世界のインフルエンザ流行の状況 (更新8)

2017年5月1日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:545KB]

WHOから発表された2017年4月16日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 北半球温帯地域では、インフルエンザの活動の低下が続いていました。(一方)南半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低い状態で留まっていました。世界全体の傾向として、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが伝播しており、この数週間は、インフルエンザBウイルスの検出割合が増えてきています。
  • 2017年4月3日から4月16日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年4月27日 11:46:47まで)に基づき、95の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に109,373本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は14,597本で、このうち6,108検体(41.8%)がインフルエンザA型、8,489検体(58.2%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザA型ウイルスの亜型では、1,358検体(42.5%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、1,834検体(57.5%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、747検体(49.3%)がB-山形系統で、767検体(50.7%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米

北米では、全体的にインフルエンザの活動が低下してきました。カナダでは、主にインフルエンザA(H3N2)が検出されており、次いでインフルエンザBウイルスが検出されていました。メキシコでは、全てのタイプ(型)およびサブタイプ(亜型)のインフルエンザが検出されました。アメリカ合衆国では、インフルエンザBウイルスが優勢でした。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、インフルエンザの活動が低いレベルに下ってきました。その中で、ヨーロッパ北部と東部では、主にインフルエンザBウイルスが検出されました。インフルエンザ様疾患(ILI)と急性呼吸器感染症(SARI)の指標は、全体的に、低い状態か(注意)基準よりも低いレベルにありました。

北アフリカ

北アフリカでは、インフルエンザの活動が低い状態に留まっていました。チュニジアでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの散発的な検出が報告されていました。

西アジア

西アジアでは、インフルエンザの活動が減少を続けていました。この地域では、インフルエンザB型ウイルスが優勢でした。ジョージアでは、急性呼吸器感染症(SARI)のレベルが低下を続けており、アルメニアでは、落ち着いた状態でした。オマーンでも、インフルエンザの活動は低調でした。(検出されるのは)インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスでした。

中央アジア地域

東アジア

東アジアでは、季節性インフルエンザの全てのタイプ(型)およびサブタイプ(亜型)が報告され、この地域ではインフルエンザの活動が続いていました。中国北部および南部では、この数週間、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検出数が増えてきていました。中国南部および韓国では、インフルエンザBウイルス検出の報告が続いていました。中国南部では、インフルエンザBのうちビクトリア系統が優勢でした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国

カリブ海地域の国々と中米では、呼吸器系ウイルスの活動が低い状態でした。南米熱帯地域では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの優勢に伴い、僅かながらインフルエンザの活動が高まっていました。その他の呼吸器系ウイルスも、活動は低い状態でした。コロンビアだけは、RSウイルスの活動が高まっていました。

アフリカ

西アフリカでは、インフルエンザ活動は低いレベルではあるものの、コートジボワール、ガーナ、セネガル、シエラレオネで報告が続いていました。この地域では、全てのタイプ(型)およびサブタイプ(亜型)のインフルエンザが伝播していました。東アフリカのマダガスカルとタンザニアでは、この数週間で、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスの検出の増加が報告されました。

熱帯アジア

南アジアでは、インフルエンザの活動は低下してきているものの、報告が続いていました。インドとモルジブでは、引き続き、インフルエンザA(H1N1)pdm09が報告されていました。パキスタンでは、この数週間、散発的にインフルエンザA(H3N2)ウイルスの患者が報告されました。ブータンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザ活動が低下してきました。伝播しているのはインフルエンザA(H3N2)およびインフルエンザBウイルスでした。東南アジアでは、インフルエンザの活動は低調ではあるものの、この地域では全てのタイプ(型)およびサブタイプ(亜型)のインフルエンザが伝播していました。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、インフルエンザ・ウイルスの活動はオフ・シーズンのレベルでした。チリでは、これまでのこの季節の傾向と一致して、この数週間で、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が警戒レベル近くまで高まってきました。

出典

WHO.Influenza Update number288. 1 May 2017

http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_05_01_surveillance_update_288.pdf?ua=1[PDF形式:545KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]

AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局

EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局

EMRO:http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/surveillance-news/influenza-update-march-2017.html

西太平洋地域事務局

WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza