世界のインフルエンザ流行について (更新13)

2016年7月11日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:719KB]

WHOから発表された2016年6月26日までのデータに基づくインフルエンザの活動状況です。3月末以降、アメリカ大陸およびヨーロッパ地域からの報告が各地域のサイト情報で掲載されるようになりました。そのため、ここでは、アジア熱帯地域の詳細情報のみを追記し、これらを除く地域については要約のみを記載しています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご覧ください。

要約

南半球温帯地域では南米および南アフリカで、インフルエンザの活動が最近の数週間で着実に高まってきました。しかし、オセアニアではほとんどの国で、活動は低い状態に留まっていました。北半球温帯地域におけるインフルエンザの活動は、オフ・シーズンのレベルとなりました。

  • 南米熱帯地域では、インフルエンザ様疾患(ILI)と、急性呼吸器症候群(ARI)や重症急性呼吸器症候群(SARI)の患者数の増加が続いていました。検出された呼吸器系ウイルスの中では、RSウイルスおよびインフルエンザA(H1N1)pdm09が優勢でした。
  • アフリカ南部温帯地域の国々では、インフルエンザの検出数の増加が続いていました。検出されるのは、主にインフルエンザBウイルスでした。
  • オセアニアでは、インフルエンザ・ウイルスの活動は弱い状態でした。オーストラリアでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の検出数が今年のこの時期としては低い状態です。
  • カリブ海地域の国々では、この数週間にたくさんの国で報告されていたインフルエンザBの活動が弱まってきたことで、総じて呼吸器系ウイルスの活動は弱い状態で留まっていました。例外的に、ジャマイカでは、重症急性呼吸器症候群(SARI)や肺炎の活動に僅かな高まりをみせていました。
  • 中米のエルサルバドルでは、肺炎による入院患者数がピークに達したようでした。パナマでは、この数週間でインフルエンザA(H1N1)pdm09の検出が減少してきましたが、インフルエンザ以外の呼吸器系ウイルスの検出数は増加してきました。コスタリカとグアテマラではRSウイルスの活動が続いていました。
  • 南米熱帯域では、呼吸器系ウイルスがさまざまな活動をしていました。コロンビアとボリビアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の活動が強まってきましたが、RSウイルスの活動は弱まるか、低い状態でした。コロンビアでは、急性呼吸器症候群(ARI)や重症急性呼吸器症候群(SARI)の活動が、前年と比べて高まってきました。エクアドルでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出数がピークに達したようで、重症急性呼吸器症候群(SARI)に関連する入院患者の割合が予想レベルから下がってきました。ペルーでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の活動は弱まってきましたが、RSウイルスの活動が少しずつ強まってきました。ブラジルでは、インフルエンザの検出数とSARIの指標がピークに達したようでした。
  • 南アジア熱帯地域では、この地域でのインフルエンザAとインフルエンザBの伝播を捕らえながらも、総じてインフルエンザの活動は弱い状態でした。
  • アフリカの北部温帯地域と中央部熱帯地域では、全体的にインフルエンザの活動が弱い状態でした。その中で、アフリカ西部では主にインフルエンザAウイルスの検出が、アフリカ東部と北部では主にインフルエンザBウイルスの検出が、報告されました。
  • 北米およびヨーロッパでは、インフルエンザの活動が弱い状態でした。その状態の中で、インフルエンザBが検出されていました。インフルエンザ様疾患(ILI)のレベルは流行シーズンの基準値を下回りました。
  • アジア温帯地域では、インフルエンザの活動が弱まりを続けていました。その状態の中で、インフルエンザBが検出されていました。
  • 2016年6月13日から2016年6月26日までのデータが、FluNet(協定世界時間2016年7月8日 11:42:58まで)に基づき、72の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に50,149本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は2,207本で、このうち1,247検体(56.5%)がインフルエンザA型、960検体(43.5%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、808検体(74%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、284検体(26%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザB型ウイルスのうち、113検体(25.7%)がB-山形系統で、327検体(74.3%)がB-ビクトリア系統でした。

アジア熱帯地域

全体として、アジア南部のインフルエンザの活動はインフルエンザBウイルスを検出しながらも弱い状態でした。東南アジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、およびインフルエンザBウイルスが入り交じって検出されながらも、インフルエンザの検出数は減ってきました。ベトナムでは、この数週間、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出数の増加が報告されました。

出典

WHO.Influenza Update number267. 11 July2016
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2016_07_11_surveillance_update_267.pdf?ua=1[PDF形式:719KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=3352%3A2010-influenza-situation-report&catid=2407%3Ainfluenza-other-respiratoryviruses&Itemid=2469&lang=en

ヨーロッパ、中央アジア
EURO:https://flunewseurope.org/