2011年10月12日更新 オーストラリア南西部における蚊媒介性感染症のリスクについて
ウェスタンオーストラリア州各地で蚊の活動が増大することに伴い、蚊よけ対策をとるよう推奨しています。ウェスタンオーストラリアで蚊が媒介する疾患は次のようなものがあります。
・ロスリバーウイルス(RRV)感染症
・バーマ森林ウイルス(BFV)感染症
・クンジンウイルス感染症
・マレーバレー脳炎(MVE)
これらの疾患はウイルスに感染した蚊に刺さされておこります。人や動物との直接接触ではうつりません。また、現在ウェスタンオーストラリアではデング熱やマラリアは伝搬されていません。
ロスリバーウイルス感染症のリスク 〔2011年10月3日情報〕 :
オーストラリア保健省は、ウェスタンオーストラリア州の南西部で生活している人や休暇を過ごす際、RRVの発生がみられる季節が始まることから、蚊に刺されないよう注意喚起しています。
ウェスタンオーストラリア州保健省の昆虫学者によると、Leschenault地域で今シーズン初めてRRVが検出されました。
繰り返される高潮や降雨が結果的にRRVを効率的に運ぶソルトマーシュ蚊(saltmarsh mosquito)※シマカの一種の繁殖につながったと昆虫学者は述べています。9月以来保健省と協力して地元の自治体でRRVとBFVのリスクを軽減するため蚊の対策が実施されています。
しかし、特に環境条件が悪く(蚊の)制御方法の有効性が減少させられる場合には、蚊の対策プログラムに頼ることは現実的でありません。従って、人々は蚊に刺されるのを避けるために、各自が対策をとる必要があります。
ウイルスの検出はLeschenault地域が初めてですが、南西のほかの沿岸部の潮の満ち引きによる塩水性湿地と汽水や淡水の湿地帯の近くに住む住民は今後数週間のうちに危険にさらされる可能性があります。蚊の繁殖に好都合な条件が続いた場合、パース都市圏の一部にもリスクが広まる可能性があります。
南西部やパースでRRVやBFVを運ぶ蚊の種類のほとんどは、自然環境で繁殖しますが、保水容器や雨水タンク、家屋の周りにある他の容器、さらには都市環境においても繁殖可能です。
RRV感染症やBFV感染症の症状は易疲労感があり、次の様な症状がみられることがあります。
・関節の痛みや腫脹
・筋肉痛
・腱の痛み
・皮膚の発疹
・発熱
・倦怠感
・頭痛
・リンパ節腫脹
症状は、数週間から数ヶ月続くことがあります。また、確実にウイルスを診断する方法は、特定の血液検査をすることです。
またMVEやクンジンウイルス感染症の症状は重症化することもあり、次の様な症状がみられる場合があります。
・発熱
・眠気
・ひどい頭痛
・頸部硬直
・吐き気、おう吐
・めまい
・筋肉の振戦
これらの症状がある人は直ちに病院を受診してください。重症例では昏睡状態に陥り発作が起こる場合があります。また永久的な脳傷害が残ったり死亡することがあります。
小児の場合、発熱が疾患の唯一の初期サインかもしれません。子どもの体調がすぐれないとき(特に眠気、元気がない、神経過敏、食欲不振、全身脱力など)は医師の診察を受けるべきです。
これらのウイルスに対する治療法や予防接種はなく、蚊に刺されないようにすることが非常に重要となります。
この警告により南西部を訪問する計画を変更する必要はありませんが、蚊に刺されないよう対策を講じることが重要です。
蚊よけ対策
- 特に夜明け、夕暮れと日没後の最初の数時間程度は蚊の活動性が高まっていますので、その時間帯や場所を避けましょう。
- 屋外活動の際は長くゆったりした、明るい色の衣服や(皮膚を)防護する服を着用しましょう。
- 露出した皮膚や衣服にジエチルトルアミド(DEET)またはpicaridinを塗布する。最も効果的で長時間もつ製剤は、ローションまたはジェルです。天然または有機性忌避剤はDEETやpicaridinほど効果的でなく、頻繁に塗布する必要があります。
- 蚊帳やテントなどで、完全に蚊を防止しましょう。
- 乳幼児や子どもたちが衣類、蚊帳や防虫網等適切な形態で、蚊に刺されないよう十分な対策をとりましょう。
- RRV感染症やBFV感染症のリスクを減らすため自宅や職場の周りで蚊を繁殖させないようにしましょう。
出典
The Department of Health, Western Australia,
- Ross River virus disease risk in south-west
http://www.health.wa.gov.au/press/view_press.cfm?id=1053
- Simple steps to avoid mosquito bites