2014年02月19日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況について (更新23)

2月18日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、中国の国家衛生・計画出産委員会は、2月14日、15日、16日に、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染したと確定された患者が9人(死亡者1人を含む)発生したとWHOに報告しました。

報告された患者9人のうち6人は男性です。患者の年齢層は4歳から84歳で、安徽省(2人)、広東省(5人)、湖南省(1人)、江蘇省(1人)から報告されました。うち2人の容態は重篤であり、3人は重症、そして3人の容態は現時点で明らかになっておりません。3人は生きた家きんとの接触歴があったと報告されています。調査は継続中です。

2月14日に報告された患者の詳細は以下の通りです。

・広東省広州市の78歳の男性。2月7日に発症し、同日に病院に入院しました。この患者は2月14日に死亡しました。
・広東省江門市の66歳の女性。1月27日に発症し、2月8日に病院に入院しました。現在の容態は重篤です。

2月15日に報告された患者の詳細は以下の通りです。

・安徽省安慶市の14歳の女子学生。2月12日に発症し、2月13日に病院を受診し、その後別の病
院に転院しました。
・湖南省婁底(ろうてい)市の46歳の男性で農業従事者。1月31日に発症し、同日に医師の診察
を受けました。2月12日に入院しました。
・広東省広州市の4歳の幼稚園女児。2月11日に発症し、同日に病院に入院しました。
・広東省広州市の79歳の男性で農業従事者。2月4日に発症し、同日に病院に入院しました。現
在の容態は重篤です。

2月16日に報告された患者の詳細は以下の通りです。

・江蘇省淮安(わいあん)市の84歳の男性。2月4日に発症し、2月9日に地域医療センターを受診し同日に入院しました。現在の容態は重症です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。
・安徽省合肥(ごうひ)市の63歳の男性で農業従事者。2月9日に発症し、2月13日に病院で治療を受け、2月15日に他の病院へ転院しました。現在の容態は重症です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。
・広東省深セン市の44歳の男性。2月3日に発症し、2月10日に病院に入院しましたが、その後他の病院へ転院しました。現在の容態は重症です。この患者は生きた家きんとの接触歴がありました。

中国政府は、サーベイランス及び状況分析の強化、患者管理と治療の強化、市民とのリスクコミュニケーションや情報提供の実施といった対策を行っています。

全体的なリスク評価は変わっていません。

中国から香港に輸入された生きた家きんから鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出されたと報告されており、生きた家きんからウイルスの感染が広がる可能性はありますが、現時点では、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが国際的に広がってはいません。しかし、家きんでウイルス感染が起こらないように、継続的な監視が必要です。

これまでに鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者が報告された地域及びその近隣の地域では、特に、春節(旧正月)に関連して家きんの売買や輸送が増加すると予想され、これらの地域では今後も患者が散発的に発生することが予想されます。

感染が起こっている国からの感染者が、他の国に滞在中または到着後に発見される場合がありますが、人の間でウイルスが容易に感染するものではないので、患者が発見された場合でも地域レベルで感染が広がる可能性は低いです。ウイルスが効率的に人から人へと感染する能力を獲得するまでは、渡航者によってH7N9が国際的に広がる危険性は低いままです。

WHOは、鳥インフルエンザが発生している国への渡航者に対し、農場への立ち入りや、生きた家きんのいる市場での動物との接触、家きんをと殺する場所への立ち入り、家きんやその他の動物の排泄物で汚染されていると考えられる地表との接触を避けるよう助言しています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を遵守すべきです。

WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。

鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航している者や、その地域から帰国した者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を考慮すべきです。

WHOは、重症急性呼吸器感染症のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続するよう求めています。また、国際保健規則に基づき、人の感染例の報告を確実に行うために、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討し、国の保健に関連した事前計画の実行を継続するよう求めています。

中国に滞在する方は、今後の情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしましょう。入国時に、発熱、咳、のどの痛みなどの症状がある場合は検疫所にご相談ください。

出典

WHOGlobal Alert and Response
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – update
http://www.who.int/csr/don/2014_02_18/en/index.html

参考

厚生労働省
鳥インフルエンザA(H7N9)について
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/h7n9.html

内閣官房
鳥インフルエンザA(H7N9)への対応について
http://www.cas.go.jp/jp/influenza/tori_inf/index.html

国立感染症研究所
インフルエンザA(H7N9)~新着情報~
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/a/flua-h7n9/3395-n7n9top.html