世界のインフルエンザの流行状況(更新8)

2018年4月30日 WHO(原文[英語]へのリンク[PDF形式:471KB]

WHOから発表された2018年4月15日までのデータに基づくインフルエンザ流行の状況です。報告の詳細は各地域事務局のサイト情報に掲載されています。参考に示された各サイトの原文をご参照ください。

要約

●北半球温帯地域では、インフルエンザの活動がほとんどの国で非流行期のレベルに戻りました。しかし、例外的に、ヨーロッパ東部では活動が続いていました。(一方)南半球温帯地域では、インフルエンザの活動が依然として非流行期のレベルに留まっていました。世界全体では、季節性インフルエンザAとインフルエンザBが検出されるインフルエンザがほぼ同じ割合を占めていました。
●2018年4月2日から4月15日までのデータが、FluNet(協定世界時間2018年4月27日 03:39:08まで)に基づき、113の国と地域にある国立インフルエンザ・センター(NICs)とその他の国立インフルエンザ研究施設から集められました。WHO世界インフルエンザ・サーベイランス及び対応システム(GISRS)の検査施設では、この間に137,071本を超える検体が検査されました。インフルエンザ・ウイルスが陽性となった検体は21,639本で、このうち12,034検体(55.6%)がインフルエンザA型、9,605検体(44.4%)がインフルエンザB型でした。インフルエンザAウイルスのサブタイプ(亜型)では、3,077検体(58.2%)がインフルエンザA(H1N1)pdm09、2,211検体(41.8%)がインフルエンザA(H3N2)でした。解析されたインフルエンザBウイルスのうち、917検体(88.7%)がB-山形系統、117検体(11.3%)がB-ビクトリア系統でした。

北半球の温帯地域

北米

北米では、全体的にインフルエンザ・ウイルスの活動の低下が続いていました。カナダとアメリカ合衆国では、インフルエンザの指標が低下を続けており、その中で、カナダではインフルエンザAウイルスとBウイルスが、アメリカ合衆国では主にインフルエンザBウイルスが、検出されました。メキシコでは、インフルエンザの活動の低下傾向が報告されました。呼吸器疾患の指標が非流行期のレベルにまで戻ってきました。

ヨーロッパ

ヨーロッパ地域では、全体的に、インフルエンザ・ウイルスの伝播が広く続いていました。しかし、ほとんどの国では、活動が低調から中等度と報告されました。インフルエンザAウイルスとBウイルスが、この地域全体で伝播していました。報告の期間中、多くがインフルエンザAウイルスで占められていましたが、流行期全体を通してみると、重症患者の中ではかなり多くでインフルエンザBウイルスが検出されました。(一方)ヨーロッパ東部では、インフルエンザの活動が全体的に弱まってきました。しかし、ロシアでは、インフルエンザAウイルスとBウイルスの両方が高いレベルで検出されました。

北アフリカ

北アフリカでは、この地域のほとんどの国で、インフルエンザの活動が低下していました。例外的に、エジプトでは依然として検出件数が多い状態でした。

西アジア

西アジアでは地域全域にわたり、インフルエンザ活動が低下してきたようでした。その中では、主にインフルエンザA (H1N1)pdm09が占めていました。

中央アジア

中央アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が弱まってきました。

東アジア

東アジアでは、地域全体にわたり、インフルエンザの活動が低下し、ほとんどの国で非流行期に入りました。しかし、モンゴルでは、インフルエンザA (H1N1)pdm09が多く検出されており、僅かに上昇傾向を留めていました。

熱帯地域

アメリカ大陸の熱帯地域/中米、カリブ海諸国、南米

カリブ海地域では、全体的に、インフルエンザの活動が高まっていました。ドミニカ共和国では、主にインフルエンザA (H1N1)pdm09を検出しながら、インフルエンザ・ウイルスの陽性率がこの国の警戒レベルを上回ってきました。インフルエンザの活動は、(カリブ海地域の)フランス領海外県、ジャマイカ、プエルトリコでは、すべての型のインフルエンザが伝播し、高いレベルで留まっていました。中央アメリカの国々では、全体的に、インフルエンザの活動は低調でした。グアテマラとホンジュラスでは、インフルエンザの検出数が多い状態に留まっていました。

南米の熱帯諸国では、インフルエンザの活動が、国によってさまざまでした。ボリビアでは、熱帯地方でインフルエンザ・ウイルスの検出数が増えてきました。また、重症急性呼吸器感染症(SARI)のレベル(上昇)が報告されました。ペルーでは、インフルエンザの陽性件数が増えてきました。(しかし)エクアドルでは、インフルエンザの活動が低いレベルに戻りました。

アフリカ

アフリカの西部と中央部で報告のあった国々では、インフルエンザの活動は低調でした。アフリカ東部でも、報告のあった国々では、インフルエンザの活動は低調でした。しかし、タンザニアでは、中等度の活動が認められました。

熱帯アジア

南アジアでは、この間の各国の報告に基づけば、インフルエンザの活動が全体的に低い状態でした。この数週間、ブータンでは、インフルエンザの活動の高まりが報告されました。

東南アジアでは、全域にわたり、インフルエンザの活動が弱い状態に留まっていました。

南半球の温帯地域諸国

南半球温帯地域では、全体的にほとんどの国で、インフルエンザの活動が非流行期のレベルに留まっていました。

チリとパラグアイでは、警戒レベルを超える重症急性呼吸器感染症(SARI)が報告されました。しかし、インフルエンザの活動は季節性のレベルを下回る状態でした。

出典

参考サイト

アメリカ大陸[北米、中米、カリブ海、南米の熱帯地域、南米温帯地域]
AMRO:www.paho.org/influenzareports

ヨーロッパ事務局
EURO:http://www.flunewseurope.org/

東地中海地域事務局
EMRO:http://www.emro.who.int/health-topics/influenza/regional-situation-update.html

西太平洋地域事務局
WPRO:http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/Influenza