世界のインフルエンザ流行について(更新10)

2016年5月30日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:616KB]

WHOから発表された2016年5月15日までのデータに基づくインフルエンザの活動状況です。3月末以降、アメリカ大陸およびヨーロッパ地域からの報告が各地域のサイト情報で掲載されるようになりました。そのため、ここでは、西アジア、アジア北部/アジア温帯地域、アジア熱帯地域の詳細情報のみを追記し、これらを除く地域については要約のみを記載しています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご覧ください。

要約

北半球のインフルエンザの活動は弱まってきました。報告されているのは、ほとんどがインフルエンザBウイルスでした。南半球温帯地域では、南米と南アフリカで、インフルエンザの活動が少し強まり始めました。しかし、オセアニアではほとんどの地域で(活動は)弱いままでした。

  • 北米では、インフルエンザの活動が弱まってきました。しかし、前回の報告と比べてインフルエンザBウイルスの検出割合が高くなっていました。
  • ヨーロッパとアジア温帯地域では、インフルエンザBウイルスの活動を伴いながらも、インフルエンザの活動は弱まってきました。
  • アフリカでは、全体的にインフルエンザの活動が弱いままでした。アフリカ西部ではインフルエンザAウイルスの検出が、アフリカ東部ではインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。
  • 中米およびカリブ海地域では、インフルエンザの活動とその他の呼吸器系ウイルスの活動は総じて弱いままでした。エルサルバドル、グアテマラ、パナマでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの活動レベルが強くなってきました。スリナムでも、インフルエンザA(H1N1)pdm09の流行が活発であることが報告されました。ジャマイカでは、重症急性呼吸器症候群(SARI)の活動が警戒レベルを上回った状態で、肺炎患者の増加が観察されました。
  • 南米熱帯地域の一部、ボリビアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の活動の高まりが報告されました。エクアドルでは、RSウイルスとインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検体陽性率が高くなるに連れて、重症急性呼吸器症候群の活動も高まってきました。ペルーでは、RSウイルスの検出増加が報告されました。
  • 南アジア熱帯地域では、インフルエンザの活動は総じて弱いままでした。しかし、いくつかの国ではインフルエンザ・ウイルスの検出数の増加が報告されました。
  • 南米温帯地域では、この数週間でインフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高まり、流行期の警戒レベルを上回りました。この地域一帯では、RSウイルスの活動が高まってきており、アルゼンチンとウルグアイではインフルエンザAウイルスの検出も報告されました。
  • アフリカ南部とオセアニアの温帯地域の国々では、インフルエンザ・ウイルスの活動は弱いままでした。太平洋の一部の島々では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動の高まりが報告されました。インフルエンザの活動が南アフリカで強くなり始めました。検出されているのは、主にインフルエンザBウイルスでした。
  • 2016年5月2日から2016年5月15日までのデータが、FluNet(協定世界時間2016年5月27日 03:46:29まで)に基づき、90の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に63,813本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は6,224本で、このうち2,104検体(33.8%)がインフルエンザA型、4,120検体(66.2%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、938検体(79%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、249検体(21%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、268検体(25%)がB-山形系統で、804検体(75%)がB-ビクトリア系統でした。

アジア西部

アジア西部では、インフルエンザの活動は最小限の状態にあると報告されました。カタールでは、僅かなレベルでインフルエンザBウイルスの伝播が続いていました。

アジア北部/アジア温帯地域

アジア北部/温帯地域では、インフルエンザの活動が弱まり、オフ・シーズンの状態に近くなってきました。検出されるウイルスは、主にインフルエンザBウイルスでした。

アジア熱帯地域

全体として、アジア南部と東南アジアのインフルエンザの活動はインフルエンザBウイルスを検出しながらも弱いままでした。中国南部と香港では、インフルエンザ・ウイルスの検出数が減ってきました。東南アジアのいくつかの国(ラオス、フィリピン、タイ、シンガポール)では、この2週間、インフルエンザBウイルスの活動が僅かに強まりました。カンボジアとベトナムでは、この数週間、インフルエンザAウイルスとBウイルスの検出数が増加しました。

出典

WHO.Influenza Update number264. 30 May 2016
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2016_05_30_surveillance_update_264.pdf?ua=1[PDF形式:616KB]

参考サイト