世界のインフルエンザ流行について(更新9)

2016年5月16日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:770KB]

WHOから発表された2016年5月1日までのデータに基づくインフルエンザの活動状況です。3月末以降、アメリカ大陸およびヨーロッパ地域からの報告が各地域のサイト情報で掲載されるようになりました。そのため、ここでは、アジア西部地域、アジア北部/アジア温帯地域、アジア熱帯地域の詳細情報のみを追記し、これらを除く地域については要約のみを記載しています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご覧ください。

要約

北半球のインフルエンザの活動は弱まってきました。北半球のほとんどの地域と熱帯地域のいくつかの国からは、引き続き、B型インフルエンザ・ウイルスの活動が報告されました。南半球のいくつかの国では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が少し強くなってきたことが報告されました。

  • 北米では、全体としてインフルエンザの活動が弱まってきました。検出されるのは、主にインフルエンザBでした。
  • ヨーロッパとアジア温帯地域では、インフルエンザBウイルスの活動が続くものの、インフルエンザの活動は弱まってきました。
  • アフリカ北部では、全体的にインフルエンザの活動が弱まる傾向が続いていました。例外的に、エジプトで、この数週間はインフルエンザBの活動が続いていました。
  • アフリカの東部と西部では、主にインフルエンザAウイルスが報告されました。
  • 中米およびカリブ海地域では、インフルエンザの活動とその他の呼吸器系ウイルスの活動が総じて低調でした。エルサルバドルとグアテマラでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの活動レベルが高い状態でした。カリブ海のいくつもの国からも、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの活動が活発に広まってきていることが報告されました。
  • 南米熱帯地域の一部、ボリビアとエクアドルでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの活動が低調でしたが、着実に増加してきました。ペルーでは、インフルエンザの検出数が減りました。ブラジルでは、主としてインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスによって、例年この時期に予想されるインフルエンザの活動レベルを超えた状態が続いていました。コロンビアでは、RSウイルスの高まった活動状態が続いていました。
  • 南アジア熱帯地域では、主にインフルエンザBウイルスを検出しながらも、インフルエンザの活動は弱まってきました。
  • 南半球温帯地域では、呼吸器系ウイルスの活動が低い状態でした。インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が僅かに高まっていますが、シーズンの警戒レベルは下回りました。
  • アフリカ南部とオセアニアの温帯地域の国々では、インフルエンザ・ウイルスの活動は低い状態でした。太平洋の一部の島々では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動の高まりが報告されました。
  • 2016年4月18日から2016年5月1日までのデータが、FluNet(協定世界時間2016年5月13日 03:33:09まで)に基づき、90の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に85,968本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は12,819本で、このうち4,580検体(35.7%)がインフルエンザA型、8,239検体(64.3%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、1,728検体(81.5%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、391検体(18.5%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、353検体(20.6%)がB-山形系統で、1,358検体(79.4%)がB-ビクトリア系統でした。

アジア西部

アジア西部では、主にインフルエンザBウイルスを検出しながらも、インフルエンザの活動は低調な状態に留まり続けていました。

アジア北部/アジア温帯地域

アジア北部/温帯地域では、この期間のインフルエンザの活動は弱まってきました。検出されるウイルスは、主にインフルエンザBウイルスでした。モンゴルでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が弱まってきました。しかし、肺炎で死亡する入院患者数は少しずつ増えていました。日本、中国北部、韓国では、主にインフルエンザBウイルスを検出しながらもインフルエンザ様疾患(ILI)の活動がオフ・シーズンのレベル付近まで下がってきました。

アジア熱帯地域

全体として、アジア南部と東南アジアのインフルエンザの活動はインフルエンザBウイルスを検出しながらも弱い状態でした。中国南部と香港では、インフルエンザの検出数が減ってきました。検出されるのはインフルエンザBウイルスでした。インフルエンザ様疾患(ILI)の活動は弱まってきました。しかし、まだオフ・シーズンのレベルよりは高くなっていました。

出典

WHO.Influenza Update number263. 16 May 2016
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2016_05_16_surveillance_update_263.pdf?ua=1[PDF形式:770KB]

参考サイト