現在のCOVID-19のアウトブレイク環境におけるマスギャザリングの計画への主要な推奨事項

WHO 暫定的ガイダンス 2020年2月14日

<WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)から提供いただきましたので掲載します。海外への渡航者や日本国内へ帰ってこられる渡航者において、マスギャザリング(多数の人々が集まる)環境に関わる可能性のある場合などにご活用ください。>


目次
1. 導入
2. COVID-19についての一般的情報
3. 計画段階
3.1. 現地および国家の公衆衛生当局との連絡調整
3.2. リスクアセスメント
3.3. COVID-19に対する具体的な行動計画
3.4. キャパシティと物資の評価
3.5. リスクコミュニケーションとコミュニティ参画計画
4. 実施段階
4.1. リスクコミュニケーション
4.2. 参加者のサーベイランス
4.3. 検査と診断の準備
4.4. 治療施設
4.5. 方針決定
4.6 イベントに関連したCOVID-19の伝播を減少させる手技の実施要項
5.イベント後の再評価
5.1 イベント後
5.2. 出発する参加者へのリスクコミュニケーション
5.3. 明らかになった教訓
5.4. レガシー


1. 導入

   マスギャザリングは、慎重に計画・運営されなかった場合、深刻な公衆衛生上の影響を与え得る、広く公開されたイベントである。マスギャザリングは感染性疾患を増加、拡大し得るという多くの文献がある。インフルエンザを含む呼吸器感染症は頻繁にマスギャザリングに関係してきた [1]。これらの感染症は、マスギャザリングの期間、イベントへの往復の移動中、また、参加者の帰宅に際してその家族コミュニティ内で伝播される可能性がある。
   本文書の目的は、マスギャザリングの主催者に対し、COVID-19のアウトブレイク環境において、その計画で考慮すべき主要な事柄を概説することである。本文書は、マスギャザリングイベントの公衆衛生学的側面の一般的助言を提供するWHOの文書「マスギャザリングに対する公衆衛生:考慮すべき主要な事柄(Public Health for Mass Gatherings: Key Considerations)」と併せて読むべきである。また、本文書は、「2009年インフルエンザパンデミック(H1N1)環境におけるマスギャザリング計画への暫定的検討事項(Interim planning considerations for mass gatherings in the context of pandemic (H1N1) 2009 influenza)」、「エボラウイルス病の流行国の人が参加する国際会議への暫定的WHOガイダンス(WHO Interim Guidance for International Meetings Attended by Individuals from Ebola Virus Disease-affected countries)を改訂する形で作成されている。WHOが発行しているCOVID-19についての最新の技術的ガイダンスも参考にすべきである。

2.COVID-19についての一般的情報

   コロナウイルスは動物と人と両方に認める大きなファミリーのウイルスである。いくつかのものは人に感染し、一般的な風邪から中東呼吸器症候群(MERS)や重症呼吸器症候群(SARS)のようにより重症の疾患までひき起こすことが知られている。
   新型コロナウイルス(CoV)は、過去にヒトから同定されたことのないコロナウイルスの新しい株である。新しい(new)、または“新種の(novel)”コロナウイルスは、現在はCOVID-19と呼ばれており、アウトブレイクが2019年12月に中国の武漢から報告される以前に検出されたことはなかった。
   今までのところ、このアウトブレイクから報告されている主要な臨床的兆候と症状には、発熱、咳嗽、呼吸苦、胸部X線写真での両肺浸潤影が含まれている。2020年1月27日の時点で、ヒト-ヒト感染は武漢市だけでなくその他の中国の地域や国際的にも広く確認されている。疾患の全体的な臨床的特徴、ヒト-ヒト感染の伝播強度、アウトブレイクの起源について、確定的結論を得るためのCOVID-19における疫学知見は不十分である。
   適切な準備策の計画にあたって、集会の主催者は以下の3つの段階を考慮すべきである。
● 計画段階-イベント開始前の期間(数週間から数カ月)で、イベント期間中の健康・安全保障サービスの実施計画が作成、試験、再検討される。
● 実施段階-計画が最終化し、イベントでのサービス提供が始まる期間で、チームが訓練や準備で事前に到着する場合、イベント開始より数週間前になる可能性がある。
 ●イベント後の段階-イベントが終了した後の期間で、参加者が母国に帰り、主催者がイベントの実施と必要なフォローアップを再検討するとともにイベントからの教訓とレガシー(継承事項)を計画する。

3.計画段階

優れた計画では、マスギャザリングの間の公衆衛生上の課題に対処する強固な体制とプロセスを確実に整えなければならない。主催者は、計画が確実に目的に適合するよう再評価するべきである。世界の専門家との協議を通じて更なる助言を求めることができる。

公衆衛生面の備えに関する一般的助言はWHOの文書「マスギャザリングに対する公衆衛生:考慮すべき主要な事柄」で提示されている。COVID-19に関連する具体的行動には以下のものが含まれる。

3.1. 地方および国家の公衆衛生当局との連絡調整
 ●イベント主催者は、現地および国家の公衆衛生当局と、直接連絡できる関係を築くべきである。これには現地の医療サービス提供者が含まれるべきである。
 ●運営チームと公衆衛生機関の双方に、連絡係が任命されるべきである。また、連絡をとるための情報は24時間体制で共有されるべきである。
 ●情報、リスクアセスメント、計画を共有するべく、全計画段階を通じて定期的な連絡が維持されるべきである。
 ●当局と主催者、および一般とのコミュニケーションチャンネルは、あらかじめ同意されているべきである。

3.2 リスクアセスメント
マスギャザリングの実施を進める、あるいはイベントを制限、修正、延期、中止する決定は、徹底したリスクアセスメントに基づくべきである。イベントの計画者はそのようなアセスメントを、現地および国家の公衆衛生当局と協力して行うべきである。

広く公開された、または特に大きなイベントに対して、WHOは開催国に、イベントに関連する公衆衛生上のリスクアセスメントに関する助言と技術的支援を提供する可能性がある。

3.2.1. 一般的に考慮する事柄
 ●包括的リスクアセスメントは、実施段階への引き継ぎに先立って、計画段階のはじめに実施され、計画期間中に定期的に再評価および迅速に更新されるべきである。
 ●リスクアセスメントは公衆衛生当局を含み、イベント安全保障アセスメントとも関連すべきである。
 ●COVID-19に関して、リスクアセスメントには、最新の疫学的状況を含む、WHOの最新の技術的ガイダンスを含むべきである。
 ●イベントのリスクアセスメントは、開催国によるリスクアセスメントと統合・調整されなければならない。

3.2.2. COVID-19に関して特に考慮すべき事柄
 ●リスクアセスメントに必要な情報には以下が含まれると見込まれる。
 ◆世界のCOVID-19に関するWHO状況報告書
 ◆COVID-19に関する国家の状況報告書

COVID-19に対するリスクアセスメントは以下のものを考慮する。
○ 以下を含むCOVID-19の一般的特徴
 ■伝播の動態
 ■今後の疫学的拡大の傾向
 ■臨床的重症度
 ■治療選択肢
 ■利用可能な医薬品やワクチンを含む、予防の可能性

○ 以下を含むイベントの特徴
 ■群衆密度
 ■参加者間の接触の性質(例えばコンサート・宗教に関するもの、屋外・野外、会場のレイアウト)
 ■参加者登録の有無
 ■参加者の職業、参加者の曝露の可能性
 ■過去14日以内にCOVID-19の影響を受けた国や地域からの参加者数
 ■参加者の年齢。基礎疾患をもつ高齢者の群はより影響を受けると考えられるため、この群を主な参加者とするマスギャザリングは、伝播の増加に関連する可能性がある。
 ■イベントのタイプまたは目的(例えばスポーツ、祭り、宗教上のもの、政治的なもの、文化的なもの)
 ■継続期間と参加者の渡航様式。マスギャザリングの開催時期間がCOVID-19の潜伏期間(14日間)より長い場合、イベント関連症例のほとんどは、開催期間中の発症が予測される。対照的に、開催期間が短い場合、ほとんどの症例は、イベントの後、人々が自分達のコミュニティに帰るときに発症する傾向が予測される。

WHOの「マスギャザリングに対する公衆衛生:考慮すべき主要な事柄(Public Health for Mass Gatherings: Key Considerations)」は、リスクの評価と管理の一般原則と要素に関する詳細な議論の参考にできる。加えて、「マスギャザリングに対する公衆衛生上の準備(Public Health preparedness for Mass Gathering Events)」のオンライントレーニングが利用可能である。

3.3. COVID-19に対する具体的な行動計画
行動計画は、リスクアセスメントで明らかにされた全てのリスクを最小化するために作成されるべきである。ある行動は公衆衛生当局が、ある行動は現地の保健医療サービス提供者が、またある行動はイベントの主催者が実施することが見込まれる。それぞれの行動計画は、行動実施の責任者、実施スケジュール、実施方法と実施者の確保について明確にすべきである。行動計画には以下が含まれるべきである。

 ● 国の感染症緊急対応計画との統合
 ●迅速な情報伝達、効果的な状況分析と意思決定を促進する指揮統制の準備
 ●イベント参加者への適切なスクリーニングの要求―参加者が到着時点でCOVID-19の症状スクリーニングを受けているか?
 ●疾患サーベイランスと検出―疾患が参加者の中からどのように識別または診断されることになっているか?
 ●治療―どのように(どこで)病気の患者が隔離され治療を受けるか?
 ●意思決定要因―疾患の影響を受けた参加者がイベントでの役割を継続や再開ができるかどうかを誰が決定するか?何が計画の再考や修正の必要性を示唆し、何がイベントの延期や中止に舵を切らせるのか?

マスギャザリングの実施を進める決定がなされた場合、計画立案には以下の方法を考慮するべきである。

 ●イベントに関連したCOVID-19の検出と監視
 ●ウイルス拡大の減少
 ●病人の管理と治療
 ●COVID-19に特化した、適切な公衆衛生学的メッセージの周知徹底

3.4. キャパシティと物資のアセスメント
 ●国の保健当局は、イベント期間中(そしてイベント終了後)の、例えば追加の診断検査のキャパシティ、追加の隔離と治療の施設、追加の接触者追跡の資源といった、現地コミュニティへの適切なリスク軽減活動を実施するのに必要な、追加の資源やキャパシティを評価するべきである。
 ●イベント主催者は、リスクアセスメントを根拠としたCOVID-19のリスク軽減するために、必要とされるキャパシティと利用可能な資源を評価するべきである。
 ●キャパシティと資源は、重複または不足を避けるために、公共の保健機関と健康サービス提供者と連携されるべきである。

3.5. リスクコミュニケーションとコミュニティ参画計画
 ●イベント主催者は、参加者や現地の人々が、どのようにして健康状態や重要な進捗状況、適切な助言や推奨行動を常にきちんと知らされるかについて、公衆衛生当局と同意形成をすべきである。


 

4. 実施段階

現在のCOVID-19のアウトブレイク中のマスギャザリングの計画や実施についての経験的データは公表されていない。

●イベント主催者と公衆衛生当局の間で定期的なコミュニケーションをとるための環境が整備されなければならない。準備には以下が含まれる。
○ 主催者と参加者の両方による定期的かつ十分な情報の共有
○ 保健医療サービスへのアクセス情報を参加者に提供するための準備
○ イベントの進行に伴う、共同の動的リスクアセスメントの準備
○ 参加者と現地の人々への単一かつ一貫性のある確実な情報伝達の準備
○ 現在までに、参加者のスクリーニング支援の費用対効果についての科学的な根拠は得られていない。

4.1. リスクコミュニケーション
○ 現地の人々とイベント参加者に対する主要な伝達事項は、調整され、一貫しているべきである。
○ 異常が発生した場合にリスクコミュニケーションのメッセージが現地の人々と参加者にいかにして早急に提供できるかを考慮すべきである。
○ メッセージには以下のものが含まれる。

 ●現地のリスクの全体的評価
 ●予防策(特に呼吸器衛生/咳エチケットと手指衛生)についての助言
 ●必要に応じた、現地の医療を受けるための方法に関する助言(医療従事者に対するリスクを生じさせないための方法も含む)
 ●症状が発生した場合の自己隔離とイベントに参加しないための助言
 ●迅速な治療が必要な重症の疾患に対する前兆を含む、疾患の徴候と症状
 ●影響を受けた国々から渡航した参加者に対する、症状と兆候(体温のチェックを含む)の自己観察についての助言
 ●現時点でWHOは健康な渡航者に対する隔離、またその他の渡航制限を推奨していない。
 ●マスクの着用は、呼吸器症状を呈する参加者に対して推奨されている(例えば咳)。健康な参加者に対しては推奨されていない。

イベントの主催者は、公衆衛生当局と連携して、特にCOVID-19がコミュニティで流行している場合に、重症化リスクの高い人がマスギャザリングで直面するかもしれない潜在的なリスクに関して、特別な情報や助言が必要かどうか検討したいかもしれない。

COVID-19のリスクコミュニケーションとコミュニティ参画についてのさらなる情報はこちらから参照できる。社会に対するWHOの新型コロナウイルス(COVID-19)についての助言はこちらから参照でき、迷信や不安に対する助言はこちらから参照できる。

4.2. 参加者のサーベイランス
 ●イベントに関連したCOVID-19の検出と監視は、すでに実施されているサーベイランスの枠の中で、また新たな或いは強化したサーベイランスが必要と考えられる場合に検討されるべきである。
 ●主催者は、現地の人々またはイベント参加者に発生した疾患の指標を確認するシステムを確実に整えるべく、現地の公衆衛生当局と連携する必要があるだろう。
 ●サーベイランスシステムは迅速対応活動の支援のためにリアルタイム、またはそれに近いものが必要となるだろう。
 ●サーベイランスシステムはリスクアセスメントと関連付けられるべきである。それによってサーベイランスで見つかった異常がリスクアセスメントの迅速な改定を進める。
4.3. 検査と診断の準備
主催者はCOVID-19様の症状を呈する参加者をどこでどのように検査するが、現地の保健当局とともに検討する必要がある。現在のところ市販のCOVID-19検査キットがない以上、イベントの医療サービスはCOVID-19の検査ができないことが予測され、主催者は、現場の医療提供者が、適切な検査(おそらくは国の公衆衛生機関による)に確実にアクセスできるようにする必要がある。これはまた、検体の輸送(または検査施設への患者の搬送)に関する事前の同意を必要とする。

4.4. 治療施設
 ●イベント主催者は、症状が出現した患者が健康状態評価を待っている間の隔離施設について検討すべきである。これは現地の保健医療サービスではなく、それぞれのイベントの性質と主催者自身の医療サービスの提供範囲によって決まるだろう。これには医療従事者の訓練、医療施設の感染予防・管理策の実践、保護具の準備が含まれる。
 ●主催者は、COVID-19の症状を伴う、全ての具合が悪くなった参加者がどこで治療を受け、その治療施設までどのように搬送されるのかを検討する必要がある。これは適切な封じ込めのキャパシティと専門性を持つ、国の医療施設になりそうで、参加者はイベントの医療施設に留まることはできないだろう。その結果として生じるあらゆる資金関係の問題についてはあらかじめ同意形成がされるべきである。
 ●イベント参加者は、時に開催国での治療ではなく母国での治療のために帰国することを求める。これは適切な隔離と封じ込めの施設があるMedEvacの航空便の使用を除き、COVID-19の疾患と診断された全てのものに対して許容されない。こういった施設はまれであり、高価で、COVID-19などの疾患のためには準備ができない。
 ●主催者は、影響を受けた参加者の疾患がイベントの終了後まで延長し、事前に決められた渡航がもはや利用できない場合に、どのように参加者を家まで輸送するかを検討する必要がある。
 ●公衆衛生当局および保健医療の担当職員と連携しているイベント主催者は、集中治療室への入院や人工呼吸器によるサポートを含む、支持療法の提供のための医療のキャパシティを評価する必要がある。
 ●抗菌薬、人工呼吸器、個人防護具といった医学的な物資の配置とアクセスに関する国の計画は再評価されるべきである。

4.5. 方針決定
主催者は、現地の保健当局と連携して、リスクの軽減策の強化が必要となる、或いはイベントを延期または中止する状況について、前もって同意形成をすべきである。可能性のある意思決定要因についての事前同意は、必要時のスムーズな議論を助ける。

4.6 イベントに関連したCOVID-19の伝播を減少させる手技の実施要項
COVID-19の伝播を減少させるための基本的な一般原則はマスギャザリングに応用できる。
 ●体調が悪いときはイベントから離れる
 ●具合の悪い人(例えば発熱、咳嗽、入院を要する)は自宅に待機し、職場、学校、人混みから症状が消失するまで離れる。

マスギャザリングの会場での手指衛生と咳エチケットの促進には、様々な年齢層、読み書きや教育レベルに届く情報資料を必要とする。加えて、石鹸と水、もしくはアルコール手指消毒薬やティッシュが、全ての共用領域で、特にマスギャザリングの医学的治療を行う場所では容易に利用可能であるべきである。

 ●体調が悪くなった人をマスギャザリングの間、隔離する。
 ●主催者は、マスギャザリングの期間中に発熱やその他の典型的なCOVID-19の症状を伴う体調の悪くなった人たちの可能性に対して計画を立てるべきである。こういった人たちが最初に評価とトリアージを受けることができる、現場治療を行うクリニックや施設内の隔離エリアを設立することが考慮されるべきである。体調を悪くした人たちには、咳やくしゃみから発生する呼吸器性の飛沫を封じ込める助けとしてマスクが提供される。隔離エリアでは、手指衛生と咳エチケットを促すために必要な物資が備えられているべきである。加えて、体調を悪くした人たちの治療を行う医療従事者はマスクを着用し、接触後は迅速に破棄し、その後は徹底して手指を洗浄するべきである。
 ●国際渡航者:一般的な予防策の実践
○ 渡航の前、途中、後に急性呼吸器疾患の症状が示唆される場合、渡航者は診察を受け、渡航歴を医療提供者に共有することが勧められる。
○ 公衆衛生当局は、医療従事者、トラベルクリニック、旅行代理店、運輸機関運営者、入国地点を通じて、急性呼吸器感染症の一般的なリスクを減少させるための情報を渡航者に提供するべきである。
 人混みを減らす。可能であれば、イベント主催者は、マスギャザリングの期間中に人々の中での密接した接触を減少させるために、距離を置かせる対策を検討するべきである(例えば運送の頻度を増やす、到着時間をずらす、出発便を迂回させる、トイレでの人の集まりを最小化し、食べ物や水が分布している範囲を最小化する)。
 

5.イベント後の再評価

5.1イベント後

集会の後に公衆衛生当局がCOVID-19の伝播を疑う場合、集会の主催者と参加者は当局の対応活動に協力すべきである。
 ●集会の主催者は、公衆衛生当局との連絡調整、症状を有する全ての参加者の情報共有の促進(旅程、接触者、ビザ取得、ホテルの予約など)を行わなければならない。
 ●集会が行われた国で、また母国への帰国時に、イベント後に症状が出現した人は、自身を隔離し、診察を受け、潜在的曝露について適切な公衆衛生当局に報告すべきである。

5.2. 出発する参加者へのリスクコミュニケーション
 ●イベント参加中のCOVID-19感染があった場合、帰国時に参加者の母国へ通知することが必要(臨床的な理由と国際保健規則に従う理由の両方で)である。
 ●また、主催者は、イベント後に報告された検査結果について、参加者に、また場合によってはその母国の公衆衛生システムに通知するための計画が必要である。

5.3. 明らかになった教訓
実施後の再評価で明らかになる教訓はいつも重要であり、その教訓は未来のイベント主催者に伝えることができる。

5.4. レガシー
世界的な健康危機の期間にマスギャザリングを開催することは普通ではないが、リスクアセスメント次第で可能である。主催者はこうしたイベントを、開催に関連する業務の実施法を強化する機会として、またその経験を未来のイベントとホスト国に伝える機会としてみなすべきである。

©世界保健機関 2020 無断複製を禁ず。

これは草案である。本文書の内容は最終的なものではなく、また本文は公表前に改定される可能性がある。本文書は一部または全体が、いかなる種類であれ、またどのような意味であれ、WHOの許可なく再評価、要約、引用、複製、伝達、分布、翻訳、改定してはならない。

WHOの参照番号: WHO/2019-nCoV/POE mass gathering/2020.1

【参考文献】
[1] Rashid H et al. Pandemic influenza: mass gatherings and mass infections. Lancet 2008; 8:526–7.

出典

Key planning recommendations for Mass Gatherings in the context of the current COVID-19 outbreak
Interim guidance
14 February 2020
https://apps.who.int/iris/rest/bitstreams/1269109/retrieve

翻訳

WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)
https://extranet.who.int/kobe_centre/ja