2011年02月25日更新 オーストラリア、ビクトリア州、南オーストラリア州で蚊によってうつる感染症の危険が高くなっています。

蚊は動物や人から吸血する際に、持っている感染症の病原体(マラリア・デング熱・日本脳炎などの病原体)をうつすことがあります。
オーストラリアでは蚊によってうつる風土病(ロスリバーウイルス感染症、バーマ森林ウイルス感染症、マレーバレー脳炎ウイルス感染症などの病気)があり、蚊の増殖するオーストラリアの夏季に発生が多くなります。
ロスリバーウイルス感染症、バーマ森林ウイルス感染症では、関節痛が見られることが多く、発熱、倦怠感、頭痛、筋肉痛、発疹などがよくみられます。
マレーバレー脳炎ウイルス感染症では、高熱、激しい頭痛から意識障害などの脳炎症状がみられます。

ビクトリア州政府の発表によると、ビクトリア州の北部ニューサウスウェールズ州との境界地域、マレー河近辺で、マレーバレー脳炎ウイルスがニワトリから検出されました(人がかかったという報告はありません)。このため、ビクトリア州保健局は、地域住民に対して、蚊に刺されないように注意を促しました。
また、南オーストラリア州政府は、州の南東のリバーランド地域で、ロスリバーウイルス、バーマ森林ウイルス感染症が例年に比べて増えていることを報告しています。

いずれの地域にも、日本人の訪れる観光地が含まれています。現地にいらっしゃる方は情報をよく探していただくとともに、以下の対策をご考慮下さい。

蚊に刺されないための対策

・可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているかエアコンが備わった、また、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。ホテルの網戸設備が十分でないようならば蚊帳(かや)をご使用ください。蚊取り線香も有効です。
・長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
・屋外で活動する場合や網戸が備わっていない建物では、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書にかかれた使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合、虫よけ剤を使用する前に日焼け止めをつけてください。
・子どもとくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

オーストラリア、クイーンズランド州では、やはり蚊によってうつるデング熱が流行している地域もあります。いずれの病気も発熱症状をともないがちです。海外で熱が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
オーストラリアからのご帰国の際に、熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にお申し出ください。