2014年10月30日更新 エボラ対応に関するロードマップ (更新15)

10月29日付けの世界保健機関(WHO)の情報によりますとエボラウイルス病の発生状況は以下のとおりです。

要約
●2014年10月27日現在、エボラウイルス病の発生状況は、患者数13,703例、死亡者4,920例(原文のまま)です。
●リベリアとシエラレオネでは全ての行政区域に感染が及んでいます。
●10月30日木曜日は国連エボラ緊急対応ミッションが実行されてから30日になります。
●10月23日に、マリで初めてエボラウイルス病の確定患者が報告されました。

2014年10月27日までに報告されたエボラウイルス病の疑い例から確定例までの患者数は13,703症例と死亡者数は4,922症例となっています。報告は、感染の影響を受けている6か国(ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネ、スペイン、アメリカ合衆国)と過去に影響を受けた2か国(ナイジェリア、セネガル)からです。

セネガルとナイジェリアのエボラウイルス病発生は、それぞれ10月17日および19日に終息が宣言されました。

エボラの流行は、ギニア、リベリア、シエラレオネで続いており、依然として深刻な広がりをみせています。流行が始まって以来、リベリアとシエラレオネでは全ての行政区域でエボラウイルス病の診断確定例または可能性の高い症例が報告されています。ギニアではエボラ流行の症例は最低水準でとどまっています。しかし、症例数の実数は依然として高いままです。感染の伝播は3つの流行国の首都で強い状態が続いています。流行地からの患者と死者の数は過小に報告され続けています。

局所的な感染が発生した国である、マリ、スペイン、アメリカ合衆国では接触の可能性のある人々の健康監視が続いています。マリでは、2歳の女児が祖母に連れられてギニアから入国した後、10月24日にエボラで死亡しました。マリはこの症例によって、現在のエボラが流行している西アフリカの中で感染が伝播した6つ目の国となりました。

スペインでは、10月21日、唯ひとりのエボラウイルス病患者が検査で2回目の陰性結果を得ました。スペインは、2回目の検査の日から42日間に患者の新規発生がなければ、終息宣言を行います。

合衆国では、2人の医療従事者がエボラに対する2回の検査でともに陰性の結果を得て、退院となりました。もう1人の医療従事者は隔離下で治療を受けています。

エボラ対応ロードマップ(リンク)に関する定期状況報告です。ロードマップの体系では、報告は3つのカテゴリーに分類されます。3つのカテゴリーとは、広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)、初期の症例が生じた国、あるいは局所的な感染が発生している国(マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国)、流行が蔓延する地域に、隣接するまたは物資交流が盛んな国です。エボラウイルス病が独立して、関係することなく発生しているコンゴ民主共和国の状況についての概要は補足にて記載しています。

本サイトでは、最初の2つのカテゴリーについて報告しています。

1. 広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国
ギニアとシエラレオネの保健省から10月27日付けで、リベリアの保健省から10月25日付けで報告されたエボラウイルス病の発生状況は、患者数が13,676症例(可能性の高い症例、確定症例、疑い症例を含む:更新6 添付2 参照)と死亡者数が4,910症例となっています(表1)。流行が始まって以来、リベリアとシエラレオネでは全ての行政区域でエボラウイルス病の診断確定症例または可能性の高い症例が報告されました。

表1:ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の症例および死亡者

図.ギニア、リベリア、シエラレオネにおける可能性の高い症例、確定症例、疑い症例の総数および死亡者数

注釈:データは、各国保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

今回は国別の状況についても報告されています。詳細については原文を参照してください。

図4:ギニア、リベリア、マリ、シエラレオネにおけるエボラウイルス病の累積患者数と新規患者数の地理上の分布図

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※データは、各保健省から報告された公式情報に基づいています。この地図上で使用される境界と表示されている名称および呼称は、いかなる国、領土、都市や地域の統治との関係についてWHOが見解を発表しているものではありません。また、地図上の点線と破線は、その国々あるいはその国境および境界の範囲が完全な合意にいたっていない可能性があるためにおおよその境界線を表しています。

医療従事者について
10月27日現在、521名の医療従事者がエボラウイルス病に感染し、272名が死亡しています。リベリアでの医療従事者の感染数の大きな増加は報告方法の変更および以前に報告されていなかった感染者を算入したことが影響しています。

WHOはそれぞれの症例における感染の原因を追跡するために広範囲にわたる調査を実施しています。その最初の指摘は、感染のかなりの割合がエボラの治療と看護の状況以外の場所で発生したということです。感染予防と管理体制の維持と点検は流行が深刻な3か国すべてのエボラ治療病棟で実行され続けています。同時に、全ての医療従事者が暴露リスクを最小限にとどめることを確実に実行するための訓練の準備および関連するガイドラインに沿って、全てのエボラ治療施設に対して個人用防護具の十分な供給を適切に確保するために徹底した努力が続けられています。

表2: 医療従事者の患者数および死亡者数

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注釈:*広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国です。**セネガルとナイジェリアは既に終息宣言しています。データは、各保健省から報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続されている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

2.初期の症例が生じた国、あるいは限局的な伝播が生じている国
マリ、ナイジェリア、セネガル、スペイン、アメリカ合衆国の5か国では広範囲に及ぶ深刻な感染の伝播が生じている国から流入してきた症例が報告されています。

セネガルとナイジェリアのエボラウイルス病の流行は、それぞれ10月17日および19日に終息が宣言されました。

10月23日に、マリで初めてエボラウイルス病の確定症例が報告されました。症例は2歳の女児で、ギニアからマリにやってきました。女児は長旅の間に発症し、10月22日にKayes(カイ)にあるFousseyni Daou病院を受診しましたが、24日に亡くなりました。現在、82名の接触者が健康監視下にあります。これはカイの57名とバマコの27名を含んでいます(重複あり)。さらに接触者追跡への努力が続けられています。WHOの準備チームは症例発生に備えた国家の準備状況を評価することの支援のために既にマリに入っていました。チームは直ちに、感染の予防と制御、接触者の追跡、および医療従事者の訓練に関してマリの保健当局に専門技術と人的な支援を提供するために再編成されました。WHOの迅速対応チームがマリに配置され、マリの支援を続けています。

スペインの唯ひとりのエボラウイルス病患者が10月19日に検査陰性となり、21日に2回目の陰性結果を得ました。もし新たな発生がでなければ、2回目の検査から42日後に終息が宣言されます。現在、健康監視下にある83名の接触者のうち、低リスクの接触者6名が経過観察を受けており、高リスク接触者15名が経過観察の期間を終了しました。現在は退院しています。

アメリカ合衆国では4例の症例が発生し、うち1例が死亡しています。2名の医療従事者は、現在はエボラ検査が陰性となり、退院しました。もう1名の医療従事者はニューヨークで隔離の下に治療を受けています。総計176名の接触の可能性のある者のうち、92名が現在も健康監視下にあり、84名が21日の観察期間を完了しました。

表3 マリ、スペイン、米国におけるエボラウイルス病症例の患者数および死亡者数

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※データは保健省により報告された公式情報に基づいています。これらの数値は継続して行われている再分類、遡っての調査、利用できる検査結果の検討によって変わることがあります。

補足
コンゴ民主共和国でのエボラ流行
2014年10月26日現在、コンゴ民主共和国(DRC)で医療従事者8例を含む66例のエボラウイルス疾患(確定診断例38例、可能性の高い症例28例)が報告されています。また、49例が死亡と報告されました。この中には8人の医療関係者の中での死亡も含まれています。疑い症例1例の検査結果はまだ判明していません。

2度目の検査で最後に陰性を確認した症例が病院を退院した日から18日が経ちました。42日が経てば、この国は終息を宣言することができます。この流行は、ギニア、リベリア、マリ、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネでの流行との関連はありません。

参考情報1
診断の定義については、エボラ対応に関するロードマップ(更新6 添付2)を参照してください。

出典

WHO, Situation reports:Ebola response roadmap,
Situation report,29 October 2014
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/137376/1/roadmapsitrep_29Oct2014_eng.pdf?ua=1[PDF形式:1.1MB]