ポリオウイルスの国際的拡大に関する国際保健規則(IHR)緊急委員会第8回会議でのWHO声明
2015年3月1日 WHO(原文[英語]へのリンク)
国際保健規則[IHR(2005)]に基づき、ポリオの国際的感染拡大に関する第8回緊急委員会が、事務局長の要請により招集され、2015年2月12日にテレビ会議によって開かれました。第7回会議と同様に、緊急委員会は野生型ポリオの感染伝播とともにワクチン由来ポリオウイルス(cVDPV)の感染伝播についてもデータを再検討しました。後者は、定期予防接種の実施体制の弱まりによって、ポリオを撲滅したはずの国のいくつかでポリオウイルスに対する免疫応答との間に深刻なギャップを生じていることを反映するものとして、極めて重要です。また、2016年4月に世界同時に経口ポリオワクチン(OPV)から2型株を外すことに先立って、2型のワクチン由来ポリオウイルスの発生を止めることが不可欠となっています。
前回、2015年11月10日の開かれた委員会の後も一時勧告を実施しているアフガニスタン、パキスタン、ギニアのIHR各加盟国は、その後の情報を提出しました。
野生型ポリオ
委員会は、2014年5月に、ポリオの国際的な拡がりが国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)と認定されると宣言して以来、各国が野生株ポリオウイルスの感染伝播の阻止と事務局長により発行された一時勧告の実施を強力に推し進すすめていることを取り上げました。野生株ポリオウイルスの国際的な拡がりの発生数は、全体として減少傾向にあります。委員会は、特に、困難な状況にもかかわらず、パキスタンとアフガニスタンがポリオウイルスの感染伝播を阻止するために多大な努力を推進していること、そして、2国間の長い国境に沿って協力体制を新ためて強化していることに、励まされるところがありました。
しかしながら、委員会は、パキスタンからアフガニスタンに感染輸出され、2015年10月と11月に新たに直近の発生事例が報告されたことから、野生株ポリオウイルスの国際的な拡がりが続いていることを議題に取り上げました。これらの症例は、パキスタンの国境に隣接する東部地域(ナンガハール州とクナール州)で発生しました。アフガニスタンからパキスタンへの新たな感染輸出はなかったものの、現在も続く感染伝播は国境に近いアフガニスタンの東部地域、特に交通の便の悪い地域で感染の伝播が続いており、リスクが存在し続けていることを示しています。
委員会は、歴史的に、パキスタンとアフガニスタンは大きな共通のポリオウイルス感染伝播地帯となっていたものの、2国間で続いている感染の拡がりは、それぞれの国の持続的な感染伝播による個別の地域から発生していることを議題に上げました。かつてポリオが流行した地域での経験を踏まえれば、このような地域での強力な感染予防活動には、こういった国境を越えて感染伝播を遮断することが必要となります。
委員会は、IHRの下で、この加盟2か国間でのポリオの感染拡大が引き続き国際的な拡がりと認められることも強調しました。委員会は、国境において協力体制を行う努力が強化され続けていることを確認しました。これら2国間の国境ではワクチン接種が10歳未満年齢の子どもに限定されているものの、両国で形成されるこの疫学区域から(外の国に)出るときには、空港で全ての年齢層の渡航者を対象に出発の際にワクチンを接種する努力が行われています。委員会は、現在、アフガニスタンのカブール国際空港で、全ての年齢層の国際渡航者に対して一時勧告が実施されていることにも、特に満足の意を表しました。この点において、すべての国、特にアフガニスタンとパキスタンの大使館では、アフガニスタンやパキスタンを離れる渡航者に対するビザ申請の行程の一部に、ポリオ予防ワクチンの接種証明を含む手続きを採り入れ、一時勧告の実施を促進すべきであると指摘しました。
委員会は、現在も感染が流行しやすい地域があり、世界では紛争や政情不安、現在も基盤の弱い予防接種計画に関連した低い予防接種率により免疫応答が不十分な人々がいることを議題に取り上げました。このような感染が流行しやすい地域には、中東、アフリカの角における国々、アフリカ中央部、ヨーロッパの一部があります。公衆衛生環境が破壊され緊急事態で、ポリオウイルスが人為的に複雑な環境の中に再び持ち込まれたときには、世界ポリオ撲滅イニシアチブ(GPEI)がこれまでに苦労して積み重ねてきた成果が一瞬にして失われる可能性があります。中東を渡ってくる、そしてアフガニスタンやパキスタンからの大規模な人口の移動は、ポリオの国際的な拡がりへの高いリスクをもたらします。ポリオの予防ワクチンを接種していない移民や難民のリスクとともに、ヨーロッパ、中東、アフリカには、ワクチンの接種機会を逃した、又は免疫応答が不十分な人々にもリスクがあります。推定で300-400万人が、トルコ、レバノン、ヨルダンに移り住み、ヨーロッパへの大量移民の中心地となっています。
委員会は、赤道ギニアでAFP(急性弛緩性麻痺)のサーベイランスが弱体化していることに、大きな懸念を示し、この地域でのサーベイランスと定期予防接種を強化する新たな取り組みを促しました。アフリカの不安定な状況、特に、カメルーンやソマリアの一部での不安定な状況は、引き続き、この大陸におけるポリオ撲滅に脅威を与えています。
ワクチン由来ポリオウイルス
現在、WHOが把握する4つの地域でのワクチン由来のポリオウイルス(cVDPV)の感染発生は、感染の影響を受けた国における定期予防接種計画に存在する深刻なギャップがポリオ感染を発生させやすい大きなポケットを形成していることを示しています。2015年には、6つの地域でワクチン由来のポリオウイルスの感染発生がありました。3つの地域(ウクライナ、マダガスカル、ラオス)でcVDPV 1型が、3つの地域(ミャンマー、ナイジェリア、ギニア)でcVDPV2型が発生しました。
新たにcVDPV 2型6症例が、前回の会議以降にギニアから報告されています。これは、国際的な拡がりへの脅威を増大させます。特に、エボラ流行が定期予防接種などの公衆衛生体制を弱体化されている近隣諸国では、脅威です。このことは、2016年4月に経口ポリオワクチンから2型株を外すことが差し迫った中で、特に懸念されます。委員会は、ギニアの一部でAFPサーベイランスが国際基準を満たしておらず、流行が見逃される懸念が高まっていることを指摘しました。エボラ流行後の地域では、ワクチン接種を躊躇する新たな地域集団ができたため、これには早急に対処する必要があります。委員会は、追加ワクチンの予防接種活動(SIAs)の質を向上させるための努力を確認し、これを継続することを促しました。
委員会は、ラオスとミャンマーでワクチン由来のポリオウイルスの伝播が続いており、特に、両国ともにワクチン接種の躊躇に対して情報を住民に行き届かせることが難しく、伝達手段が重要であることを議題に取り上げました。
前回の委員会以降、ウクライナ、マダガスカル、南スーダン、ナイジェリアでは新たにワクチン由来ポリオウイルスの感染例は発生しなかったものの、脅威は残っています。これらの個々の国では、さらに定期接種の接種率とAFPサーベイランスを向上させることが必要です。委員会は、ウクライナでポリオワクチンとそれに続く定期予防接種の利用制限(10歳以上の人には接種しないことなど)があること、及びポリオワクチンの接種地域の欠落の報告があることに懸念を示しました。このワクチン接種への躊躇には、良く練られた伝達手段で対応することが必要です。南スーダン、ナイジェリアでは、紛争や政情不安の影響を受けた地域で、さらに流行の危険が高まりました。ナイジェリアでは、満足感がもうひとつのリスクとなっています。追加ワクチンの予防接種活動(SIAs)が低下してきているため、定期予防接種の強化が高い優先順位で必要です。
国際的な懸念に関する公衆衛生緊急事態(PHEIC)に対する結論
委員会は、ポリオの国際的な感染拡大が、現在も国際的な懸念に関する公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)にあることに全会一致で合意し、さらに3か月間一時勧告を延長することを助言しました。委員会は、この結論に達する中で第7回会議でも議題に上げられた以下の要点について議論しています。
- 2015年もパキスタンとアフガニスタンでは野生型ポリオウイルスの国際的な感染拡大が続いていること
- 世界で最も深刻ではあるが、ワクチンで予防が可能な疾患の一つを地球上から撲滅することに失敗したときに発生するリスクと結果としての費用
- .野生型ポリオウイルスに対して予防接種とサーベイランスを向上させ、国際協調の下に対策を続けることの必要性、国際的な感染拡大の阻止および新たな感染リスクの軽減
- 紛争や複雑な緊急事態によって予防接種体制の弱体化や崩壊が生じた国が増えることで、さらに国際的な感染が拡大することがもたらす深刻な社会的影響の重大性。これらの不安定な地域の人々はポリオに集団感染しやすくなっています。感染しやすい状態での感染発生は感染制御が極めて困難で、最終局面で世界からポリオを撲滅することの完結を脅かします。
- ポリオの国際的な感染拡大は国境を越えて発生することが多いことから、地域での感染対策の推進と国境での協力体制の強化が重要であること。その間に、ポリオの感染伝播が活発な地帯から遠隔地に国際的に感染拡大するリスクがあることを認識すること
- さらに、ワクチン由来のポリオウイルスに関して以下の要点について議論しています。
- cVDPVsは国際的な拡大に対するリスクを有しており、適切な措置と緊急の対策を講じなければ、特に、既に述べられたような感染しやすい人々を脅かすこと。
- ワクチン由来のポリオウイルス(VDPV)が出現・伝播しているWHOが把握する3つの地域でポリオ撲滅の終盤の重要な時に、地域の人々の免疫応答には大きなギャップがあり、これが世界でのポリオ撲滅を成功裡に完結することへの脅威となっていることの強調。
- 2016年4月に2型の経口ポリオワクチンを世界同時に撤退させることに先立ち、ワクチン由来のポリオウイルス2型(cVDPV2)を撲滅することが特に緊急性が高いこと
リスクの分類
委員会は、リスク分類に基づいて、野生型ポリオウイルスとワクチン由来のポリオウイルスの国際的拡大のリスクを軽減することを目的とした以下の助言を事務局長に提出しました。
野生型ポリオウイルス
- 現在、野生型ポリオウイルスを感染輸出している国
- 野生型ポリオウイルスの感染はあるが、現在は感染輸出していない国
- もはや野生型ポリオウイルスの感染はいないが、国際的な拡大に対し脆弱な国
ワクチン由来のポリオウイルス
- 現在、ワクチン由来のポリオウイルスを感染輸出している国
- ワクチン由来のポリオウイルスの感染はあるが、現在は感染輸出していない国
- もはやワクチン由来のポリオウイルスの感染はいないが、国際的な拡大に対し脆弱な国
委員会は、新たな感染輸出の検出に対する期間と野生型ポリオウイルスまたはワクチン由来のポリオウイルスの新たな患者または環境分離株の検出に対する期間の以下の基準での評価に更新し、適用しました。
もはや感染輸出のない(新たな野生型ポリオウイルスもしくはワクチン由来ウイルスの感染輸出の検出がない)国の評価に対する判断基準:
- ポリオウイルス感染者:最新の感染輸出による最初の症例が発症した日に加えて、患者発見、調査、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月、もしくは、最新の感染輸入により発生した直近の患者から12か月以内に発症し報告された急性弛緩性麻痺の全患者がポリオに対し検査され、新たに感染輸入された野生株1型とワクチン由来のポリオウイルスが除外され、かつ、最初の患者から12か月以内に集められた環境サンプルも陰性となり、何れもが続いているとき。
- 感染輸出された野生型ポリオウイルスの環境下からの分離:新たに感染輸出を受けた国の環境下での最初の陽性検体の採取に加えて、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月。
もはや感染のない(新たな野生型ポリオウイルスもしくはワクチン由来ウイルスの検出のない)国の評価に対する判断基準:
- ポリオウイルス感染者:最新の患者が発症した日に加えて、患者発見、調査、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月。もしくは、直近の患者から12か月以内に発症した急性弛緩性麻痺の全患者がポリオに対して検査され、野生株1型とワクチン由来のポリオウイルスが除外され、かつ、直近の患者から12か月以内に集められた環境サンプルが陰性となり、何れもが続いているとき。
- 野生型ポリオウイルスもしくはワクチン由来ポリオウイルス(ポリオウイルス感染者がいないこと)の環境下からの分離:最新の環境下で陽性検体が採取された日に加えて、検査確認と報告期間を考慮した1か月を加えた日から12か月。
一時勧告について
現在も野生型ポリオウイルスもしくはワクチン由来ウイルスを感染輸出している国
現在の対象は、パキスタン(野生株ポリオウイルスの最後の感染輸出日は2015年11月3日)とアフガニスタン(野生株ポリオウイルスの最後の感染輸出日は2015年6月6日)です。
感染輸出している国には、以下の行動の実行が求められます。
- もしまだであるなら、国又は政府のトップレベルが公式に、ポリオウイルス伝播の阻止が国家の公衆衛生上の緊急課題であることを宣言すべきです。その旨の宣言が既に行われている国では、この緊急課題が継続された状態にあることを宣言すべきです。
- 全ての年齢での、全ての住民と4週間以上の長期滞在者は国際渡航の12か月前から4週間前までに1回のポリオ生ワクチン(OPV)又は不活化ワクチン(IPV)の接種を受けていることを確認すべきです
- 4週間以内に急な旅行を行う人々で、12か月前から4週間前までにポリオ生ワクチンもしくは不活化ワクチンを接種していない人は、出発までに1度はポリオワクチンを接種していることを確認すべきです。これでも、有益性があります。特に、これは頻繁に旅行する人に当てはまります。
- そのような渡航者には、IHR(2005)別添6で明記された国際予防接種証明書がポリオワクチンの接種記録としてまた接種の証明書として発行されていることを確認すべきです。
- 適切なポリオ予防接種の書類を欠いたままではいかなる住民も海外渡航を出発の時点で制限すべきです。これらの勧告は、渡航の手段(例えば、陸、空、海)に関係なく、すべての出発地から海外渡航する者に適用されるべきです。
- パキスタンとアフガニスタンとの国境を越える人々の移動は野生型ポリオウイルスの感染輸出を助長し続けることを認識しておくべきです。両国は、実質的には、国境を越える渡航者とハイリスクの国境に住む人々に対してワクチン接種率を高めるために、国、地域、地方レベルで協力体制を確実に向上させる国境での努力をさらに強化させる必要があります。両国は長年にわたり主要な国境検問において永続的な予防接種チームを維持してきました。国境での努力の協調体制の改善には、より密接な管理、国境通過点での接種ワクチンの品質の監視とともに、国境を越えた後にワクチンを接種していないと識別される渡航者の割合を追跡することを組み入れる必要があります。
- これらの対策は以下の基準が達成されるまで継続されるべきです。(i)新たな感染輸出がなく、少なくとも6か月を経過すること、(ii)すべての感染地域やハイリスク地域で質の高い撲滅活動が完全に実施されたことの証拠となる書類を提出すること、そのような書類が提出できない場合には、その国が "もはや感染輸出のない国"の上記の基準を満たすまでこれらの対策は継続されること。
- 渡航が制限された住民の数とワクチンを接種し出発の地点で適切な予防接種の書類を提供した渡航者の数を含め、海外渡航での月別実施件数に関する一時勧告の報告書を事務局長に引き続き提供することが求められています。
野生型ポリオウイルスまたはワクチン由来ポリオウイルスの発生があるが現在は感染輸出のない国
現在の対象は、ナイジェリア、ギニア、マダガスカル、ウクライナ、ラオス、ミャンマーです。
これらの国には、以下の行動の実行が求められます。
- もしまだならば、国又は政府のトップレベルが公式に、ポリオウイルス伝染の阻止が国家の公衆衛生上の緊急課題であることを宣言すべきです。その旨の宣言が既に行われているならば、この緊急課題が継続されていることを宣言することが必要です。
- 全ての住民と4週間以上の長期滞在者は海外渡航の12か月前から4週間前までに1度ポリオ生ワクチン(OPV)又は不活化ワクチン(IPV)の接種を受けることを推奨すべきです。4週間以内に急な旅行を行う人々には、出発までに1度はポリオワクチンを接種することを推奨すべきです。
- そのようなワクチン接種を受けた渡航者はポリオワクチン接種状況の記録を適切な文書で所有していることを確認すべきです。
- ポリオウイルスの早期発見のためのサーベイランスを強化するために、地域の協力体制と国境を越えた協力体制を強化し、実質的に難民、渡航者、国境を越える集団でのワクチン接種率を高めることが必要です。
- これらの対策は以下のような基準が達成されるまで継続されるべきです:(i)少なくとも6か月間、国内のどのような検査検体からも野生型ポリオウイルスの感染伝播が検出さずに経過すること、(ii)すべての発生地域とハイリスク地域で質の高い撲滅活動が完全に実施された証拠文書を提出すること。これらの対応の証拠文書が提出できない場合には、その国が "もはや感染輸出のない国"の上記の基準を満たすまでこれらの対策は継続されること。
- 感染伝播の証拠なく12か月間を終えたときには、一時勧告を実行するために取られた対策の報告書を事務局長に提供することが求められています。
もはや野生型ポリオウイルスもしくはワクチン由来ポリオウイルスの感染のない、しかし国際的な感染拡大を受けやすく、ワクチン由来ポリオウイルスの出現と伝播が起こりやすい国
現在の対象は、ソマリア、イラク、イスラエル、赤道ギニア、カメルーン、南スーダンです。
これらの国には、以下の行動の実行が求められます。
- 地域の人々の免疫機能を押し上げるために、定期予防接種を早急に強化すること。
- 検出されなかった野生型ポリオウイルスとワクチン由来ポリオウイルスが伝播するリスク、特にリスクの高い移動民と感染しやすい人々の間でこれを軽減するために、調査活動の質を向上させること。
- 移動民、国境を越える人々、国内避難民、難民やその他の感染しやすい人々へのワクチン接種を確実に実行する取り組みを強化すること。
- 野生型ポリオウイルスとワクチン由来ポリオウイルスの速やかな発見とハイリスクの集団へのワクチン接種を確実に実行するために、地域協力と国境を越えた連携を強化すること。
- 質の高い調査活動とワクチン接種活動の全てに適応性のある手順書を作成し、これらの対策を維持すること。
- 野生型ポリオウイルスまたは新たに出現し伝播するワクチン由来ポリオウイルスの再侵入の証拠なく12か月を経過させたときには、一時勧告を実施するために講じた対策について事務局長に報告書を提出すること。
世界ポリオ撲滅イニシアチブ(GPEI)や他の国際機関、特にGavi(ワクチンと予防接種のための世界同盟)は、ワクチン由来ポリオウイルスの出現と流行のリスクを下げるために必要となる全ての支援を提供していく必要があります。
採集報告の提出が必要とされる国と予定は以下のとおりです。
全ての感染国に対する追加の検討事項
委員会は、IHRの下で一時勧告の実施計画に重要な時期にすべての感染国に最適な支援を行うことを、強く世界の加盟国に求めました。委員会は、進捗状況、国際的な感染拡大のリスクに対する定期的な議論と評価、およびこれらのリスクを軽減するための対策が保証されるべきことを助言しました。
委員会は、ポリオ撲滅の終盤において、ワクチン由来ポリオウイルスに対する国民の明確な理解を確かなものにし、野生型ポリオウイルスとの違いを理解し、ポリオワクチンの有効性と安全性、並びに必要性への信頼感を維持するために、世界の加盟国が適切な意思伝達のための手段や資料を作成し、ワクチン由来ポリオウイルスによる感染の影響を受けた国を支援すべきことを助言しました。委員会は、ワクチン由来ポリオウイルスがポリオを撲滅したはずのいくつかの国で定期予防接種計画の中で深刻なギャップの存在を示していることの認識から、定期予防接種においては、GAVI Alliance(ワクチンと予防接種のための世界同盟)のような世界の支援団体が、感染の影響を受けた国に対して早急に国の予防接種計画を改善するための支援を行う必要があることを助言しました。
委員会は、感染を輸出している国が国際渡航を行う全ての人に対して出発の前にワクチンを接種することを求める一時勧告の実施に対して、公衆衛生上の利益と支出の分析を行うように事務局に要請しました。
野生型ポリオウイルスとワクチン由来ポリオウイルスの伝播に関する助言、アフガニスタン、パキスタン、ギニアによって作成された報告書に基づき、事務局長は、委員会の評価を受け入れ、2016年2月26日にポリオウイルスに関する状況が、野生型ポリオウイルスとワクチン由来ポリオウイルスの両方に対して、国際的な懸念に関する公衆衛生緊急事態(PHEIC)の状態にあると決定しました。事務局長は、「現在も野生型ポリオウイルスもしくはワクチン由来ウイルスを感染輸出している国」、「野生型ポリオウイルスまたはワクチン由来ポリオウイルスの発生があるが現在は感染輸出のない国」、そして「もはや野生型ポリオウイルスもしくはワクチン由来ポリオウイルスの感染のない、しかし国際的な感染拡大を受けやすく、ワクチン由来ポリオウイルスの出現と伝播が起こりやすい国」に対する委員会の一時勧告に署名しました。そして、事務局長はIHRの下で委員会によって改定されたものとして、2016年2月26日から有効となるポリオウイルスの国際的な拡大を軽減するための一時勧告を延長しました。
事務局長は、委員会委員とアドバイザーの助言に対して感謝を述べ、3か月後に現在の状況の再評価を行うことを要請しました。
出典
WHO.Media center news.WHO Statements. 1 March 2016
Statement on the8th IHR Emergency Committee meeting regarding the international spread of poliovirus.
http://www.who.int/mediacentre/news/statements/2016/8th-IHR-emergency-committee-polio/en/