検体が採取されました。患者は完全に回復しました。発症の前、患者は裏庭で飼っている家禽との接触機会がありました。
2例目は、中国四川省に住む42歳男性で、2015年12月27日に発症しました。患者は12月31日に入院し、重篤な容態が続いていました。この患者には家禽との接触機会がありました。

 2003年から2016年1月20日までに、16か国から846人が検査で確認されたことが報告されました。このうち、449人が死亡しています。

 この報告期間には、鳥インフルエンザA(H5N6)ウイルス感染者5人が検査で確認されたこともWHOに報告されました。全員が中国広東省からです。
 1. 26歳女性。2015年12月24日に発症し、死亡。アヒル肉の取り扱いあり。
 2. 40歳女性。2015年12月22日に発症し、入院中。生きた家禽との接触あり。
 3. 42歳男性。2015年12月12日に発症し、死亡。生きた家禽の市場への入行歴あり。
 4. 25歳男性。2016年1月1日に発症し、死亡。生きた家禽の市場への入行歴あり。
 5. 31歳女性。2016年1月8日に発症し、入院中。接触の機会は不明。
 全員が散発例で、接触者どうしのさらなる感染はありません。

2013年から2016年1月20までに、鳥インフルエンザA(H5N6)感染が10例確認されました。そのうちの9例はWHOに報告され、1例は学術論文で報告されました。
 WHOに報告された9例は、全員が臨床的に重篤な容態でした。文献で報告された患者は、5歳女児で、定期的な調査活動を通じて発見され、軽症でした。

 OIEが受けた最近の報告によれば、インフルエンザA(H5N1)、A(H5N2)、A(H5N3)、A(H5N6)、A(H5N8)、A(H5N9)といったさまざまなサブタイプのインフルエンザA(H5)が、西アフリカ、ヨーロッパ、アジアの鳥から検出されています。先月、フランスで鳥のインフルエンザ(H5)ウイルスが発見されたことが報告された後も、人での感染は確認されていません。インフルエンザA(H5)ウイルスは、人に感染を引き起こす潜在性をもっていますが、これまでのところ、インフルエンザA(H5N1)ウイルスの人への感染と中国でのインフルエンザA(H5N6)ウイルスへの感染を除いては、人での感染は報告されていません。

鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 全体として、鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに対する公衆衛生上のリスク評価は、2015年7月17日から変わってはいません。

インフルエンザA(H3N2)変異ウイルスの人への感染
 2015年12月18日にWHOでインフルエンザ情報が更新されて以降、インフルエンザAウイルスの人への感染1人がアメリカ合衆国ニュージャージーで報告されました。患者はインフルエンザA(H3N2)変異ウイルスへの感染でした。直接のブタとの接触機会は報告されていませんが、患者はブタが以前に感染発症した地域を訪れていました。患者は完全に回復し、以後は人から人への感染は確認されていません。

インフルエンザA(H3N2)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 このA(H3N2)変異ウイルスは、人と人との間で簡単に感染伝播する様子はなく臨床症状も軽い傾向にあります。そのため、地域レベルで感染が拡大する可能性は低く、現在、このウイルスが与える公衆衛生に影響を与える可能性は低いと考えられています。アメリカ合衆国ではA(H1N1)、A(H1N2) 、A(H3N2)の変異ウイルスによるブタ・インフルエンザ・ウイルスが周期的に報告されていました。ブタ・インフルエンザ・ウイルスは、年間を通じて豚の間では流行が発生しており、人でもさらなる患者が発生する可能性はあります。しかし、ほとんどの流行は、人の季節性インフルエンザの流行が発生する晩秋から冬にかけて発生しています。

バングラデシュでの鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスの人への感染
 鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスによる感染者1人がバングラデシュから報告されました。患者は、46歳の男性で、Dhaka(ダッカ)市街の養鶏業者でした。彼は、2015年10月27日に、発熱、鼻汁、頭痛、鎮痛の症状を発症しました。咽頭と鼻腔のスワブ検体が養鶏業者への鳥インフルエンザ調査活動の一環として採取されました。患者は回復しています。発症の前日に、患者は病気の家禽を扱っていたと報告されています。

鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルスに対する全体的な公衆衛生上のリスク評価
 これは、バングラデシュから報告された3人目の鳥インフルエンザA(H9N2)ウイルス感染者です。このウイルスは、アジアから中東にかけて家禽の中では流行が発生しており、さらに人での感染や小集団での感染が発生する可能性はあります。以前には、感染者が中国やエジプトからも報告されていました。このウイルスは、人と人の間で簡単に感染伝播するとはみられておらず、臨床症状も軽い傾向があります。そのため、このウイルスが地域レベルで感染拡大することや公衆衛生に影響を与える可能性は、現時点では低いと考えられています。

 インフルエンザ・ウイルスは絶えず変異する特徴を持つため、WHOは人または動物の健康に影響を与える可能性のあるインフルエンザ・ウイルスの流行に関連して、ウイルス学的、疫学的、さらには臨床的な変化を検知する世界規模の調査活動が重要であることを強調し続けています。非季節性インフルエンザ・ウイルスのすべての感染者は、国際保健規則(IHR、2005)に則り、WHOへの報告されることとなっています。動物のインフルエンザ・ウイルスも人のウイルスも、国際的な基準に則って、動物もしくは人の健康に関する適切なインフルエンザの基幹研究施設で特徴づけられ、報告されることが重要です。

出典

WHO. Influenza at the human-animal interface, Monthly Risk Assessment Summary.
Summary and assessment as of 20 January 2016
http://www.who.int/influenza/human_animal_interface/Influenza_Summary_IRA_HA_interface_20_Jan_2016.pdf?ua=1