世界のインフルエンザ流行の状況 (更新5)

2017年3月20日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:691KB]

WHOから発表された2017年3月05日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報で掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

北半球温帯地域では、いくつもの国でインフルエンザの活動の低下が見えてきました。特に、東アジア、ヨーロッパの多くの国では、流行が既にピークを過ぎました。世界全体で、インフルエンザA(H3N2)が流行していました。南アジアでは、主にH1N1によるインフルエンザの活動が高まってきています。これまでのところ、ほとんどのインフルエンザ・ウイルスの特徴が、北半球インフルエンザ流行(2016-2017)で使用されているワクチンに含まれる成分に照らして、遺伝学的に類似していました。最近の抗ウイルス薬への感受性試験では、採取されたウイルスのほとんどすべてが、抗ウイルス薬ノイラミニダーゼ阻害剤に感受性を示しました。

  • 北米のカナダとアメリカ合衆国では、全体的に、インフルエンザとその他の呼吸器系ウイルスの活動が低下してきました。メキシコでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09が中心となるインフルエンザの活動が高まってきました。
  • ヨーロッパでは、この地域で蔓延していたインフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスによるインフルエンザの活動が目に見えて下がってきました。この数週間は、インフルエンザBウイルスの検出数が増えてきました。65歳を超える人はかなりの頻度でインフルエンザが重症化と関係づけられたことが報告されました。
  • 東アジアでは、インフルエンザの活動が低下してきました。(検出されるのは)ほとんどがインフルエンザA(H3N2)でした。
  • 西アジアでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの両ウイルスがこの地域に伝播していましたが、治まってきました。
  • 南アジアでは、インド、スリランカ、モルジブで、インフルエンザの活動が高まってきました。主にインフルエンザA(H1N1)pdm09が報告され、次いで、インフルエンザBも報告されました。
  • 東南アジアでは、インフルエンザの活動は低い状態でした。
  • アフリカ北部では、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの両ウイルスが伝播していたチュニジアで、インフルエンザの活動の低下が報告されました。
  • アフリカ西部では、ガーナ、マリで、インフルエンザの活動の報告が続いていました。検出された主なウイルスはインフルエンザBでした。アフリカ東部では、インフルエンザの活動がエチオピアとモーリシャスから報告されました。主にインフルエンザA(H3N2)が報告されました。
  • カリブ海地域の国々と中米では、インフルエンザ・ウイルスもその他の呼吸器系ウイルスも、活動が全般的に低い状態でした。
  • 南米熱帯地域では、インフルエンザ・ウイルスおよび呼吸器系ウイルスの活動はほとんどの国で低いレベルに留まっていました。コロンビアだけは、RSウイルスの活動が高まった状態でした。
  • 南半球温帯地域では、インフルエンザ・ウイルスの活動はオフ・シーズンのレベルでした。2017年2月20日から3月5日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年3月17日 09:50:51まで)に基づき、94の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に156,226本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は34,376本で、このうち26,581検体(77.3%)がインフルエンザA型、7,795検体(22.7%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザA型ウイルスの亜型では、651検体(8.1%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、7,392検体(91.9%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、614検体(71.4%)がB-山形系統で、246検体(28.6%)がB-ビクトリア系統でした。

出典

WHO.Influenza Update number285. 20 March 2017
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_03_20_surveillance_update_285.pdf?ua=1[PDF形式:691KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_content&view=article&id=3352%3A2010-influenza-situation-report&catid=2407%3Ainfluenza-other-respiratoryviruses&Itemid=2469&lang=en

ヨーロッパ事務局、東地中海地域事務局、西太平洋地域事務局の関連リンク
EURO:http://www.flunewseurope.org/
EMRO:http://www.emro.who.int/entity/surveillance-forecasting-response/index.html
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza