2013年05月16日更新 新種のコロナウイルス感染症について (更新15)

5月15日付で公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、サウジアラビア保健省は、新種のコロナウイルス(nCoV)に感染した確定患者が新たに2人発生したとWHOに報告しました。

2人の患者は、nCoV に感染したと確定された患者に接触した医療従事者です。1人は、45歳の男性で、5月2日に発症し、現在危篤状態です。もう1人は、43歳の女性で、基礎疾患(持病)があり、5月8日に発症しましたが、容態は安定しています。

これまでも、今年4月にヨルダンで医療機関に関連したnCoVの感染がみられましたが、医療従事者が患者に接触した後にnCoV に感染したと診断されたのは初めてです。nCoVの感染が疑われる患者に医療を提供する施設では、他の患者や医療従事者にウイルスが感染するリスクを減らすために適切な対策を行うべきです。医療機関では、感染予防・制御を総合的に実施する必要性を再認識すべきです。

主に、サウジアラビア東部の医療機関に関連した集団感染による患者数は、5月1日からこれまでに21人と報告されており、このうち9人が死亡しました。政府は、この集団感染の調査を進めています。

昨年9月以降、これまでに、WHOに報告されたnCoVに感染したと検査で確定された患者は40人で、このうち20人が死亡しました。患者は、フランス、ドイツ、ヨルダン、カタール、サウジアラビア、英国の6か国で報告されています。

現在の状況と利用可能な情報に基づいて、WHOはすべての加盟国へ、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを継続し、通常でないパターンの症例を慎重に検討するよう推奨しています。

医療提供者は、最近、ウイルス感染の発生した地域からの帰国者で、SARIが発生していないか注意深く警戒するよう推奨されます。可能であれば、診断のために患者の下気道からの検体を採取すべきです。また、臨床医は、著しい免疫不全患者では、非特異的な症状・所見がみられた場合でも、nCoVへの感染を考慮すべきです。

WHOは、すべての加盟国に対し、nCoVの新たな感染者が発生した際には、考えられる感染源と臨床経過の情報を合わせて、速やかに評価して報告するよう呼びかけています。

WHOは、この事例に関して入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

WHOは引き続き、状況を注視しています。

海外渡航時には、手洗いの励行や動物との接触を避けるなど、一般的な衛生対策を心がけていただくとともに、nCoVの患者が発生している国に滞在した後に、発熱や咳などの呼吸器症状が現れた場合には、検疫所にご相談ください。

出典

WHO(GAR):Novel Coronavirus infection– update
http://www.who.int/csr/don/2013_05_15_ncov/en/index.html

参考

FORTH新着情報
新種のコロナウイルス感染症について (更新14) (2013年5月15日)https://www.forth.go.jp/topics/2013/05150943.html