2012年08月23日更新 北米でウエストナイル熱の患者が増加しています(更新1)

ウエストナイル熱はウエストナイルウイルスによる感染症です。このウイルスは蚊によってうつり、感染した人のおよそ20%に発熱、頭痛、筋肉痛などの症状を起こします。1%未満と低い割合ですが、重症の脳炎などを起こすこともあります。50歳以上の人が重症になる可能性が高いとされています。有効なワクチンはなく、流行地域では蚊に刺されないことが非常に重要です。
このウイルスは世界の広い範囲で発生がみられますが、北米だけでなく東ヨーロッパや地中海地域でも、夏から秋にかけて流行がみられるようになっています。

北米は、ウエストナイルウイルスの感染シーズンに入っています。

CDC(米国疾病予防管理センター)によりますと、8月21日時点で、全米で1,118名の患者が報告されており、そのうち41名が死亡しています。このうち、髄膜炎や脳炎などの神経浸潤性の患者が629人(56%)、非神経浸潤性の患者が489人(44%)でした。

アメリカ合衆国でウエストナイル熱の患者が初めて確認された1999年以降、8月第3週までにCDCに報告された患者数としては最も多くなっています。患者数の約75%がテキサス州、ミシシッピ州、ルイジアナ州、サウスダコタ州、オクラホマ州の5つの州から報告されており、全患者数のほぼ半数がテキサス州から報告されています。

なお、2011年のアメリカ合衆国におけるウエストナイル熱患者の合計は712名(うち43名死亡)でした。

また、カナダ公衆衛生庁によりますと、8月11日までに合計29人の患者が報告されました。このうち神経浸潤性の患者が8人(28%)、非神経浸潤性の患者が17人(58%)、その他の患者が4人(14%)でした。オンタリオ州(24人)とマニトバ州(5人)から報告されています。

蚊はウエストナイルウイルス以外にも多くの病気を人にうつします。蚊に刺されないように十分にご注意ください。また、死んだ鳥をみつけた場合、素手で処理しないようにしてください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

海外で熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。

また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご連絡ください。

医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。 <2012年8月24日追記>

出典

CDC 2012West Nile virus update:as of August21
http://www.cdc.gov/ncidod/dvbid/westnile/index.htm

Public Health Agency of Canada
West Nile Virus, National Surveillance Report- August 5to August11, 2012 (Week 32)
http://www.phac-aspc.gc.ca/wnv-vwn/nsr-rns_2012/w32/index-eng.php

参考

FORTH新着情報
北米でウエストナイル熱の患者が増加しています
https://www.forth.go.jp/topics/2012/08080939.html