太平洋における症状・疾患サーベイランス報告(更新5)

2016年24-27週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 急性発熱と発疹:バヌアツ[26]
  • 下痢:フィジー[24-27]、バヌアツ[24-27]、パラオ[27]
  • インフルエンザ様疾患:ミクロネシア連邦[24、26、27]、クック諸島[25-27]、アメリカ領サモア[25]、フィジー[25]、バヌアツ[25] 、ニューカレドニア[26]
  • 遷延性発熱:ソロモン諸島[24、25、27]

疾患別の発生状況
●ジカウイルス感染症
【アメリカ領サモア】2016年1月1日から7月7日までに、確定患者43人を含む730人の患者が発生しました。このうち、16人が妊娠女性でした。ジカウイルスに陽性の母親から7人の新生児が生まれましたが、彼らに小頭症の徴候はみられませんでした。医療施設では、毎日平均で1-2例の患者が発生しています[以上27週より]。6月30日までには、719人の疑い患者と32人の確定患者が報告されていました。この時点で、妊娠女性は15人でした。疑い患者のうちの54%が女性で、最も患者が多いのは10歳未満の層でした[以上26週より]。6月23日までには、706人の疑い患者と29人の確定患者が報告されていました。この時点で、妊娠女性は14人でした。疑い患者のうちの54%が女性で、最も患者が多いのは10歳未満の層でした[以上25週より]。
【ミクロネシア連邦】コスラエ州では、2016年2月から7月11日までに、確定患者12人、可能性の高い患者11人、疑い患者75人で合計98人が発生しました[以上27週より]。6月27日までには、94人の疑い患者が報告されました。このうち、PCR法検査による陽性が12例、ジカウイルスIgM抗体陽性が11例ありました。コスラエ州行政地区の感染率は人口1,000人あたり9.16から21.17までの範囲となりました[以上25週より]。
【ニュージーランド】2016年7月2日から8日までに、フィジーに渡航したことのある患者1人の輸入感染が環境科学・調査研究施設から報告されました。1月1日から7月8日までにフィジーから感染輸入された患者は10人となったことが環境科学・調査研究施設から報告されました[以上27週より]。

●チクングニア熱
【ニュージーランド】2016年6月11日から17日までの間に、フィジーに渡航したことのある患者1人の輸入感染が環境科学・調査研究施設から報告されました。2016年2月20日から6月17日までに、フィジーに渡航歴のある患者からの感染輸入された患者は10人となったことが環境科学・調査研究施設から報告されました[以上24週より]。

●下痢症
【バヌアツ】感染の集団発生により9人の死亡が報告されました。流行は6月に始まりました。現在は、週毎の患者数が減ってきています[以上26週より]。

出典