2011年04月22日更新 ヨーロッパで麻しん(はしか)が集団発生しています。

麻しんは恐ろしい病気です。

麻しんは非常に感染力の高い感染症です。しかも、特に小児においては、先進国でさえ、一定の率で死亡者がでる恐ろしい疾患です。成人がかかった場合も、症状は非常に重くなる傾向があります。
麻しんにかかると、症状のない期間を経たのちに、38度程度の発熱が2から4日続き、咳、鼻かぜ様の症状、目やにや結膜の充血が次第に強くなります。その後、一旦熱が下がりかけますが、再び39度以上の高熱となり、特徴的な赤い発疹が頭部から体の下へと出現します。
合併症として恐ろしいのは、ウイルスによる肺炎と脳炎で、死に至ることもまれではありません。

ヨーロッパでの麻しんの流行

2011年4月21日に公表されたWHOの情報によりますと、4月18日現在、ヨーロッパの33の国で、6,500例を超える麻しんの患者が報告されました。

ベルギー、ブルガリア、フランスでは、過去報告されていた麻しんの件数に比べて、圧倒的に多くなっています。セルビアでは、南東地域からの報告が多くなっています。
スペインでは、2010年以降2つの集団発生事例が、アンダルシア州セビリアおよびグラナダで起きており、600例以上が報告されています。
旧ユーゴスラビア共和国のマケドニア、トルコ(イスタンブール)でも集団発生が起こっています。
さらに、今年、ドイツ、オランダ、ノルウェー、ルーマニア、ロシア連邦、スイス、イギリスで、麻しんの集団発生や患者数の増加が報告されました。

海外旅行では上記の地域だけではなく、あらゆる地域で麻しんの患者に接する可能性があります。十分な予防接種を受けておらず、麻しんにかかったことがなければ、麻しんの患者に接した場合にうつってしまう可能性がきわめて高くなります。
一旦感染すると、海外旅行中に、また日本に戻ってきてから、他の人へ感染を広げてしまいます。

麻しん予防には、予防接種が大きな効果を発揮します。

・海外旅行前に、麻しんに対する免疫があるかどうか確認してください。
・10代や成人の方で、麻しんに対する免疫状態が分からない場合は、海外旅行前に少なくとも1回麻しん予防接種を受けましょう(WHO推奨事項)。

麻しんおよび麻しん予防接種については、以下のリンクもご参照ください。
厚生労働省麻しん及び風しんについて
国立感染症研究所麻疹はしかから身を守るために(とてもわかりやすい麻しん(はしか)についてのビデオです)

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