世界のインフルエンザ流行について(更新12)

2016年6月27日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:559KB]

WHOから発表された2016年6月12日までのデータに基づくインフルエンザの活動状況です。3月末以降、アメリカ大陸およびヨーロッパ地域からの報告が各地域のサイト情報で掲載されるようになりました。そのため、ここでは、アジア熱帯地域の詳細情報のみを追記し、これらを除く地域については要約のみを記載しています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご覧ください。

要約

南半球温帯地域では、インフルエンザの活動が南米および南アフリカで着実に高まってきました。オセアニアのほとんどの国では、活動は低い状態に留まっていました。北半球温帯地域におけるインフルエンザの活動は、オフ・シーズンのレベルに戻りました。

  • 南米温帯地域では、インフルエンザの流行シーズンが始まり、インフルエンザ様疾患(ILI)と、急性呼吸器症候群(ARI)や重症急性呼吸器症候群(SARI)の患者の報告がこの数週間で着実に増えてきました。検出された呼吸器系ウイルスのうちでは、RSウイルスおよびインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。
  • アフリカ南部温帯地域の国々では、主にインフルエンザBウイルスによるインフルエンザの検出の増加が続いていました。
  • オセアニアでは、インフルエンザ・ウイルスの活動は弱い状態でした。インフルエンザ様疾患(ILI)の検出数がオーストラリアで増加してきました。
  • カリブ海地域の国々では、総じて呼吸器系ウイルスの活動が弱い状態で留まっていました。この数週間を通して報告されていたキューバでのインフルエンザBの活動は弱まってきました。
  • 中米では、エルサルバドルでインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの流行が続いており、パナマでも高まってきました。コスタリカとグアテマラではRSウイルスの活動が続いていました。
  • 南米熱帯域では、この地域のほとんどで、インフルエンザA(H1N1)pdm09とRSウイルスの活発な感染伝播が続いていました。ボリビアとコロンビアでは、インフルエンザの検出数が増加してきました。エクアドルとコロンビアでは、急性呼吸器症候群(ARI)や重症急性呼吸器症候群(SARI)の活動が高まってきました。しかし、ブラジルでは、インフルエンザの検出数とSARIの指標のピークは過ぎたようでした。
  • 南アジア熱帯地域では、この地域でインフルエンザAとBが入り交じって伝播しながらも、総じてインフルエンザの活動が弱い状態でした。
  • アフリカの北部温帯地域と中央部熱帯地域では、全体的にインフルエンザの活動が弱い状態でした。その中で、アフリカ西部では主にインフルエンザAウイルスの検出が、アフリカ東部では主にインフルエンザBウイルスの検出が、報告されました。
  • 北米およびヨーロッパでは、インフルエンザの活動が弱い状態でした。その中では、インフルエンザBが検出されていました。インフルエンザ様疾患(ILI)のレベルは流行シーズンの基準を下回りました。
  • アジア温帯地域では、インフルエンザBウイルスの活動を伴いながらも、インフルエンザの活動が弱まりを続けていました。
  • 2016年5月30日から2016年6月12日までのデータが、FluNet(協定世界時間2016年6月24日 07:06:01まで)に基づき、82の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められています。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に55,586本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は3,800本で、このうち2,282検体(60.1%)がインフルエンザA型、1,518検体(39.9%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、1,426検体(86.2%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、228検体(13.8%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、175検体(32.1%)がB-山形系統で、371検体(67.9%)がB-ビクトリア系統でした。

アジア熱帯地域

全体として、アジア南部のインフルエンザの活動はインフルエンザBウイルスを検出しながらも弱い状態でした。東南アジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、およびインフルエンザBウイルスが入り交じって検出されながらも、インフルエンザの検出数は減ってきました。ベトナムでは、この数週間、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出数の増加が報告されました。

出典

WHO.Influenza Update number266. 27 June 2016
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2016_06_27_surveillance_update_266.pdf?ua=1[PDF形式:559KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=3352%3A2010-influenza-situation-report&catid=2407%3Ainfluenza-other-respiratoryviruses&Itemid=2469&lang=en

ヨーロッパ、中央アジア
EURO:https://flunewseurope.org/

西太平洋地域
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza