2012年06月26日更新 パキスタンでクリミア・コンゴ出血熱が発生しています。

クリミア・コンゴ出血熱は、南アジア、中央アジア、中近東、アフリカの広い地域でみられます。この病気は、ウイルスを持ったマダニに刺されることで人に感染することがあります。また、血液などの体液を介して人から人へ感染することも知られています。

感染してから2~9日間後に、突然の高熱、頭痛、寒気、筋肉痛、関節痛、腹痛、嘔吐がみられ、重症化すると全身の出血をきたすことがあり、致死率は高く15~40%です。

6月20日付けのWHOによるパキスタンの疫学週報によりますと、2012年1月1日から6月16日までにクリミア・コンゴ出血熱の患者が疑い例も含め、合計26名報告されています。このうち確定例は20名で、6名が死亡しています(致死率30%)。患者のうち15名がバローチスタン州から報告され、カイバル・パクトゥンクワ州とシンド州からそれぞれ4名、パンジャーブ州から3名報告されています。

ほぼすべての患者には、動物の取引や取扱い、ダニ咬傷、患者との接触、製革所の労働者、動物のと殺や肉屋、伝統的な慣習(病気を治すために新しい動物の皮を着る)といった接触歴がありました。このような動物や皮などは、パキスタン国内やアフガニスタンやイランなど近隣諸国を移動し続けますので、患者が発生していない州や近隣諸国でも注意が必要です

流行地域では家畜を含む動物に近づかないようにしましょう。また、動物の血液にも触らないようにしましょう。

ダニに咬まれないように注意しましょう

  • 袖口が狭くて、色の薄い長袖の服を着てください。ダニが付くことや咬まれることを予防できるだけではなく、付いたダニを見つけやすくなります。
  • 露出した皮膚と服にDEET(ディート)などの虫よけ剤を使ってください。ダニの付着しやすい場所は、頭皮、腰部、わきの下、腹部と足指などの部位です。
  • ダニに咬まれていることを発見したら、ダニの体内や傷ついた皮膚からでる液体に病原体がいる可能性があるので、手で直接ダニを取ったり、つぶしたりしないでください。皮膚科などでマダニの頭部が残らないように除去してもらいましょう。
  • ダニは家畜やペットの体に寄生します。動物の体にダニがいることを発見したら、ダニに咬まれないように、その動物との接触を避けるようにしてください。
  • ダニに咬まれたことのある方、野外活動をしたことのある方で、症状が出た場合には、直ちに医療機関を受診してください。
  • 現地で医療機関へ行く場合には、なるべく他の患者や入院病棟、血液がついている可能性のある廃棄物などには近づかないようにしてください。

この地域へ行かれる方は十分注意してください

海外滞在中や帰国後に、感染が疑われるような気がかりな症状がみられた場合、すぐに医療機関を受診し、渡航した地域と環境について医師に伝えてください。また、ご帰国の際に熱や心配な症状がある方は検疫所の担当者にご相談ください。

感染症別情報クリミア・コンゴ出血熱

出典

WHO:Weekly Epidemiological Bulletin(パキスタン)
http://www.who.int/hac/crises/pak/sitreps/pakistan_epi_20june2012.pdf[PDF形式:1746KB]