2014年10月23日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新13)

10月22日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますとエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

要約

  • 2014年10月19日現在、エボラウイルス病の発生状況は、診断例9,936例、死亡例4,877例です。
  • セネガルとナイジェリアのエボラウイルス病発生は、それぞれ10月17日および19日に終息が宣言されました。
  • シエラレオネでは全ての区域で少なくとも1例のエボラウイルス病発生例が報告されています。

2014年10月19日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの患者数は診断例9,936症例と死亡例4,877症例となっています。報告は、感染の影響を受けている5か国(ギニア、リベリア、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に影響を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)からです。

セネガルとナイジェリアのエボラウイルス病発生は、それぞれ10月17日および19日に終息が宣言されました。

ギニア、リベリア、シエラレオネではエボラウイルス病の流行が続いています。リベリアの1行政区を除く全ての区域とシエラレオネの全区域では、流行が始まって以来、少なくとも1例の可能性の高い例もしくは確定診断例が報告されています。ギニアではエボラウイルス病の感染報告例は最低となっています。しかし、まだ症例数が絶対的に非常に高いです。最も影響を受けている3つの国の首都では、流行は猛威を振るっています。症例数は過小報告が続いています。特に、リベリアの首都モンロビアからの報告では、それが顕著です。

局所において伝染のあったスペインとアメリカ合衆国では患者との接触の可能性がある人々の監視が続けられています。10月21日には、スペインの唯ひとりのエボラウイルス病患者が検査で二回目の陰性結果を示しました。患者の新規発生がなければ、この二回目の検査の日から42日後には終息宣言が出されるでしょう。

10月22日には、WHOは国際保健規則(2005)に則ってエボラに対する第三回緊急会議を招集しました。

概要
エボラ対応ロードマップ(リンク)に関する定期状況報告です。ロードマップの体系では、報告は3つのカテゴリーに分類されます。3つのカテゴリーとは、広範囲に及ぶ深刻な伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、初期の症例が生じた国、あるいは局所的な伝染が生じている国(ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)、流行が蔓延する地域に隣接する、または物資交流が盛んな国(ベナン、ブルキナファソ、コートジボワール、ギニアビサウ、マリ、セネガル)です。この流行からは独立して発生が起きているコンゴ民主共和国の状況についての概要は補足にて記載しています。

本サイトでは、最初の2つのカテゴリーについて報告しています。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
ギニア、リベリア、シエラレオネでは流行の増加傾向が続いています。リベリアの保健省から10月18日付けで、ギニアおよびシエラレオネの各保健省から10月19日付けで報告されたエボラウイルス病の発生状況は、診断例が9,911症例(可能性の高い症例、確定症例、疑い症例を含む:更新6 添付2 参照)と死亡例が4,868症例となっています(表1)。リベリアの1行政区を除く全ての区域とシエラレオネの全区域では、流行が始まって以来、少なくとも1例の可能性の高い例もしくは確定診断例が報告されています。コートジボアールと国境を接するギニア及びリベリアの8つの区域のうち、ギニアのMandiana(マンディアナ地区)だけがエボラウイルス病の何れの症例も報告されることなく護っています。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:*リベリアでは確定診断死亡例が確定診断例を276例上回っています。**シエラレオネでは可能性の高い症例おける死亡数が患者数よりも127例多くなっています。データは、各国保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

今回は国別の状況についても報告されています。詳細については原文を参照してください。

医療従事者の感染について
10月19日現在、443名の医療従事者がエボラウイルス病に感染し、244名が死亡しています(表2)。WHOはそれぞれの症例における感染の原因を追跡するために広範囲にわたる調査を実施しています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療と看護の状況以外の場所で発生したということです。感染予防と管理体制の維持と点検は流行が深刻な3国すべてのエボラ治療病棟で実行され続けています。同時に、全ての医療従事者が暴露リスクを最小限にとどめることを確実に実行するための訓練の準備および関連するガイドラインに沿って、全てのエボラ治療施設に対する最適の個人用防護具の十分な供給の確保するための徹底的な努力が続けられています。

表2: 医療従事者の患者数および死亡者数

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注釈:*広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国です。**セネガルとナイジェリアは既に終息宣言しています。データは、各保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

新しく流行が及んだ地域の地図上の分布

図4:ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の累積数と新規症例数の地理上の分布図

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※データは、各保健省から報告された公式情報に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域の統治との関係についてWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

2. 初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の4か国では広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から入国してきた症例が報告されています。

ナイジェリアでは、20例の感染例と8例の死亡例がありました(表4)。セネガルでは1例の入国がありました。両国ともにその後の対策に成功し、セネガルとナイジェリアのエボラウイルス病発生は、それぞれ10月17日および19日に終息が宣言されました。エボラウイルス病の流行は隔離された最後の症例の検査結果が陰性となった日から42日目(エボラウイルスの潜伏期間21日の2倍)で終息とされています。

表4 スペイン、米国におけるエボラウイルス病症例の患者数および死亡者数

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データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

スペインの唯ひとりのエボラウイルス病患者が10月19日に検査陰性となり、19日に二回目の陰性結果を得ました。もし新たな発生がでなければ、二回目の検査から42日後に終息が宣言されます。現在、83名の接触者が監視下にあります。

アメリカ合衆国では3例の診断例が発生し、うち1例が死亡しています。172名の接触の可能性のある者があり、60名が21日の観察期間を完了しています。残る112名もテキサス州で経過観察中です。また、リスクは低いと考えられるものの第3の症例と飛行機を乗り合わせた添乗員と乗員153人はオハイオで観察が続けられています。

補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
2014年10月20日現在、コンゴ民主共和国(DRC)で医療従事者8例を含む66例のエボラウイルス疾患(確定診断例38例、可能性の高い症例28例)が報告されています。また、49例が死亡と報告されました。この中には8人の医療関係者の中での死亡も含まれています。

1,121名の接触者のうち、1,116名が21日間の観察期間を完了しました。10月20日現在、接触者5名が観察中です。この流行は、ギニア、リベリア、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネでの流行との関連はありません。

参考情報1
診断の定義については、エボラ対応に関するロードマップ(更新6 添付2)を参照してください。

出典

WHO, Situation reports:Ebola response roadmap,
Situation report,22 October 2014
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/137091/1/roadmapsitrep22Oct2014_eng.pdf?ua=1[PDF形式:1.3MB]