世界のインフルエンザ流行について (更新11)

2016年6月13日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:643KB]

WHOから発表された2016年5月29日までのデータに基づくインフルエンザの活動状況です。3月末以降、アメリカ大陸およびヨーロッパ地域からの報告が各地域のサイト情報で掲載されるようになりました。そのため、ここでは、西アジア、アジア北部/アジア温帯地域、アジア熱帯地域の詳細情報のみを追記し、これらを除く地域については要約のみを記載しています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご覧ください。

要約

北半球の温帯地域では、インフルエンザの活動が弱まり、オフ・シーズンのレベルに達してきました。南半球温帯地域では、南米と南アフリカで、インフルエンザの活動が強まり始めました。しかし、オセアニアでは、ほとんどの地域で(活動は)弱いままでした。

  • 北米では、インフルエンザの活動が弱まってきました。検出されるインフルエンザの大半がインフルエンザBウイルスで占められていました。インフルエンザ様疾患(ILI)のレベルは流行シーズンの基準を下回りました。
  • ヨーロッパとアジア温帯地域では、インフルエンザBウイルスの活動を伴いながらも、インフルエンザの活動が弱まってきました。
  • アフリカの北部温帯地域と中央部熱帯地域では、全体的にインフルエンザの活動が弱い状態でした。アフリカ西部ではインフルエンザAウイルスの検出が、アフリカ東部ではインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。
  • 中米およびカリブ海地域では、インフルエンザの活動とその他の呼吸器系ウイルスの活動は総じて弱いままでした。しかし、エルサルバドル、パナマでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの活動レベルが強くなってきました。
  • 南米熱帯地域では、全体としてはインフルエンザの活動が弱いか、弱まってきていました。例外的に、ボリビアではインフルエンザA(H1N1)pdm09の活動が強まっていました。コロンビアとペルーでは、RSウイルスの検出数増加が報告されました。コロンビアでは、急性呼吸器症候群および重症の急性呼吸器症候群が増加しており、ペルーでは急性呼吸器症候群と子どもの肺炎のレベルが高くなっていました。
  • 南アジア熱帯地域では、いくつかの国でインフルエンザBウイルスの高まりをともないながらも、インフルエンザの活動は総じて弱い状態でした。
  • 南米温帯地域では、流行期が始まりました。アルゼンチン、チリ、パラグアイでは、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器症候群(SARI)が流行シーズンのレベルを上回りました。呼吸器系のウイルスの検出数が増えてきましたが、まだ少ない状態です。インフルエンザ・ウイルスの中では、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が検出されていました。
  • アフリカ南部温帯地域の国々では、主にインフルエンザBウイルスによるインフルエンザの活動にともない、流行シーズンが始まりました。
  • オセアニアの温帯地域の国々では、インフルエンザ・ウイルスの活動は弱い状態でした。太平洋の一部の島々では、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動の高まりが報告されました。
  • 2016年5月16日から2016年5月29日までのデータが、FluNet(協定世界時間2016年6月10日 03:53:24まで)に基づき、84の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に61,285本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は4,320本で、このうち1,276検体(29.5%)がインフルエンザA型、3,044検体(70.5%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、540検体(71%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、221検体(29%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、221検体(30.4%)がB-山形系統で、505検体(69.6%)がB-ビクトリア系統でした。

アジア西部

アジア西部では、インフルエンザの活動は最小限の状態にあると報告されました。カタールとジョージアでは、僅かなレベルでインフルエンザBウイルスの伝播が続いていました。

アジア北部/アジア温帯地域

アジア北部/温帯地域では、インフルエンザの活動が弱まり、オフ・シーズンの状態に近くなってきました。この地域では、主にインフルエンザBウイルスが検出されました。

アジア熱帯地域

全体として、アジア南部と東南アジアのインフルエンザの活動はインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBウイルスを検出しながらも弱い状態でした。カンボジアと香港では、インフルエンザ・ウイルスの検出数が減ってきました。

出典

WHO.Influenza Update number265. 13 June 2016
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2016_06_13_surveillance_update_265.pdf?ua=1[PDF形式:643KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=3352%3A2010-influenza-situation-report&catid=2407%3Ainfluenza-other-respiratoryviruses&Itemid=2469&lang=en

ヨーロッパ、中央アジア
EURO:https://flunewseurope.org/

西太平洋地域
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza