2013年08月28日更新 北米でウエストナイル熱の患者が増加しています (更新5)

ウエストナイル熱はウエストナイルウイルスによる感染症です。このウイルスは蚊によってうつり、感染した人のおよそ20%に発熱、頭痛、筋肉痛などの症状を起こします。また、1%未満と低い割合ですが、重症の脳炎などを起こすこともあります。50歳以上の人が重症になる可能性が高いとされています。有効なワクチンはなく、流行地域では蚊に刺されないことが非常に重要です。
このウイルスは世界の広い範囲で発生がみられますが、北米だけでなく東ヨーロッパや地中海地域でも、夏から秋にかけて流行がみられるようになっています。

米国疾病予防管理センター(CDC)によりますと、米国では8月27日時点で35州から421人の患者が発生したと報告されています。患者数は、カリフォルニア州(87人)、コロラド州(72人)、サウスダコタ州(61人)、ノースダコタ州(30人)、ミネソタ州(26人)で多く報告されています。患者のうち、髄膜炎や脳炎などの神経侵襲性の患者は197人で、非神経侵襲性の患者は224人でした。患者のうち13人が死亡しました。このほか、献血時のスクリーニングで陽性であった無症候性(発症していない)献血者が82人報告されており、このうち10人(12%)が献血後に発症しました。
※患者数は暫定数で、確定患者と疑い患者が含まれます。

また、カナダ公衆衛生庁によりますと、カナダでは8月17日時点で11人の患者が発生したと報告されています。

<参考> 昨年の北米におけるウエストナイル熱の患者数
米国 : 患者数5,674人カナダ : 患者数 428人

蚊はウエストナイルウイルス以外にも多くの病気を人にうつします。蚊に刺されないように十分にご注意ください。また、死んだ鳥をみつけた場合、素手で処理しないようにしてください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。

また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご連絡ください。

医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

FORTH感染症情報

ウエストナイル熱

出典

CDC