世界のインフルエンザ流行の状況 (更新4)

2017年3月6日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:696KB]

WHOから発表された2017年2月19日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報で掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

北半球温帯地域では、いくつもの国でインフルエンザの活動の高まりが続いていました。(しかし)東アジア、ヨーロッパの多くの国では、流行がピークを迎えたようでした。世界全体で、インフルエンザA(H3N2)が流行していました。これまでのところ、ほとんどのインフルエンザ・ウイルスの特徴が、北半球インフルエンザ流行(2016-2017)で使用されているワクチンに含まれる成分に照らして、遺伝学的に類似していました。最近の抗ウイルス薬への感受性試験では、採取されたウイルスのほとんどすべてが、抗ウイルス薬ノイラミニダーゼ阻害剤に感受性を示しました。

  • 北米では、インフルエンザの活動が高い状態が続いていました。アメリカ合衆国では、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの検出数が、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスを伴い、多い状態でした。インフルエンザの活動が、カナダでは高止まりの状態に、メキシコでは主にインフルエンザA(H3N2)とインフルエンザA(H1N1)pdm09によって高まった状態になっていました。
  • ヨーロッパでは、インフルエンザの活動が高い状態でした。流行している亜型はほとんどがインフルエンザA(H3N2)でした。(しかし)この数週間はインフルエンザBウイルスの検出数が増えてきました。これまでの週と比べると、ほとんどの国で、現状維持か、減少傾向であることが報告されました。65歳を超える人はかなりの頻度でインフルエンザが重症化と関係づけられたことが報告されました。
  • 東アジアでは、インフルエンザの活動に低下傾向がみえてきました。(検出されるのは)ほとんどがインフルエンザA(H3N2)でした。
  • 西アジアでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスの両方がこの地域に伝播していましたが、治まってきました。
  • 南アジアでは、インドとスリランカで、インフルエンザの活動が高まってきました。主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が報告され、次いで、インフルエンザBも報告されました。
  • 東南アジアでは、インフルエンザの活動は低い状態でした。
  • アフリカ北部では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスの検出が報告されていましたが、治まってきました。
  • アフリカ西部では、コートジボワール、ガーナ、ニジェールで、インフルエンザの活動の報告が続いていました。検出された主なウイルスはインフルエンザBでした。
  • カリブ海地域の国々と中米では、インフルエンザ・ウイルスもその他の呼吸器系ウイルスも、活動が全般的に低い状態でした。しかし、プエルトリコでは、インフルエンザA(H3N2)により、流行期の注意レベルを上回っていました。ジャマイカでは、急性呼吸器感染症の活動が、警戒レベルを超えて高まり、ピークに達していました。
  • 南米熱帯地域では、インフルエンザ・ウイルスおよび呼吸器系ウイルスの活動はほとんどの国で低いレベルに留まっていました。コロンビアだけは、RSウイルスの活動が高まった状態でした。
  • 南半球温帯地域では、インフルエンザ・ウイルスの活動はオフ・シーズンのレベルでした。
  • 2017年2月6日から2月19日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年3月3日 11:02:59まで)に基づき、91の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に187,734本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は45,504本で、このうち39,002検体(85.7%)がインフルエンザA型、6,502検体(14.3%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザA型ウイルスの亜型では、1,085検体(7.5%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、13,342検体(92.5%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、491検体(65.2%)がB-山形系統で、262検体(34.8%)がB-ビクトリア系統でした。
  • 2017-2018年の北半球におけるワクチンの推奨事項が作成されました。下記のリンクから閲覧することができます。
    http://www.who.int/influenza/vaccines/virus/recommendations/2017_18_north/en/

出典

WHO.Influenza Update number284. 6 March 2017
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_03_06_surveillance_update_284.pdf?ua=1[PDF形式:696KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=3352%3A2010-influenza-situation-report&catid=2407%3Ainfluenza-other-respiratoryviruses&Itemid=2469&lang=en

ヨーロッパ事務局、西太平洋地域事務局の関連リンク
EURO:http://www.flunewseurope.org/
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza