世界のインフルエンザ流行について(更新8)

2016年5月2日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:734KB]

WHOから発表された2016年4月17日までのデータに基づくインフルエンザの活動状況です。3月末以降、アメリカ大陸およびヨーロッパ地域からの報告が各地域のサイト情報で掲載されるようになりました。そのため、ここでは、アジア西部地域、アジア北部/アジア温帯地域、アジア熱帯地域の詳細情報のみを追記し、これらを除く地域については要約のみを記載しています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご覧ください。

要約

北半球では、インフルエンザの活動が治まってきました。北米の一部地域、アジア北部/温帯地域、東南アジア、ヨーロッパの一部地域では、主にインフルエンザBウイルスによる活動の報告が続いていました。南半球のいくつかの国では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が少しずつ増えていることが報告されました。

  • 北米では、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBウイルスが共に伝播しているものの治まっていました。
  • ヨーロッパとアジア北部/アジア温帯地域では、続いていたインフルエンザBウイルスの活動が治まってきました。
  • アフリカ北部およびアフリカ西部では、インフルエンザAウイルスを検出しながらも、インフルエンザの活動は治まってきていました。アフリカの他の地域では、インフルエンザの活動は低調な状態でした。
  • 中米およびカリブ海地域では、インフルエンザの活動は総じて低調でした。ジャマイカでは、重症急性呼吸器疾患(SARI)の活動が治まってきたものの、まだ高い状態でした。グアテマラとエルサルバドルでは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスによるインフルエンザの活動の高まりが報告されました。
  • 南米熱帯地域では、(活動は)低い状態ですが、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの感染伝播の高まりが報告されました。ブラジルでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスによって、インフルエンザの活動が毎年のこの時期に予想されるレベルを超えました。コロンビアでは、RSウイルスの高まった活動状態が続いていました。
  • 南アジア熱帯地域では、インフルエンザの活動は低調な状態でした。
  • 南半球温帯地域では、アルゼンチンとパラグアイで、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器疾患(SARI)の活動の増加が報告されました。
  • 残る南半球温帯地域の国々では、インフルエンザの活動は低調な状態でした。
  • 2016年4月4日から2016年4月17日までのデータが、FluNet(協定世界時間2016年4月29日 03:39:10まで)に基づき、90の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に105,838本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は20,933本で、このうち9,821検体(46.9%)がインフルエンザA型、11,112検体(53.1%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、3,758検体(84.8%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、673検体(15.2%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、481検体(17.7%)がB-山形系統で、2,231検体(82.3%)がB-ビクトリア系統でした。

アジア西部

アジア西部では、主にインフルエンザBウイルスを検出しながらも、インフルエンザの活動は低調な状態に留まり続けていました。

アジア北部/アジア温帯地域

アジア北部/温帯地域では、インフルエンザの活動は治まり続けていました。検出されるウイルスは、主にインフルエンザBウイルスでインフルエンザA(H1N1)pdm09がこれに続いていました。モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が少しずつ治まってきており、インフルエンザに関連する死亡者も警戒レベルを下回ってきたことが報告されました。中国北部と韓国では、主にインフルエンザBウイルスに伴うインフルエンザ様疾患(ILI)の活動が治まってきました。

アジア熱帯地域

全体として、アジア南部はインフルエンザの活動は低調な状態でした。中国南部では、主に検出されていたインフルエンザBウイルスも徐々に治まってきました。香港では、昨シーズンと比べて、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高まった状態にありました。0歳から4歳の年齢層では、重症急性呼吸器疾患(SARI)の活動が高い状態にあることが報告されました。

出典

WHO.Influenza Update number262. 2 May 2016
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2016_05_02_surveillance_update_262.pdf?ua=1[PDF形式:734KB]

参考サイト