世界のインフルエンザの流行状況(更新5)

2018年3月19日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:668KB]

WHOから発表された2018年3月4日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。報告の詳細は各地域事務局のサイト情報に掲載されています。参考に示された各サイトの原文をご参照ください。

要約

●北半球温帯地域では、インフルエンザの活動が引き続き高まった状態でした。しかし、いくつかの国ではピークを迎えたようでした。一方、南半球温帯地域では、活動が非流行期のレベルに留まっていました。世界全体では、インフルエンザAとインフルエンザBが同じ割合で検出されるようになっていました。
●2018年2月19日から3月4日までのデータが、FluNet(協定世界時間2018年3月16日 03:54:19まで)に基づき、111の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に248,161本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は72,543本で、このうち32,650検体(45%)がインフルエンザA型、39,893検体(55%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、7,350検体(60.4%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、4,817検体(39.6%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、4,820検体(94.7%)がB-山形系統、269検体(5.3%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米
北米では、全体的にインフルエンザ・ウイルスの活動の低下が報告されました。カナダでは、インフルエンザの活動が高まりを維持していました。しかし、2018年第7週にピークを迎えたようでした。インフルエンザBが最も頻繁に検出される状態が続いていました。感染する年齢層では、65歳を超える成人が最も多く、次いで、20歳から64歳の年齢層でした。アメリカ合衆国では、インフルエンザ様疾患(ILI)とインフルエンザの活動が低下してきました。しかし、インフルエンザで入院する割合は高い状態のままでした。特に65歳を超える成人では高い状態でした。インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBが同時に流行していました。メキシコでは、インフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出されていましたが、この間に報告されるインフルエンザの活動は低下してきていました。

ヨーロッパ
ヨーロッパでは、ほとんどの国で、インフルエンザの活動が高まった状態でした。この地域では全てのインフルエンザの亜型が流行していましたが、ほとんどの国でインフルエンザBウイルスが優勢でした。ヨーロッパ東部では、インフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB-山形系統が同時に流行していました。ロシアでは、インフルエンザAとインフルエンザBの検出数が急激に増えました。チェコ、スロバキア、ウクライナでは、インフルエンザの活動の高い状態が報告されました。ポーランドでは、インフルエンザBが優勢なウイルスとなり、インフルエンザの活動が高まっていました。ヨーロッパ北部では、活動の高まりが続いているノルウェーを除いて、全体的にインフルエンザの検出数が減ってきています。ヨーロッパ南西部では、ほとんどの国でピークに達したようでした。ドイツでは、インフルエンザの活動が高まってきていました。ここでは、優勢なウイルスとしてインフルエンザB-山形系統が報告されました。

北アフリカ
北アフリカでは全域にわたり、インフルエンザの活動が低下してきました。エジプトでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出数の多い状態が続いていました。アルジェリアとモロッコでは、インフルエンザの活動が下がってきました。また、チュニジアでは、低い状態が続いていました。

西アジア
西アジアでは、全域にわたりインフルエンザ活動は弱まってきたようでした。この地域では、すべてのインフルエンザの亜型がみられました。インフルエンザは、アルメニアではインフルエンザB-山形系統とインフルエンザA (H1N1)pdm09の検出の報告が、キプロスではインフルエンザBの検出の報告が、サウジアラビアではインフルエンザAとインフルエンザBの検出の報告が、続いていました。イスラエルでは、インフルエンザBの検出数が減ってきたようでした。クウェート、イラク、カタールでは、インフルエンザの活動の低下が報告されました。

中央アジア
中央アジアでは、この数週間、地域全体にわたり、すべてのインフルエンザの亜型を伴いながら、インフルエンザの活動が高まっていました。

東アジア
東アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が低下してきました。しかし、中国では高まった状態が維持されていました。香港では、インフルエンザBが最も多く検出しながらも、インフルエンザA (H1N1)pdm09の検出数も少しずつ増えてきました。日本とモンゴルでは、インフルエンザの検出量が少ないことが報告されました。韓国では、2018年第4週がピークで、(その後)インフルエンザA(H3N2)とインフルエンザBウイルスの検出数が減ってきたことが報告されました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米とカリブ海諸国
カリブ海地域では、インフルエンザの活動が国毎にさまざまでした。この地域では、引き続き季節性インフルエンザのすべての亜型が検出されました。ドミニカ共和国では、インフルエンザの活動が少しずつ高まってきていました。一方、ジャマイカでは、活動が低下してきたようでした。中央アメリカの国々では、全体的に、インフルエンザの活動は低調な状態でした。

南米の熱帯諸国では、いくつかの例外を除き、インフルエンザの活動、呼吸器疾患の指標ともに、全体的に低い状態でした。ペルーでは、インフルエンザの活動が少しずつ高まっていました。エクアドルでは、低下傾向が続いていました。

アフリカ
西アフリカでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動は低調でした。アフリカ中央部では、報告の期間に入手できた更新データはありませんでした。東アフリカでは、マダガスカルとモザンビークで、引き続きインフルエンザA(H1N1)pdm09とインフルエンザBの検出数の増加が報告されました。

熱帯アジア
南アジアでは、インフルエンザの活動が、全体的に低い状態でした。イランでは、インフルエンザの検出数の減少が報告されました。

東南アジアでは、ほとんどの国で、インフルエンザの活動が低いレベルにあることが報告されました。シンガポールでは、インフルエンザA(H1N1)pdm09の検出数が減ってきましたが、インフルエンザB-山形系統ウイルスの流行は続いていました。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的に、インフルエンザの活動が非流行期のレベルに留まっていました。

出典

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局
EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局
EMRO:http://www.emro.who.int/health-topics/influenza/regional-situation-update.html

西太平洋地域事務局
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza