世界のインフルエンザ流行の状況 (更新15)

2017年8月7日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:589KB]

WHOから発表された2017年7月23日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

●南半球温帯地域と東南アジアの一部の国では、高いレベルでインフルエンザの活動の報告が続いていました。中米、カリブ海沿岸諸国のいくつかの国でも、引き続き、インフルエンザの活動の高まりが報告されています。(一方)北半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低調なレベルにあることが報告されました。世界全体では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが伝播しています。
●2017年7月10日から7月23日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年8月4日 04:25:11まで)に基づき、78の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に58,087本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は9,972本で、このうち9,149検体(91.7%)がインフルエンザA型、823検体(8.3%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、653検体(8%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、7,505検体(92%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、173検体(58.4%)がB-山形系統、123検体(41.6%)がB-ビクトリア系統でした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、この数週間で、ほとんどの国でインフルエンザの活動が高まりをみせ、ピークを迎えました。

南米温帯地域では、インフルエンザの活動、重症急性呼吸器感染症(SARI)とインフルエンザ様疾患(ILI)の指標が、データを報告している国の中で下がってきました。この地域では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが優勢で、一部の地域ではインフルエンザBウイルスの活動も報告されました。

太平洋地域では、インフルエンザA(H3N2) ウイルスとインフルエンザBウイルスを伴い、季節性インフルエンザの活動の高まりが続いていました。オーストラリアでは、インフルエンザの活動が季節変動を辿っていました。ニュージーランドでは、この数週間、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)の指標が増加を続けていました。インフルエンザ様疾患(ILI)は、まだ流行期の注意レベルを上回っていました。インフルエンザの活動も、インフルエンザA(H3N2) ウイルスとインフルエンザB-山形系統ウイルスの検出を伴い、高まっていました。この他の呼吸器系ウイルスの活動は低下してきました。

アフリカ南部では、季節性の活動が第26週をピークに下がってきました。検出されるのは、ほとんどがインフルエンザA(H3N2)でした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
カリブ海地域と中米の国々では、全般的に、呼吸器系ウイルスの活動は低調でしたが、いくつかの国で高まってきました。重症急性呼吸器感染症(SARI)とインフルエンザ様疾患(ILI)の指標は、全般的に低調でした。キューバでは、インフルエンザA(H3N2) ウイルスの検出数が増えてきました。また、ジャマイカでは、少数のインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。スリナムでは、入院患者のうち、重症急性呼吸器感染症(SARI)患者の割合が増えてきました。インフルエンザの活動は報告されていませんが、RSウイルスの活動が高まっていました。ニカラグアでは、この数週間、インフルエンザBウイルスの検出数が増えてきました。コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラでは、インフルエンザの活動は下がってきましたが、RSウイルスの検出数が増えていることが報告されました。エルサルバドルでは、入院患者と肺炎患者のうち、重症急性呼吸器感染症(SARI)患者の割合が増えてきました。
南米熱帯地域では、インフルエンザの活動は低調な状態にとどまっていました。

アフリカ
西アフリカでは、コートジボワール、ガーナ、トーゴで、僅かですがインフルエンザの活動が報告されました。この地域では、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスとA(H3N2)ウイルスが伝播していました。東アフリカでは、ほとんどインフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出は報告されませんでした。

熱帯アジア
南アジアでは、インフルエンザの活動レベルが低い状態にあるとの報告が続いていました。検出されるのは、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスでした。ブータンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の報告が高いレベルで続いていました。しかし、インフルエンザの検出数は僅かでした。
東南アジアでは、インフルエンザの活動の報告が続いていました。この地域では、季節性インフルエンザのすべてのサブタイプ(亜型)が検出されました。シンガポールでは、急性呼吸器感染症(ARI)とインフルエンザ様疾患(ILI)が増えてきました。しかし、この数週間、インフルエンザの検出数は減ってきたようでした。タイとフィリピンでは、インフルエンザの活動の報告が続いていました。中国南部と香港では、高いレベルでインフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動の報告が続いていました。検出されるのは、主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスでした。香港では、高いレベルで重症急性呼吸器感染症(SARI)の活動も報告されました。ミャンマーからは、主にインフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスによるインフルエンザの検出数の増加が報告されました。

北半球の温帯地域

北米
北米では、ほんのわずかなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、ほんのわずかなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

北アフリカ
北アフリカでは、インフルエンザの検出は報告されませんでした。

西アジア
西アジアでは、この数週間、数件のインフルエンザの検出が報告されただけでした。

中央アジア

中央アジアでは、ウイルスの検出についても呼吸器系疾患の指数についても情報更新はありませんでした。

東アジア
東アジアでは、インフルエンザの活動は依然として低調でした。

出典

WHO.Influenza Update number295. 7 August 2017
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_08_07_surveillance_update_295.pdf?ua=1[PDF形式:589KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局
EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局
EMRO:http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/surveillance-news/influenza-monthly-update-july-2017.html

西太平洋地域事務局
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza