太平洋における症状・疾患サーベイランス報告 (更新3)

2016年16-19週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 下痢:フィジー[16,17,19]、パラオ[16]、トケラウ[16]、ウォリス・フツナ[16]、ミクロネシア連邦[17-19]、バヌアツ[18,19]
  • インフルエンザ様疾患:アメリカ領サモア[16-19] 、ニューカレドニア[16]、ミクロネシア連邦[17-19]
  • 遷延性発熱:アメリカ領サモア[16-18]

疾患別の発生状況

ジカウイルス感染症

【ミクロネシア連邦】コスラエ州で、2016年5月7日までに、確定患者が11人、可能性の高い患者が1人と疑い患者66人確認されました。ジカウイルス感染症が確定した患者での妊娠はおりません[以上19週より]。4月29日現在では、2016年2月10日以降で確定患者4人と疑い患者67人が報告されました。渡航歴のある確定患者はおらず、妊娠した如何なる患者もいませんでした。全ての診療施設で、ジカウイルスへの感染、並びにジカウイルスによる先天症候群への調査の強化が続けられています[以上17,18週より]。
【アメリカ領サモア】6月1日以降、569人の疑い患者が報告され、このうち、妊娠女性6人を含む、14人が確定診断されました[18]。2016年1月1日から4月21日までに、ジカウイルス感染症疑い患者510人が報告されました。毎日2-4人の患者が報告されました[以上16週より]。

チクングニア熱

【ニュージーランド】2016年4月16日から22日までの間に、フィジーに渡航したことのある患者の輸入感染が環境科学・調査研究施設から報告されました。2016年2月20日から4月22日までに、フィジーに渡航歴のある患者からの感染輸入が8例、この施設から届けられています[以上16週より]。

結膜炎

【マーシャル諸島】結膜炎が流行しており、5月9日から15日までに、患者290人の報告がありました[19]。
【トンガ】結膜炎の流行が続いており、ここ5週間でVaiola病院には2015年の全患者数を超える患者数が登録されました[18]。
【フランス領ポリネシア】保健省から、結膜炎の流行が続いていることが公表されています[16]。結膜炎の流行が続いており、今年の始めから740人を超える患者が報告されています[17]。患者2人からエンテロウイルスが分離されました[17]。
【キリバス】医療施設へのたくさんの患者の受診が続いています[16]。

デング熱

【フランス領ポリネシア】2016年4月24日末の週に、入院患者2人を含む30人の確定診断患者が出ました[17]。4月17日末の週には、入院患者1人を含む28人の確定診断患者が出ました[16]。デング熱1型が流行しています。週毎の患者数は減ってきました[以上16,17週より]。

インフルエンザ

【ミクロネシア連邦】ポンペイ州で患者の増加が続いていると報告されました[17,18]。インフルエンザA(H1N1)pdm09が確認されました[17,18]。

出典