世界のインフルエンザ流行の状況 (更新21)

2017年10月30日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:590KB]

WHOから発表された2017年10月15日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報でも掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 南半球温帯地域と南アジア並びに東南アジアの一部の国では、インフルエンザの活動の低下傾向が報告されました。中米、カリブ海沿岸諸国の数か国でも、僅かながらインフルエンザの活動が報告されました。(一方)北半球温帯地域では、インフルエンザの活動は低調なレベルにとどまっていました。世界全体では、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが優勢となっていました。
  • 2017年10月2日から10月15日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年10月27日 11:16:23まで)に基づき、73の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に84,217本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は4、193本で、このうち3,269検体(78%)がインフルエンザA型、924検体(22%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、524検体(20.6%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、2,022検体(79.4%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、234検体(71.8%)がB-山形系統、92検体(28.2%)がB-ビクトリア系統でした。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的にインフルエンザの活動が低下してきたようでした。
南米温帯地域では、インフルエンザとRSウイルスの活動が、ほとんどの地域で鎮まる傾向にありました。ウルグアイでは、RSウイルスの活動が上昇した状態で留まっていました。全体として、重症急性呼吸器感染症(SARI)とインフルエンザ様疾患(ILI)の指標が下がってきました。例外的に、ウルグアイでは、この数週間、重症急性呼吸器感染症(SARI)による集中治療室(ICU)への入院が増えてきていました。チリでは、インフルエンザ様疾患(ILI)は流行期の警戒レベルを下回ってきたものの、インフルエンザの陽性率は、この数週間、増えてきていました。主に、インフルエンザBウイルスが検出されました。
太平洋地域では、インフルエンザA(H3N2) ウイルスが優勢で、これにインフルエンザBウイルスが続いていましたが、季節性インフルエンザの活動は低下傾向が続きました。オーストラリアでは、全体として、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動の低下傾向が報告されました。ニューカレドニアでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出が優勢で、インフルエンザの活動が高い状態で留まっていました。
アフリカ南部では、南アフリカ共和国でインフルエンザの活動の低下が続いていました。最もよく検出されるのはインフルエンザBウイルスでした。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国

カリブ海地域と中米の国々では、全般的に、呼吸器系疾患の指標が下がり、インフルエンザの活動が低調でした。しかし、いくつかの国ではRSウイルスの活動が高いままでした。コスタリカでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが同時に伝播しており、インフルエンザの活動が高く留まっていました。
南米熱帯地域では、全体としては、インフルエンザとRSウイルスの活動が低調な状態にとどまっていました。コロンビアでは、インフルエンザA(H3N2)の検出が続いていましたが、活動が流行期のレベルを下回ったことが報告されました。ブラジルでは、インフルエンザBウイルスの検出数が減ってきました。ペルーでは、5歳未満の子どもでの重症急性呼吸器感染症(SARI)と肺炎が、この数週間で増えてきました。インフルエンザの陽性率は流行期を下回るレベルに留まっていますが、優勢なウイルスとしてインフルエンザA(H3N2)ウイルスが報告されました。

アフリカ

西アフリカでは、コートジボワール、ガーナ、シエラレオネで、インフルエンザの検出が報告されました。この地域では、すべての季節性インフルエンザの亜型が伝播していました。アフリカ中央部のカメルーンでは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高まり、インフルエンザA(H1N1) pdm09とインフルエンザA(H3N2)の検出が報告されました。東アフリカでは、ユレニオン島(フランス海外県)でインフルエンザの活動があまり報告されなくなりました。ユレニオン島では、インフルエンザAウイルスとインフルエンザBウイルスが同時に伝播しており、インフルエンザの検出数とインフルエンザ様疾患(ILI)の活動は高い状態で留まっていますが、ピークは過ぎたようでした。

熱帯アジア

南アジアでは、全体的に、インフルエンザの活動は低い状態でした。インドでは、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルスとインフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出の報告が続いていました。
東南アジアでは、ほとんどの国でインフルエンザの活動が鎮まってきました。例外的に、カンボジアでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルス(の検出)を伴い、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。(一方)中国南部、ラオス、タイでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが頻繁に検出されていましたが、インフルエンザの活動が下がってきました。(しかし)ラオスでは、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)の指標が高い状態で留まっていました

北半球の温帯地域

北米

全体として、インフルエンザ・ウイルスの活動は低い状態でしたが、この数週間は、僅かにインフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが検出されました。呼吸器疾患の指標は、流行期のレベルを下回っていました。しかし、メキシコでは急性呼吸器感染症(ARI)が増えてきており、僅かに警戒レベルを上回りました。

ヨーロッパ

ヨーロッパでは、インフルエンザの活動は低い状態でした。この数週間は、主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスが検出されました。

北アフリカ

北アフリカでは、インフルエンザの検出は報告されませんでした。

西アジア

西アジアのオマーンでは、インフルエンザA(H1N1) pdm09ウイルス、続いて僅かな割合でインフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスの検出を伴いながら、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。

中央アジア

中央アジアでは、カザフスタン、タジキスタン、ウズベキスタンで、インフルエンザの検出は少ないですが、インフルエンザ様疾患(ILI)と重症急性呼吸器感染症(SARI)の指標が上昇してきたようでした。

東アジア

東アジアでは、インフルエンザの活動は低調でした。

出典

WHO.Influenza Update number301. 30 October 2017
http://www.who.int/entity/influenza/surveillance_monitoring/updates/2017_10_30_surveillance_update_301.pdf?ua=1[PDF形式:590KB]

参考サイト