世界のインフルエンザ流行の状況 (更新16)

2017年8月21日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:592KB]

WHOから発表された2017年8月6日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 南半球温帯地域と南アジア、東南アジアの一部の国では、高いレベルでインフルエンザの活動が報告され続けていました。中米、カリブ海沿岸諸国のいくつかの国でも、引き続き、インフルエンザの活動が報告されました。(一方)北半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低調なレベルにとどまっていました。世界全体では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが伝播しています。
  • 2017年7月24日から8月6日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年8月18日 03:36:54まで)に基づき、75の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に50,456本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は8,401本で、このうち7,644検体(91%)がインフルエンザA型、757検体(9%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、779検体(11.6%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、5,930検体(88.4%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、168検体(63.4%)がB-山形系統、97検体(36.6%)がB-ビクトリア系統でした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、太平洋地域で、インフルエンザの活動が高まっています。しかし、南米とアフリカ南部ではピークを迎えたようでした。

南米温帯地域では、インフルエンザの活動、重症急性呼吸器感染症(SARI)とインフルエンザ様疾患(ILI)の指標が、データを報告している国の中で下がってきました。この地域では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが優勢で、一部の地域ではインフルエンザBウイルスの活動も報告されました。

太平洋地域では、引き続き、インフルエンザA(H3N2) ウイルスとインフルエンザBウイルスを伴い、季節性インフルエンザの活動が高まりを続けていました。オーストラリアでは、州の間で差がありますが、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。ニュー・サウス・ウェールズ州では、インフルエンザ様疾患(ILI)と入院を必要とする肺炎の急激な増加が報告されました。ニュージーランドでは、呼吸器疾患の指標およびインフルエンザの活動が下がってきたようでした。主に検出されたウイルスは、インフルエンザA(H3N2) とインフルエンザB-山形系統でした。この他の呼吸器系ウイルスの活動も低下してきました。

アフリカ南部では、いくつもの国でインフルエンザの活動が報告されました。しかし、南アフリカ共和国ではピークを過ぎたようでした。検出されたのは、ほとんどがインフルエンザA(H3N2)ウイルスでした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
カリブ海地域と中米の国々では、全般的に、呼吸器系疾患の指標とインフルエンザの活動が低調でした。例外的に、僅かな国で、RSウイルスの活動が高まっていました。キューバでは、インフルエンザA(H3N2) ウイルスとインフルエンザBウイルスの検出数が増えてきました。スリナムでは、入院患者のうち、重症急性呼吸器感染症(SARI)患者の割合が増えてきました。インフルエンザの活動は報告されていませんが、RSウイルスの活動が高まっていました。ニカラグアでは、インフルエンザA(H3N2) ウイルスとインフルエンザBウイルスが伝播していましたが、インフルエンザの活動は低下してきました。コスタリカとグアテマラでは、活発なRSウイルスの活動が報告されました。エルサルバドルでは、すべての入院患者と肺炎患者のうち、重症急性呼吸器感染症(SARI)患者の割合が増え続けていました。

南米熱帯地域では、インフルエンザの活動は低調な状態にとどまっていました。

アフリカ
西アフリカでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスとA(H3N2)ウイルスが伝播しており、コートジボワール、ガーナ、トーゴで、インフルエンザの活動が報告されました。セネガルでは、B-ビクトリア系統が優勢でした。東アフリカと中央アフリカでは、ほとんどインフルエンザの検出は報告されませんでした。

熱帯アジア
南アジアのインドとネパールでは、この数週間、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスの検出数が増えてきたことが報告されました。ブータンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の報告が高いレベルで続いていました。インフルエンザも僅かですが検出されました。

東南アジアでは、この数週間、インフルエンザの活動の報告が続いていました。この地域では、季節性インフルエンザのすべてのサブタイプ(亜型)が検出されました。ミャンマーとフィリピンではインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの急激な増加が、タイでは主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスの急激な増加が、報告されました。シンガポールでは、呼吸器系疾患の指標が低下してきたようでした。中国南部と香港では、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動がピークを迎えたようですが、まだ、高い状態です。主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されました。

北半球の温帯地域

北米
北米では、ほんのわずかなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、ほんのわずかなインフルエンザの活動の報告、または活動がないことが報告されました。

北アフリカ
北アフリカでは、インフルエンザの検出は報告されませんでした。

西アジア
西アジアでは、インフルエンザの活動は低い状態でした。

中央アジア
中央アジアでは、ウイルスの検出についても呼吸器系疾患の指数についても情報更新はありませんでした。

東アジア
東アジアでは、インフルエンザの活動は低調でした。

出典

WHO.Influenza Update number296. 21 August 2017
http://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_08_21_surveillance_update_296.pdf?ua=1[PDF形式:592KB]

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局
EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局
EMRO:http://www.emro.who.int/surveillance-forecasting-response/surveillance-news/influenza-monthly-update-july-2017.html

西太平洋地域事務局
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza