2014年09月05日更新 鳥インフルエンザA(H7N9)の発生状況について (更新48)

9月4日付けで公表された世界保健機関(WHO)の情報によりますと、9月2日に中国の国家衛生・計画出産委員会(NHFPC)は、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染したと検査で確定した患者が新たに2人発生したとWHOに報告しました。

患者の詳細は以下のとおりです。

・新疆(しんきょう)ウイグル自治区の66歳女性。この患者は2014年7月14日に発症し、2014年7月17日に入院し、2014年8月3日に死亡しました。この患者には生きた家きんとの接触歴がありました。
・新疆ウイグル自治区の53歳男性。この患者は2014年8月5日に発症し、2014年8月9日に入院しました。現在の容態は軽症です。この患者には生きた家きんとの接触歴がありました。

中国政府は、以下のようなサーベイランスと対策をとっています。

1.サーベイランス及び状況分析の強化
2.患者管理と治療の強化
3.市民とのリスクコミュニケーションや情報提供の実施

全体的なリスク評価は変わっていません。

中国本土から香港に輸入された生きた家きんから鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが検出されたと報告されており、生きた家きんの移動でウイルスの感染が広がる可能性はありますが、現時点では、鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが国際的に広がってはいません。しかし、家きんでは、ウイルスに感染しても症状が出ないため、継続的な監視が必要です。これまでに鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染した患者が報告された地域及びその近隣の地域では、今後も患者が散発的に発生することが予想されます。

感染が起こっている国からの感染者が、他の国に滞在中または到着後に発見される場合がありますが、人の間でウイルスが容易に感染するものではないので、患者が発見された場合でも地域レベルで感染が広がる可能性は低いです。ウイルスが効率的に人から人へと感染していないので、渡航者によってH7N9が国際的に広がる危険性は低いままです。

WHOは、鳥インフルエンザが発生している国への渡航者に対し、農場への立ち入りや、生きた家きんのいる市場での動物との接触、家きんをと殺する場所への立ち入り、家きんやその他の動物の排泄物で汚染されていると考えられる地表との接触を避けるよう助言しています。また、渡航者は石鹸と水で手をよく洗い、食品の安全と衛生習慣を遵守すべきです。

WHOは、この事例に関して、入国時の特別なスクリーニングおよび渡航や貿易を制限することを推奨していません。鳥インフルエンザが懸念される地域を渡航している者や、その地域から帰国した者が重症の急性呼吸器症状を発症した場合には、常に鳥インフルエンザへの感染を考慮すべきです。

WHOは、重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランスを含むインフルエンザのサーベイランスの強化を継続するよう求めています。また、国際保健規則(2005)に基づき、人の感染例の報告を確実に行うために、通常と異なる傾向がみられた場合には慎重に検討し、国の保健に関連した事前計画の実行を継続するよう求めています。

中国に滞在する方は、今後の情報に注意していただくとともに、手洗いや咳エチケットをこころがけてください。また、鳥に直接触ったり、病気の鳥や死んだ鳥に近寄ったりしないようにしましょう。入国時に、発熱、咳、のどの痛みなどの症状がある場合は検疫所にご相談ください。

出典

WHOGlobal Alert and Response
Human infection with avian influenza A(H7N9) virus – update
http://www.who.int/csr/don/2014_09_04_avian_influenza/en/