2011年09月12日更新 ベトナムで手足口病が流行しています。
手足口病は乳児、小児によくみられるウイルス疾患ですが、大人にも感染する可能性があります。WHO西太平洋地域事務局の報告によると、2011年初頭から、ベトナムでは手足口病症例の増加が報告されてきました。これまで42,673症例(98人死亡)がベトナム保健省に報告されています。死亡者の4分の3は3歳以下の子どもです。
手足口病は10歳未満の乳幼児を含む子どもの間では、一般的なウイルス性の病気ですが、大人がかかることもあります。ウイルスにより発熱や喉の痛み、手足に水ぶくれなどが生じます。この病気は通常は軽度で、7~10日で回復しますが、まれに重篤な合併症を引き起こすことがあります。
ベトナムでは、手足口病はどこの地域でもおこりますが、3~5月と9~12月に南部と中部で多く発生しています。今後報告症例数は増えることが考えられます。
他のアジア地域の国々でも手足口病について報告があります。アジア諸国に旅行する際は、手足口病に注意しましょう。特に小さな子どもを連れて行く場合は注意しましょう。
旅行者へのアドバイス
手足口病は世界中で普通にみられるような種類のウイルスによって生じます。この疾患はとても感染性が強く、咳やくしゃみで生じる飛沫、唾液、水ぶくれの内容液、便といった、感染した人の体液と接触することで拡大します。
旅行者は健康を保つための衛生手段をとることによって、手足口病から身を守る事が可能です。もし、あなたが手足口病の報告がある地域に旅行するのなら、健康を保つために、以下の助言に従うことをお願いします。
- 石ケンと水で自分の手をいつも洗うようにしてください。特に食事前、咳やくしゃみのあと、トイレに行った後には洗うようにしてください。もし石ケンや水が使えないようなら、アルコールを主成分とした手の消毒用のゲル(少なくとも60%のアルコールを含有したもの)を使用してください。必要な場合に手指消毒用アルコールゲルが確実に使用できるように、旅行カバンの中に入れておくことを考えてください。
- フォーク、スプーン、コップなどの台所用品は複数の人で共用しないようにしてください。
- 手足口病になった人には濃厚接触しないようにしてください。
旅行している小児が上記の推奨事項を守れるように大人は助けてあげなければなりません。乳児、小児、10代の若者は手足口病に大人よりもかかりやすい傾向があります。
手足口病に罹患した人には、以下のような症状がよくみられます。
- 発熱、食欲不振、全身倦怠感、のどの痛み
- 通常、舌、歯肉、頬の内側にみられる口内炎
- 通常水ぶくれをともなう皮膚の発赤。この発赤は典型例では手のひら、足の裏、お尻にみられます。
ほとんどの手足口病は軽症で、医学的な処置は必要とせず、合併症なく改善します。しかし、非常にまれに手足口病は重篤な合併症を起こす事があり、これには脳の腫脹(脳炎)などがみられます。
手足口病を予防できるワクチンはありません。手足口病のために病気になった人には、熱に対して対処するといったような、対症治療を行う以外特別な治療はありません。