太平洋における症状・疾患サーベイランス報告 (更新4)

2016年20-23週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 急性発熱と発疹:トケラウ[23]
  • 下痢:フィジー[20-23]、バヌアツ[20-23]
  • インフルエンザ様疾患:ニューカレドニア[20]、フィジー[21、22] 、アメリカ領サモア[23]、トンガ[23]、ツバル[23]
  • 遷延性発熱:ソロモン諸島[20、23]

疾患別の発生状況
●ジカウイルス感染症
【アメリカ領サモア】2016年6月9日までに、確定患者29人を含む680人の患者が発生しました。このうち、14人が妊娠女性でした[23]。2016年1月1日から5月19日までには、606人の疑い患者が報告されていました。このうち妊娠女性が8人でした。10歳以下の患者の1日最大数が平均2-4人で続いていました [以上20週より]。
【ミクロネシア連邦】コスラエ州では、2016年2月から6月10日までに、確定患者12人、可能性の高い患者11人、疑い患者71人が発生しました[23]。5月22日の時点では、確定患者が11人を含む90人の患者が発生しました[20]。
【サモア】2015年8月以降、5月16日までに、確定患者24人を含む167人の疑い患者が発生しました[20]。

●チクングニア熱
【ニュージーランド】2016年5月21日から27日までの間に、フィジーに渡航したことのある患者1人の輸入感染が環境科学・調査研究施設から報告されました。2016年2月20日から5月27日までに、フィジーに渡航歴のある患者からの感染輸入が9例、この施設から届けられています[以上21週より]。

●結膜炎
【トンガ】結膜炎の流行が続いていますが、週毎の患者数は減ってきています。今年1月から5月22日までに、患者数は1,801人になりました [21]。5月15日の時点では、1,473人でした[20]。

インフルエンザ
【フィジー】2016年6月5日の週にインフルエンザ様疾患患者の増加が報告されました[22]。5月29日の週にも同様の患者数増加が報告されました[21]。

出典

Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 23, ending 12 June 2016
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-12-June-2016/en/

Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 22, ending 5 June 2016
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-5-June-2016/en/

Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 21, ending 29 May 2016
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-29-May-2016/en/

Weekly Pacific syndromic surveillance report. Week 20, ending 22 May 2016
http://www.wpro.who.int/southpacific/programmes/communicable_diseases/disease_surveillance_response/PSS-22-May-2016/en/