西太平洋地域における症状・疾患サーベイランス報告(更新)

2017年5-8週に報告されたWHO西太平洋地域事務局(WPRO)のサーベイランス情報をまとめて掲載いたします。

  1. 註1:発生時期に時間差がありますので、詳細は原文でお確かめください。
  2. 註2:[ ]の数字は報告週です。

太平洋地域での症状・疾患サーベイランス報告システム(PSSS)では、伝染性感染症の発生を示唆する情報の報告をしています。データは、急性発熱と発疹、下痢、インフルエンザ様疾患、遷延性の発熱の4つの症状群について、太平洋地域の23か国200か所以上の医療施設から収集されています。PSSSは、伝染性感染症に対する極めて貴重な早期警報ツールとしての、また、太平洋諸島の地域と国々、WHO、太平洋共同体のようなその他の国際機関との間で定期的に連絡をとる機構制度としての役目を果たしています。

概要

  • 下痢:ミクロネシア連邦[5]
  • インフルエンザ様疾患:ニウエ[7,8]
  • 遷延性発熱:ニウエ[5]、バヌアツ[7]
  • 急性発熱および発疹:バヌアツ[7]

疾患別の発生状況

デング熱

フィジー、アメリカ領サモア
デング熱患者が増加しており、両国ともにデング熱2型が確認されています[8]。
ナウル
2017年2月25日に、流行の発生が宣告されました[8]。
バヌアツ
デング熱2型の流行が続いており、2017年3月2日の時点で患者が1,831人、入院が45件(2016年11月以降)報告されています[8]。2017年2月23日(2016年11月以降)の時点での患者は1,758人[7]、2月16日では1,638人[6]、2月16日では1,485人[5]でした。この6週間は、平均して200人の新たな患者が報告されています[5]。
ニューカレドニア
2016年9月1日から2017年2月21日までに、デング熱患者1,163人が出ました。死亡者が3人報告されています。デング熱1型、2型、3型が流行しています[ここまで、第8週より]。 2017年2月21日の時点ではデング熱患者は934人[7]、2月14日の時点では、デング熱患者は719人でした。症例数が増加したために緊急事態が宣言されました[6]。2月14日の時点の患者は555人で、デング熱1型が確認されました。
ソロモン諸島
2016年8月以降、2017年2月12日までに、デング熱患者10,498人が10州の全てから出ました。2016年第33週から2017年第6週までに、合計2,917人に迅速診断検査(デング熱Duo標準診断)が行われ、1,276人(44%)でNS1またはIgMのいずれかが陽性でした。第6週(2017年2月6日~12日)にデング熱が疑われた患者26人が、国立中央病院に入院しました。2016年8月15日以降の入院総数は706人となり、入院患者の63%が24歳未満で占められていました[ここまで、第7週より]。2016年10月から2017年1月までに、デング熱に関連して合計12人が死亡しました。このうち11人の死亡は国立中央病院から報告され、1人はグッドサマリタン病院から報告されました。死亡者の多く(7/12)が50歳以上でした。データは全体として、デング熱疑い患者の数が減少する傾向にある可能性を示唆しています。しかし、この傾向が続きかどうかを確認するために、さらに数週間は調査活動を続ける必要があります[ここまで、第5週より]。
フランス領ポリネシア
デング熱1型の流行が続いていました[7]。デング熱2型患者2人が報告されました。2人は最近になってバヌアツを旅行していました[ここまで、第6週より]。

下痢症

ミクロネシア連邦
Pohnpei(ポンペイ島)州では、ある村落で大量の下痢患者が報告されました。患者は、ほとんどが5歳未満の子どもでした。マス・メディアを使って、注意喚起と予防へのメッセージが放送されています[ここまで、第8週より]。

A型肝炎

マーシャル諸島
2016年9月以降、2017年2月17日までに、診断確定患者が121人でました。ほとんどの患者は首都マジュロからの発生していました。6人だけは外部の環礁地域に住んでいましたが、首都マジュロでこの病気に感染していました[ここまで、第7週より]。

出典