太平洋における症状・疾患サーベイランス報告(更新2)

2016年10-13週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 急性発熱と発疹:フィジー[10、12、13]、フランス領ポリネシア[10]
  • 下痢:フィジー[10,11、12,13]、北マリアナ諸島[13]
  • インフルエンザ様疾患:フランス領ポリネシア[10,11、12,13] 、ソロモン諸島[10,11,12]、ウォリス・フツナ[10] 、アメリカ領サモア[11] 、ニューカレドニア[11,12、13]、サモア[11]、グアム[12,13]
  • 遷延性発熱:ソロモン諸島[10,11、12]、フランス領ポリネシア[11、12]、ウォリス・フツナ[11]、ミクロネシア連邦[12]、フィジー[13]、バヌアツ[13]

疾患別の発生状況

ジカウイルス感染症

【概況】2016年にジカウイルス感染症の患者が、アメリカ領サモア、トンガ、ニュージーランド、ミクロネシア連邦のコスラエ州、サモア、マーシャル諸島から報告されました[13]。
【フィジー】ニュージーランドの環境科学・研究調査施設(the Institute of Environmental Science and Research laboratory:ESR)に送られた血清検体100本のうち10本でRT-PCR法検査により新たに患者が確認されました[13]。合計で確定患者は15人となり、うち2人は2015年に、残りは2016年に確認されました[13]。
【ミクロネシア連邦】コスラエ州で確定患者1人と疑い患者16人が報告されました[12]。
【アメリカ領サモア】2016年3月28日時点で、妊娠女性6人を含む、疑い患者403人と確定患者14人が報告されました[12]。検体91本が検査のために島外に送付されています[12]。3月22日時点での疑い患者は、385人でした [11]。3月15日には、妊娠女性6人を含む、疑い患者403人と確定患者14人が報告されました[12]。検体91本が検査のために島外に送付されています[12]。3月22日には、385人の疑い患者が報告され、このうち6人の妊娠女性を含む患者14人の診断が確定しました[11]。
【トンガ】2016年1月1日から3月6日までに、2,173人の患者が出ました[10]。週毎の患者数は減ってきています[10]。

チクングニア熱

【ニュージーランド】ESRによって、フィジーへの渡航歴のある患者からの感染輸入が報告されました[13]。

結膜炎

【フィジー】報告される結膜炎患者数の増加が続いており、特に、首都スバで増加が続いています[13]。第11週に中央健康局から、結膜炎の増加が報告されていました[11]。

デング熱

【フランス領ポリネシア】第13週には、週毎の患者数は減ってきましたが、2016年3月27日迄の週に、デング熱1型の流行により、3人の入院患者を含む33人の確定患者がでました[13]。3月20日迄の週には44人[12]、3月13日迄の週には1人の死亡者を含む35人[11]、3月6日迄の週には1人の死亡者を含む44人[10]の確定患者がでました。第10週時点では、週毎の患者は増えており、2016年開始以降、入院患者53人を含む565人の確定患者が出ていました[10]。

インフルエンザ

【フランス領ポリネシア】2016年3月27日迄の週に、インフルエンザ患者の増加が報告されました。検体が採取された41人のうち、19人(46%)がインフルエンザAで、6人がA(H3N2)、4人がA(H1N1)pdm09、残る9人がタイプ不明でした。このうち、新生児と16歳未満の子どもを含む17人が入院となりました[ここまで13週記事]。
2016年3月20日迄の週にも、インフルエンザ患者の増加が報告されました。検体が採取された66人のうち、33人(50%)がインフルエンザAで、12人がA(H3N2)、4人がA(H1N1)pdm09、残る17人がタイプ不明でした。診断が確定したこの33人のうち、16歳未満の子どもを含む26人が入院となりました[ここまで12週記事]。
2016年3月13日迄の週にも、インフルエンザ患者の増加が報告されました。検体が採取された28人のうち、16人(50%)がインフルエンザAで、6人がA(H3N2)、6人がA(H1N1)pdm09、残る4人がタイプ不明でした。診断が確定したこの16人のうち、2歳未満の幼児5人、2歳から16歳までの子ども3人、成人1人が入院となりました[ここまで11週記事]。
【ソロモン諸島】インフルエンザ様疾患の患者数がピークに達していた2月に採取された検体18本のうち17本で、インフルエンザA(H1N1)pdm09が陽性と判明しました。

出典