2014年02月12日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況について (更新20)

2月10日付け及び2月11日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会は、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者が新たに22人(浙江省6人、広東省6人、江蘇省3人、湖南省3人、広西チワン族自治区1人、北京市1人、福建省1人、安徽省1人)発生したとWHOに報告しました。このうち2人が死亡しました。

2月7日に報告された患者の詳細は下記の通りです。

・浙江省湖州市の64歳の男性で農業従事者。1月27日に発症し、1月30日に病院に入院しましたが、2月4日に別の病院に転院しました。現在の容態は重症です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・浙江省湖州市の39歳の男性。1月26日に発症し、1月28日に病院に入院しましたが、1月31日に別の病院に転院しました。現在の容態は重症です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・江蘇省塩城市の66歳の男性。1月22日に発症し、2月4日に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・江蘇省徐州市の63歳の男性。1月20日に発症し、2月1日に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・湖南省岳陽市の61歳の女性。1月29日に発症し、1月31日に病院に入院しましたが、2月3日に別の病院に転院しました。現在の容態は重篤です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。
・広東省仏山市の36歳の女性。1月25日に発症し、1月30日に病院に入院しましたが、2月2日に別の病院に転院しました。現在の容態は重篤です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。
・広西チワン族自治区南寧市の5歳の男児。2月3日に発症し、病院に搬送され入院しました。現在の容態は軽症です。この患者は、2月5日付けでWHOに報告された患者(南寧市の41歳の女性)の濃厚接触者です。疫学調査が行われています。
・北京市北部の73歳の男性。1月30日に発症し、2月2日に病院に入院しましたが、2月5日に別の病院に転院しました。現在の容態は重篤です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。

2月8日に報告された患者の詳細は下記の通りです。

・浙江省杭州市の54歳の男性。2月1日に発症し、2月4日に病院に入院しました。現在の容態は重症です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・浙江省台州市の76歳の女性。1月24日に発症し、1月31日に病院に入院しました。現在の容態は重症です。
・福建省福州市の81歳の男性。1月30日に発症し、2月2日に病院に入院しました。家族の要請で、2月6日に退院し、同日に死亡しました。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・湖南省婁底(ろうてい)市の21歳の女性。1月30日に発症し、2月1日に病院に入院しましたが、2月2日に別の病院に転院しました。現在の容態は重篤です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・広東省肇慶岳陽市の48歳の男性。1月28日に発症し、1月30日に病院に入院しましたが、2月5日に広州市の病院に転院しました。現在の容態は重症です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。
・広東省肇慶市の62歳の男性。2月1日に発症し、2月2日に病院に入院しました。現在の容態は重症です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。
・広東省広州市の59歳の女性。1月27日に発症し、2月1日に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。

2月9日に報告された患者の詳細は下記の通りです。

・江蘇省台州市の53歳の男性。2月1日に発症し、2月8日に病院に入院しました。現在の容態は重症です。
・浙江省杭州市の61歳の男性。1月29日に発症し、2月2日に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。
・湖南省邵陽市の38歳の男性。1月27日に発症し、2月2日に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。

2月10日に報告された患者の詳細は下記の通りです。

・広東省深圳(しんせん)市の81歳の女性。1月31日に発症し、2月7日に病院に入院しましたが、同日に死亡しました。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・広東省肇慶市の11歳の男児。2月5日に発症し、同日に病院を受診しました。現在の容態は安定しています。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・浙江省紹興市の68歳の男性で農業従事者。2月5日に発症し、2月7日に病院に入院しました。現在の容態は重症です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。
・安徽省安慶市の66歳の男性。2月1日に発症し、2月7日に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。この患者は、生きた家きんとの接触歴がありました。

現時点では、人から人に感染が続いているという根拠はありません。

中国政府は、サーベイランス及び状況分析の強化、患者管理と治療の強化、市民とのリスクコミュニケーションや情報提供の実施、国際的な協力と情報交換の強化、科学的な研究の実施といった対策を行っています。

中国から香港に輸入された生きた家きんから鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出されたと報告されており、生きた家きんからウイルスの感染が広がる可能性はありますが、現時点では、人や動物から鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが国際的に広がってはいません。
これまでに鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者が報告された地域及びその近隣の地域では、特に、春節(旧正月)に関連して家きんの売買や輸送が増加すると予想され、これらの地域では今後も患者が散発的に発生することが予想されます。

WHOは、鳥インフルエンザが発生している国への渡航者に対し、農場への立ち入りや、生きた家きんのいる市場での動物との接触、家きんをと殺する場所への立ち入り、家きんやその他の動物の排泄物で汚染されていると考えられる地表との接触を避けるよう助言しています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を遵守すべきです。

WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航している者や、その地域から帰国した者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を考慮すべきです。

WHOは、重症急性呼吸器感染症のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続するよう求めています。また、国際保健規則に基づき、人の感染例の報告を確実に行うために、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討し、国の保健に関連した事前計画の実行を継続するよう求めています。

鳥インフルエンザA(H7N9)に関する指針と、現時点における技術的な情報は、WHOのホームページに掲載されています。

中国に滞在する方は、今後の情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしましょう。入国時に、発熱、咳、のどの痛みなどの症状がある場合は検疫所にご相談ください。

出典

WHOGlobal Alert and Response
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – update
http://www.who.int/csr/don/2014_02_10/en/index.html
http://www.who.int/csr/don/2014_02_11/en/index.html

参考

厚生労働省
鳥インフルエンザA(H7N9)について
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/h7n9.html

内閣官房
鳥インフルエンザA(H7N9)への対応について
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/tori_inf/index.html

国立感染症研究所
インフルエンザA(H7N9)~新着情報~
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/3395-n7n9top.html