世界のインフルエンザ流行の状況(更新25)
2017年12月25日:WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:552KB])
WHOから発表された2017年12月10日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報に掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。
要約
- 北半球温帯地域では、インフルエンザの活動の高まりが続いていました。一方、南半球温帯地域では、活動が非流行期のレベルに下がってきました。中米、カリブ海沿岸諸国でも、インフルエンザの活動は低調でした。世界全体で検出されるインフルエンザの大半は、インフルエンザA(H3N2)ウイルスとインフルエンザBウイルスで占められていました。
- 2017年11月27日から12月10日までのデータが、FluNet(協定世界時間2017年12月22日 01:31:51まで)に基づき、106の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に127,006本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は15,344本で、このうち9,579検体(62.4%)がインフルエンザA型、5,765検体(37.6%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、1,596検体(30.1%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、3,698検体(69.9%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、2,640検体(85.2%)がB-山形系統、460検体(14.8%)がB-ビクトリア系統でした。
- 休暇シーズンと年末のために、FluNetとFLUIDから報告されるデータが、いつもよりも完全性を欠いている可能性があります。
北半球の温帯地域
北米
この地域では、全体的にインフルエンザ・ウイルスの活動が高まりを続けていました。カナダでは、インフルエンザとインフルエンザ様疾患(ILI)、並びにインフルエンザ関連での入院が、この時期に予想されるレベルを超えました。流行の初期にあるとみられます。カナダとアメリカ合衆国では、65歳を超える成人が入院患者の多くを占めました。また、メキシコでは、(65歳を超える成人が)インフルエンザ患者の多くを占めました。この地域では、主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されており、インフルエンザBの検出割合が例年のこの時期よりも高くなっていました。
ヨーロッパ
ヨーロッパでは、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。しかし、ほとんどの国では、まだ低い状態でした。この地域では、主にインフルエンザBウイルスが検出されています。トルコでは、高いレベルでインフルエンザ様疾患(ILI)が報告されました。それでも、インフルエンザの活動は低い状態に留まっていました。
北アフリカ
北アフリカでは、インフルエンザの活動は低い状態が報告されました。チュニジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検出数が、少しずつ増えてきました。
西アジア
西アジアでは、この数週間、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出を伴いながら、高いレベルでのインフルエンザの活動が報告されました。
中央アジア
中央アジアでは、インフルエンザの活動は、低い状態か、報告がない状態でした。
東アジア
東アジアでは、中国を除いて、インフルエンザの活動が低い状態でした。中国北部と南部の両地域では、インフルエンザの陽性率が上昇しており、主にインフルエンザB山形系統ウイルスが、次いでインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されていました。
熱帯地域
アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
カリブ海地域と中米の国々では、呼吸器系疾患の指標もインフルエンザの活動も低い状態でした。しかし、いくつかの国ではRSウイルスの活動が高い状態にありました。特に、ニカラグアとパナマでは高くなっていました。コスタリカでは、主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出に伴うインフルエンザの活動が続いており、エルサルバドルでは、インフルエンザBウイルスの検出が続いていました。
南米熱帯地域では、全体として、インフルエンザとRSウイルスの活動が低調な状態にとどまっていました。コロンビアとペルーでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出が続いていました。
アフリカ
西アフリカのブルキナファソ、ガーナ、シエラレオネでは、主にインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスによるインフルエンザ・ウイルスの検出が報告されました。アフリカ中央部のカメルーンでは、インフルエンザAの散発的な検出が報告されました。東アフリカのマダガスカルとモザンビークでは、インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBの検出が報告されました。
熱帯アジア
南アジアでは、全体的に、インフルエンザの活動は低い状態でした。インドでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザA(H3N2)の検出が報告されました。イランでは、すべての型の季節性インフルエンザが報告されました。
東南アジアでは、低いレベルでのインフルエンザの活動が報告されました。
南半球の温帯地域諸国
南半球温帯地域では、全体的に、インフルエンザの活動が非流行期のレベルまで下がってきました。
南米温帯地域では、インフルエンザとRSウイルスの活動、並びに呼吸器系疾患の指標が低い状態でした。チリでは、インフルエンザBウイルスの検出が減ってきており、パラグアイでは、インフルエンザBの検出数が減り、インフルエンザ様疾患(ILI)が流行期のレベルを下回りました。
太平洋地域では、インフルエンザの活動は非流行期のレベルとなりました。
アフリカ南部では、南アフリカ共和国で、インフルエンザ・ウイルスの検出がほとんどゼロに近い低いレベルで報告されました。
出典
WHO. Influenza Update number 305. 25 December 2017
参考サイト
アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:
www.paho.org/influenzareports
ヨーロッパ事務局
EURO:
http://www.flunewseurope.org/
東地中海地域事務局
EMRO:
http://www.emro.who.int/health-topics/influenza/regional-situation-update.html