太平洋における症状・疾患サーベイランス報告 (更新8)

2016年38-43週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 急性発熱と発疹:トケラウ [39、43]、フランス領ポリネシア[40、41]、クック諸島[41]
  • 下痢:トンガ[38-42]、ミクロネシア連邦[40、42、43]、フランス領ポリネシア[40-43]、ニューカレドニア[40、42]、ソロモン諸島[41]、サモア[43]、トケラウ [43]、トンガ[43]
  • インフルエンザ様疾患:トンガ[38、39]、グアム[38-43]、マーシャル諸島[38]、ソロモン諸島[38-41]、トケラウ [39、43]、バヌアツ[39、42]、ミクロネシア連邦[40-43]、ナウル[40、41]

疾患別の発生状況

デング熱

ソロモン諸島:10月8日に、首都ホニアラとガダルカナル州でデング熱の流行が宣言されました。10月19日には、他の州にも宣言が拡大されました。第33週(8月

15日)から42週(10月23日)までに、首都ホニアラ、ガダルカナル島、マライタ州、イサベル州、チョイスル州から、1,718人のデング疑い患者が報告されました(先週の報告から患者506人が追加報告されました)。第42週には、全国症候調査システムの定点報告から、患者299人が報告されました。また、調査活動が強化されたことにより、患者報告207人が定点観測点以外からも報告されました。
第33週から42週までに、検体706本で迅速診断テストが行われ、220本(31%)がNS1に陽性でした。また、NS1陰性であった患者22人からはデング・ウイルスIgM陽性/IgG陰性が示され、最近になっての感染と考えられました(これらのテストの総陽性率は34%)。第42週には、患者54人で検査が行われました。このうち、12人がNS1陽性、4人がデング・ウイルス(IgM)陽性/IgG陰性でした(第42週全体で16人)。
(オーストラリア)クィーンズランド州の病理研究所に確定診断のために送られた血液検体17本のうち3本で、デング熱1型が確認されました。[以上、第43週]

首都ホニアラにある民間の診療所からは、デング熱2型が報告されました。デング熱1型、2型、3型の重複した流行であることを確かめるためにPCR法検査を用いた分子学的検査を来週に行います。その確定診断のために、追加の検体が送られました。これらの結果に基づけば、観察されたNS1陽性患者数の増加は、現在流行している首都ホニアラとガダルカナル州では、デング熱1型と2型の再興によって引き起こされたようです。[ここまで、第42週から補足]

感染者の平均年齢は23歳(0-63歳)で15歳以下と25-49歳の年齢層で最も多く感染しています。[ここまで、第41週から補足]

髄膜炎菌性髄膜炎

ソロモン諸島:マライタ州(マライタ島)の民間病院で髄膜炎菌性髄膜炎疑いの患者4人が報告されました[38]。

インフルエンザ様疾患

バヌアツ、ソロモン諸島、トンガ、トケラウ、グアム:週末までに報告された患者数が、警戒レベルを上回りました。検体は、確認検査のためにソロモン諸島からビクトリア感染症研究所に送られました。結果を待っている状態です。[以上、第39週]

出典