世界のインフルエンザ流行について (更新18)
2016年9月19日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:683KB])
WHOから発表された2016年9月4日までのデータに基づくインフルエンザの活動状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報で掲載されています。そのため、ここではアジア地域で記載されている詳細情報のみを追記し、これらを除く地域については要約のみを記載しています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。
要約
南米温帯地域の国々では、インフルエンザの活動にバラツキがみられ、南アフリカでは活動の高まりが続き、オセアニアではこの数週間でインフルエンザの活動の高まりが着実となってきました。北半球温帯地域におけるインフルエンザの活動は、オフ・シーズンのレベルにありました。
●南米温帯地域では、多くの地域でインフルエンザ・ウイルス、RSウイルスの活動が低下してきました。チリでは、インフルエンザ様疾患(ILI)、検査確定インフルエンザ、RSウイルスの検出数が上昇したままでした。インフルエンザの中では、インフルエンザA(H1N1)pdm09が主体で、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスも同時に伝播していました。アルゼンチンとパラグアイではインフルエンザの活動は弱く、ウルグアイからはインフルエンザの活動の報告がありませんでした。しかし、アルゼンチンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器症候群(SARI)の患者が多い状態でした。南米熱帯地域では、まだ、RSウイルスの活動が高まった状態でした。
●アフリカ南部温帯地域の国々では、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、Bウイルスが重複して伝播していました。
●オセアニアでは、この数週間で少しずつインフルエンザ・ウイルスの活動が高まってきました。しかし、既にピークに達したようでした。主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスが伝播していました。対照的に、ニュージーランドでは、インフルエンザA(H3N2)が多く伝播し、インフルエンザ陽性の検体が43%もあるものの、インフルエンザ様疾患(ILI)での受診率は低い状態でした。
●カリブ海地域の国々では、ほとんどの地域でインフルエンザ及びその他の呼吸器系ウイルスの活動が低いままでした。例外的に、RSウイルス主体による重症急性呼吸器症候群(SARI)の患者数と入院数が増えていたスリナムでは、この数週間はパラインフルエンザの伝播が高まりを続けていました。中米では、インフルエンザの活動は低いままでした。しかし、ほとんどの国で、RSウイルスによりインフルエンザ以外の呼吸器系ウイルスの活動が高い状態でした。
●南米熱帯地域では、ほとんどの国で、この数週間はインフルエンザA(H1N1)pdm09とRSウイルスの活動が低下してきたか、又は、低い状態にありました。コロンビアでは、インフルエンザの活動が低下してきました。ブラジルとエクアドルでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出数が減ってきました。ペルーでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の同時伝播がありながらも、インフルエンザの活動は低下を続けていました。
●南アジア熱帯地域の国々では、この地域での季節性インフルエンザAウイルスとBウイルスの同時伝播を伴いながらも、インフルエンザの活動は全般的に低い状態でした。
●東南アジアでは、この地域での季節性インフルエンザAウイルスとBウイルスの同時伝播を伴いながらも、この数週間はインフルエンザの検出数が減少する傾向にありました。
●アフリカの北部、中央部、西部地域において、この間に報告のあったいくつかの国の間では、この数週間に散発的にインフルエンザA(H3N2)の患者が報告されました。アフリカ東部では、マダガスカルで、インフルエンザB主体の検出数の上昇が続いていることが報告されました。ケニアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)、の活動が低下してきたことが報告されました。
●北米およびヨーロッパでは、インフルエンザ・ウイルスの検出は僅かしかなく、インフルエンザの活動が低い状態でした。インフルエンザ様疾患(ILI)のレベルは、流行シーズンの基準値を下回っていました。
●アジア温帯地域では、インフルエンザの活動は低い状態でした。
●2016年8月22日から2016年9月4日までのデータが、FluNet(協定世界時間2016年9月16日 03:54:50まで)に基づき、68の国と地域にある国立インフルエンザセンター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に42,184本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は2,911本で、このうち2,271検体(78%)がインフルエンザA型、640検体(22%)がインフルエンザB型でした。亜型が解析されたインフルエンザA型ウイルスのうち、301検体(18.6%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1,313検体(81.4%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、44検体(24.9%)がB-山形系統で、133検体(75.1%)がB-ビクトリア系統でした。
アジア熱帯地域
アジア南部では、全体的にインフルエンザの活動が低い状態でした。その中で、インフルエンザAとB両方のウイルスが伝播していました。ネパールでもインフルエンザA(H3N2)とB両方のウイルスが検出されていましたが活動の低下が報告されました。
東南アジアでは、この数週間は、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)、インフルエンザBウイルス、全ての伝播をともなっていましたが、インフルエンザの検出数は減る傾向にありました。インフルエンザA(H3N2)ウイルスが伝播しているシンガポールでは、この数週間は検出数の減少が報告されました。カンボジアでは、インフルエンザBウイルス陽性の検体の増加が引き続き報告されました。タイでは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09の増加が報告されました。A(H3N2) ウイルスやBウイルスも検出されました。ラオス、マレーシア、フィリピンでは、Bウイルスが多く検出されました。また、A(H1N1)pdm09やA(H3N2)も検出されました。
出典
WHO.Influenza Update number272. 19September2016
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2016_09_19_surveillance_update_272.pdf?ua=1[PDF形式:683KB]
参考サイト
アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=3352%3A2010-influenza-situation-report&catid=2407%3Ainfluenza-other-respiratoryviruses&Itemid=2469&lang=en
ヨーロッパ、中央アジア
EURO:https://flunewseurope.org/