2012年03月15日更新 アフリカで髄膜炎が発生しています。

髄膜炎菌感染症は髄膜炎菌がうつることによってかかる病気で、患者の咳やくしゃみによって飛び散った唾液等を直接吸いこむことにより、人から人へうつります。

世界全体では毎年30万人の患者が発生し、3万人の死亡例が出ています。アフリカ中央部(マリからエチオピアにかけて)には、髄膜炎ベルトと呼ばれる、髄膜炎菌による感染症が多発する地域があります。乾季(12月~6月)に多発します。
髄膜炎菌による感染では、突然の発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、神経系の症状などがみられます。症状が出現した場合には、早期に治療を開始しても、5から10%程度死亡するとされています。

現地情報によりますと、セネガルマリベナンへの旅行と関連があると考えられる帰国したフランス人(5人)で髄膜炎の報告がありました。これらの3カ国ではW135の循環はあるものの、大きな流行があるという報告はありません。W135はブルキナファソ、コートジボアール、ガーナ、ニジェールでも循環しています。

国際赤十字・赤新月社連盟の報告によりますと、2012年2月27日時点でガーナのアッパーイースト地域で患者は158人に増加しており、この2ヶ月で23人死亡しています。地域の保健当局は病気の蔓延を防ぐための努力を強化しています。

コートジボアールでは1月2週目の患者は14人でしたが、2月5週目(2/4まで)は39人(うち6人死亡)の報告があり、増加しています。2011年は合計144人(うち26人死亡)の報告がありました。

スーダンではWHOの報告によりますと、2月17日までに94人の疑い患者が報告され、このうち3人が死亡しています。20歳~30歳代の年齢層約27,000人のグループへワクチンキャンペーンが行われています。

髄膜炎菌に対しては有効なワクチンがあります。流行している地域に渡航する場合、元来流行が繰り返されている地域(髄膜炎ベルトなど)で現地の人と濃厚な接触をする場合や長期滞在される方など、ワクチンを受けた方がよい場合があります。国産ワクチンがないことから、日本で接種を受ける場合には輸入されたワクチンを扱っている施設で受ける必要があります。

これらのアフリカの髄膜炎ベルト地域にいらっしゃる方は、この地域の感染症流行情報にご注意下さい。現地で地元の人と長期間あるいは濃厚に接触する可能性がある場合には、ワクチン*を受けることも考慮して下さい。

(*「髄膜炎菌」に対するワクチンで、Hib、肺炎球菌ワクチンではありません。)

心配な場合には早めの受診を

突然の発熱、頭痛、吐き気、嘔吐などの症状がみられた場合は、できる限り早く医療機関を受診してください。

参考

・国際赤十字・赤新月社連盟
(ガーナ)http://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/MDRGH006.pdf[PDF形式:513KB]
(コートジボアール)http://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/Full%20Report_582.pdf[PDF形式:980KB]
・WHO:スーダン
http://reliefweb.int/sites/reliefweb.int/files/resources/EHA%20Sudan%20Health%20Highlights%20No%207.pdf[PDF形式:593KB]