世界のインフルエンザの流行状況(更新)

2018年1月22日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:674KB]

WHOから発表された2018年1月7日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。詳細の報告は各地域事務局のサイト情報に掲載されています。詳細は、参考に示された各サイトを基に原文をご参照ください。

要約

  • 北半球温帯地域では、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。一方、南半球温帯地域では、活動が非流行期のレベルに留まっていました。世界全体では、検出されるインフルエンザの大半が、インフルエンザA(62%)で占められていました。しかし、一部の国では、インフルエンザB(ほとんどがB-山形系統)の割合が多くなってきました。
  • これまでのところ、(流行)シーズンが始まった国々の大半では、この数年間と比べて、インフルエンザ様疾患(ILI)が中等度レベルに達していると報告されており、既に、高いレベルに達した国もありました。いくつかの国では、これまでのインフルエンザ(流行)シーズンの最大レベルに達したか超えるレベルで、入院やICU入院が報告されています。WHOは、既にインフルエンザが流行している国や、そのシーズンに入った国に対し、適正な患者の管理、感染制御への対策の遵守、リスクの高い人々への季節性インフルエンザ・ワクチンの接種など、必要な対策を講じることを勧告しています。
  • ワクチンでは、十分に予防しきれないかもしれませんが、(現在も)最良の予防方法です。インフルエンザが流行している限り、ワクチンは求められるべきです。
  • 現在、流行しているウイルスは、抗ウイルス薬(Oseltamivir、Zanamivir)に感受性があると見込まれています。
  • 2017年12月25日から2018年1月7日までのデータが、FluNet(協定世界時間2018年1月19日 04:11:21まで)に基づき、108の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に225,174本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は70,504本で、このうち43,898検体(62.3%)がインフルエンザA型、26,606検体(37.7%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、6,160検体(41.1%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、8,852検体(58.9%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、6,960検体(89.2%)がB-山形系統、845検体(10.8%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
この地域では、全体的にインフルエンザ・ウイルスの活動が高い状態でした。カナダでは、インフルエンザとインフルエンザ様疾患(ILI)の活動が高まりを続け、今年のこの時期としては予想されるレベルを超えていることが報告されました。インフルエンザAの検出が優勢でした。しかし、この数週間に、インフルエンザBの検出数の増加が続き、週毎の観測数では、この7シーズンで最高値に達しました。アメリカ合衆国では、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。インフルエンザA(H3N2)ウイルスが、最も多く検出されました。インフルエンザ様疾患(ILI)による外来患者の割合が、2011年以降でシーズン最高値とみられるレベルに達しました。カナダとアメリカ合衆国では、インフルエンザ患者とインフルエンザの関係する入院患者の多くが、65歳を超える成人で占められました。メキシコでは、主にインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されており、インフルエンザの活動が高まっていました。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、インフルエンザの活動が、ヨーロッパ北部、西部、南西部のほとんどの国で、基底値を上回るレベルにまで高まってきました。一部の国では急激な高まりを示しました。ヨーロッパ東部の国々では、依然として、活動が低い状態でした。インフルエンザB(主に山形系統)が最も多く検出されました。インフルエンザAウイルスで検出されるサブタイプは、国や調査体制(外来か、入院か)によって、さまざまでした。ほとんどの国は、インフルエンザ様疾患(ILI)の割合が低いか中程度と報告されましたが、アイルランド、イタリア、英国(英国、北アイルランド)では、高い割合でインフルエンザ様疾患(ILI)が報告されました。入院の指標が、英国(主にインフルエンザA(H3N2)とB-山形系統)で高いレベルに達し、フランス(主にインフルエンザA(H1N1)pdm09およびB-山形系統)においては、レベルが過去5シーズンよりも高くなりました。

北アフリカ
北アフリカのアルジェリアとチュニジアでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検出数が急増しました。エジプトとモロッコでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09を伴いながらも、インフルエンザBウイルスの検出数が多い状態でした。

西アジア
西アジアでは、いくつかの国でインフルエンザの活動の高まりが報告されました。イラクとイスラエルでは、インフルエンザA (H1N1)pdm09ウイルスとインフルエンザBウイルスの検出が報告されました。一方、ヨルダンでは、インフルエンザA (H1N1)pdm09ウイルスが優勢でした。(また)この数週間、カタールでは、インフルエンザの活動が高いレベルで報告されました。(ここでは)すべての季節性インフルエンザの型が検出されました。

中央アジア
中央アジアでは、インフルエンザの活動は低い状態でした。

東アジア
東アジアでは、高レベルでのインフルエンザの活動が報告されました。中国北部と南部の両地域では、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動が過去3シーズンよりも高いレベルで増加を続けていました。主にインフルエンザB-山形系統ウイルスが、次いでインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されました。香港では、インフルエンザが陽性と判定された呼吸器検体の割合が基底のレベルを超えました。インフルエンザBが最も頻繁に検出されていました。モンゴルでは、このところの数週間で、インフルエンザB-山形系統の検出数が増え、肺炎で入院する患者の割合が前のシーズンと同様のレベルを示しました。韓国では、引き続き、インフルエンザBウイルスとインフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出数の増加が報告されました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
カリブ海地域と中米の国々では、呼吸器疾患の指標とインフルエンザの活動が、低い状態でした。キューバ、ハイチ、ジャマイカでは、インフルエンザBの検出が報告され、プエルトリコでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出が優勢でした。カリブ海・公衆衛生機関?(Caribbean Public Health Agency; CAPRHA)、スリナム、パナマからは、RSウイルスの活動が報告されました。フランス領の一部地域からは、インフルエンザ様疾患(ILI)の活動が報告されました。

南米の熱帯諸国では、いくつかの例外を除き、インフルエンザとRSウイルスの活動、および呼吸器疾患の指標ともに、全体的に低い状態でした。エクアドルでは、この数週間、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルスの検出数が増加し、インフルエンザの活動が、この数年の同じ期間よりも高くなっていました。コロンビアでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスの検出数の減少傾向が報告されました。インフルエンザの活動の低下は、ブラジルとペルーでも報告されました。フランス領ガイアナでは、この数週間で、インフルエンザ様疾患(ILI)での受診が増え、インフルエンザA(H1N1)pdm09、A(H3N2)およびB-Yamagata系統のウイルスの検出が報告されました。

アフリカ
西アフリカでは、地域全土にわたり、インフルエンザの活動が低下を続けていました。アフリカ中央部では、この数週間、活動の高まりが報告されていましたが、今回入手できた更新データはありませんでした。東アフリカでは、地域全土にわたり、インフルエンザの活動は低い状態でした。

熱帯アジア
南アジアのイランでは、インフルエンザの活動が高まりを続けていました。(ここでは)すべての型の季節性インフルエンザが検出されていました。

東南アジアでは、インフルエンザの活動が低いレベルにあることが報告されました。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的に、インフルエンザの活動が非流行期のレベルに留まっていました。

出典

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局
EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局
EMRO:http://www.emro.who.int/health-topics/influenza/regional-situation-update.html

西太平洋地域事務局
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza